「よくぞここまで描いてくれた」あしたの少女 chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)
よくぞここまで描いてくれた
隣国でありながら、知らないことの多い韓国
ごくごく普通の明るい高校生が、実習の現場で疲れ果て、人間性を擦り減らし、自分で解決できなくなって自死をする ぺ・ドゥナ演じる刑事が職場・学校、そして家族・友人と彼女のたどった一つ一つの苦しみを解き明かしていくのだけれども、彼女の命を救うことはできなかった 不運だの事故だという言葉で隠蔽しようとする「やつら」に、対抗しきれな
い無念さを、刑事と共に感じる後半であった
皆さんのこのレビューを事前に読んで、つらい気持ちになることがわかっていても、正義を貫いてくれる、この刑事のような人がいることを期待する思いが、この作品をどうしても観たいという気持ちにさせてくれた
ぺ・ドゥナの日本公開の前作「私の少女」でも、ほとんど笑顔をみせなくても、韓国に蔓延る封建的な考えに立ち向かう警察官の役であった 前作は地方の農村、本作は都市部であろうが、国民全体とりわけ子どもの置かれている状況には、日本とはまた違った国民の間の格差を感じるものだった
ブラック企業、という言葉がついこの間までよく使われていた 「派遣」「非正規」「氷河期」は日本においては今の40代あたりが最も多いのだろうか
日本でも多くなった「コールセンター」、PCでの在宅勤務、マニュアルさえあればノルマ達成だけが仕事の尺度となる恐ろしさを、子ども(高校生)の視点でよく描いてくれたと思います ポケットに手を突っ込んでいるぺ・ドゥナ、格好良かった
(8月31日 MOVIX堺 にて鑑賞)
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