石があるのレビュー・感想・評価
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悲鳴も血糊も暴力もない「ほのぼのホラー」
河原を歩いていた女性に向こう岸の男が声を掛け、いきなり川の中を歩いて渡って来て、そのまま二人で石遊びしながら川沿いを歩いて行く、ただそれだけのお話です。男は穏やかで朴訥なのですが、不思議な雰囲気を纏っています。一方、女の方もどこか歯車の外れた危うさを感じさせます。そうした二人の間には、暖かそうでいてどこか危なそうな不思議な緊張感も漂うのです。でも、特に何も起きません。
これは、お伽噺的な大人のファンタジーとも見えるのですが、僕には悲鳴も血糊も暴力も一切ない「ほのぼのホラー」と映りました。不思議な映画だったなぁ。
そして何より驚いたのが、『沈没家族』で強烈な印象を残した加納土監督が謎の男として主演なさっていた事。あの朴訥とした不気味さがいつまでも脳に残るわぁ。
あの丸刈頭を川に投げ込んでみたい
何気ない出会いが連鎖して、都会っ子が田舎の川に召喚されて川縁を遡上するお話し。川に飛び込む男のお陰で全編緊張感がある。ただし、中盤から終盤にかけてダルい。
例えば、日記を書く行為をただ単に撮っている。これはキツい。同じ行為でも『シルビアのいる街で』のように捲られていくページ上で単語を単数系から複数形に書き換える、単純だが、記憶の女を理想の女像に昇華させるような劇的な変化を描写してほしかったなー。あと、田舎に出かける必要性や社会性がもう少し感じ取れたらグッと面白くなった気がする。加えて、あの丸刈頭を石に見立てて川に投げ込む素振りなりがあればより良かったなー、そこはかなり不満。
劇場初公作品で多分才能ある監督で、清原惟が助監督で、映画館以外では観れない面白い発想の映画だと思います。
結界
ヤ―マ―キタ――(゚∀゚)――!!
仕事で郊外の町を訪れた女性が、河原で出会った男となんということのないつかの間の時を過ごす話。
あらすじ紹介を読まないと旅行会社に勤めていることもわからないし、読んでも名前もわからない主人公が、向こう岸で石切乎りをする男に声をかけられて一緒に石切りをすることになっていく…まあ、川に入ったところで逃げて〜っ!て感じですけどね。
そしてなんてことない時間を過ごしていくけれど、大人版鉄塔武蔵野線て感じですかね?冒険心みたいなものがないからこちらはかなり冗長ですけど。
そして仕事しなくて良いの?だし。
そして終盤、GSの行は何?鍵開けっ放しのところに不法侵入?良くわからん。もしかしたらセルフのGSには人がいないとか思ってます?
男目線だとまだ少しはわからなくもないところもあるけれど、いい大人だしね。
そして機微らしい機微もみえないし、これでこの尺は長過ぎるってことで自分には刺さらなかった。
人生のリバーサイドロードムービー
川で出会った男女がつかの間の時を過ごす姿を軽やかにつづったドラマ。
物語としては河原で偶然出会った二人が石遊びしながら歩くお話し。
だけど、場面場面の全てが人生に例えることができるような気がします。人との出会い、水切り、見つけた石を投げられる、靴がだんだん汚れていく、石積み、木を運ぶ、河原の行き止まり、あっけない別れ、朝帰り などなど。
こんな映画を観るために私は映画館に通ってます。
小川あんさん、加納土さんでしか成り立たない物語でした。じーんとさせて頂きました。
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