「ミニマル・アート風にセロハンテープとさかむけで表現される「女性の身体」の親和性と不安感。」不安な体 じゃいさんの映画レビュー(感想・評価)
ミニマル・アート風にセロハンテープとさかむけで表現される「女性の身体」の親和性と不安感。
『素晴らしき短編アニメーションの世界』で視聴。
5分47秒の短編で、基本は指でセロハンテープを切ったり、指にセロハンテープを貼ったりするだけで作品はできている。あとは、網シャツとか。
コンセプトアートではよくあるタイプのミニマリズムに寄り添ったアニメ作品だが、
そこに「さかむけ」が最後に登場することで、ミニマルななかに、ちゃんと起承転結というか、ドラマが生まれ、山場が生まれ、カタルシスが生まれているのは、さすがだと思う。
今回の特集上映では、「女性の不安」「性欲と生殖」といった裏テーマ(というか同時代性?)があるように感じられるが、「指」と「皮膚」にクローズアップしながら、女性のかかえる皮膚感覚の不安感や恐怖感に、どこまでもミクロ(近接的・接写的)な視点で迫っていたのが本作だった。
先端恐怖とか、実際の痛みといった外的不安というよりは、むしろ「なんとなく不安なので、なにか確かめてみたくてつい触ってしまう」「どれくらい痛いか確かめてみたくてつい剝がしてしまう」といった実存主義的な内的不安の揺れや衝動を、最小限の要素で考えさせるアニメになっていたのではないか。
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