「「そこまで思い入れがなくても、盛り上がる」という強み」ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー さささんの映画レビュー(感想・評価)
「そこまで思い入れがなくても、盛り上がる」という強み
マリオのゲームは、クリアした作品はあまり無いが、そこそこの作品は人生どこかしらで遊んできている。なにせクリアまでしてないので、キャラに思い入れも無く、またマリオというゲームが人生の青春と結びついているわけでもない。
それでも映画を見て「これこれ!」と盛り上がる。そういう作品だと感じた。
そもそもマリオのゲーム自体、マリオが好きだから遊ばれているわけではなく、「面白いから」「盛り上がるから」という理由でプレイされているように思う。
それはマリオがその軸からブレずに35年40年かけて築き上げた、マリオブランドだろう。
この映画は、そのマリオブランドの「大人から子供まで皆そこまで思い入れがあるわけじゃなくても、おもしろい、盛り上がる」を体現してるいようだった。
昨今は、強い思い入れがある、熱烈な想いがある、といういわゆる「推し活」によって売り上げを伸ばす手法が、なんなら消費活動の主流と言えるくらいになっている。そんな中で「特に思い入れは無いけど、なんか盛り上がる」というブレないマリオブランドのコンセプト通りのような映画が生まれているのは興味深いし、そしてそれが成功しているのは間違いなく、そのコンセプトと期待を裏切らずにやってきた35年40年の月日があってこそだろう。この作品が当たったからと言って、他作品ではこの成功は模倣出来ない。
「なんでアイテムがブロックに入ってて、それがあちこちに点在しているんだろう?」
「なんでブロックが道のように一列に並んで、宙に浮いているのだろう?」
「なんで土管に入るとワープするのだろう?」
そんなことを考える人には、向いていない映画かもしれない。
そんな事は気にせず、目の前の敵をふみつけ、いいアイテムを手に入れ、ジャンプしながらゴールを目指す。それがワクワクする。
そんな人には、向いている映画だと思う。