「一筋の光が導く先が希望とは限らない。」あしたの少女 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
一筋の光が導く先が希望とは限らない。
活発な女子高生ソヒが実習先のコールセンターで心を病み最悪の選択をしてしまうまで追い詰められる姿を描く前半と、ソヒの自殺を担当する女性刑事ユジンがその足跡を辿りながら真相に迫ってゆく後半の2部構成になっていて、この作り方がものすごくうまい。
上司は会社の為、学校は就業率の為。若者達の置かれた劣悪とも言える労働環境には目をつむり、いざ真実を突き付けられると誰もが目を背ける。親はコトが起こって初めて我が子の痛みを知る。
ソヒがこの世に残した唯一の動画は、労働者から都合よく搾取することを覚えた大人達への強烈なメッセージ。「嫌なら辞めればいい」が通用しない環境もあるのだと思い知らされた。そして人は静かに、ひとりぼっちで疲弊してゆくということも。誰もキャッチできなかったSOS。しかもこの出来事が実話ベースというのだから辛すぎる。
とても良質な1本でした。
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