ワウンズ 呪われたメッセージのレビュー・感想・評価
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悪魔や怪物より主人公の社会的な転落ぶりが怖い変わったホラー
原題が"Wounds"で、意味は傷やケガ、発音を日本読みにすると「ウーンズ」である。ところが邦題が「ワウンズ」ときては、かなりのやっつけ仕事ぶりを痛感させられる。
しかも、この監督ババク・アンバリの最新作「アイ・ケイム・バイ」を見ると、はっきり言って美味しい素材に下手な調理をした結果、残飯の山と化した代物だったのだから、事前情報を知っていたら見なかったに違いないw でも、知らないので見た。
ところが、本作はとてもよく出来ているので、びっくりさせられた。この落差は何だろう。
本作はホラーとなっており、確かに拾ったスマホから流れてくる情報に超自然現象のようなものが含まれている。
また、お定まりの悪魔か何かがスマホを通じて現れるのかと思いきや、これがいつまで経っても出て来ないではないかw ところが、実は出て来なくても、この映画は怖いのである。
何というか、発想の転換をしたホラーというべきか。登場人物たちはスマホからの情報が原因で人間関係をこじらせ、人間性の最も醜悪な部分を露出させられる羽目になる。その結果、恋人や友人、さらに勤め先の経営者、同僚、周囲の仲間や顔見知りの警察官たち全員との関係を破綻させ、失業し、恋人と別れ、警察に呆れられていく。
この人間関係の破綻や社会的な地位喪失が丹念に描かれているところが、普通に悪魔や怪物が出てくるホラーよりよほど怖い。
超自然現象的なシーンは切断された生首が動いたり、そこから手が伸びてきたり、最後には大きな顔の「傷跡」(ウーンズw)から、何やら怪物か何かが潜んでいそうな洞窟が覗けたり…といったものが申し訳程度にあるくらいなもの。しかも、最後は中途半端で終わってしまうので、何だこれは!と怒る人もいるに違いない。
それ以外はもっぱらゴキブリがしょっちゅう、たくさん出てくるので、生理的にそれがダメな人は途中でギブアップかもしれない。
それらをカバーしてなお主人公の転落ぶりが怖く描かれていて、拾い物のホラー映画という感じだ。
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