「何も…」あしたの少女 monoさんの映画レビュー(感想・評価)
何も…
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何かが解決すると期待して観たので、そうではない展開、そしてあまりに無責任な大人と彼らをそうさせているシステムに暗い気持ちになった。
実習先のコールセンターでのクレーム対応のシーンは、仕事と重なり見ていて辛かった。最初こそ苦戦していたソヒがだんだんと慣れて顧客対応がうまくなっていく姿は単純に「良かったね」とは言えない。。労働市場によく言えば対応し、悪く言えば飲み込まれていくさまが描かれているようで…。
責任ある立場にいる大人たちが誰もソヒの状況を理解しておらず、知らないままであった。ソヒの親でさえ、彼女が自殺未遂をしていたこと、ダンスに打ち込んでいたことを知らずにいた。そんな中、ペ・ドゥナ演じるユジン刑事はソヒとはダンス教室で一度会った程度だが、誰よりもソヒを理解し感じようとしていたように見える。もっとソヒとの繋がりや関係があることを少し期待していたのだけど、2人の接点があまりないところが逆にミソというか。
過酷な労働に飲み込まれていく若者たち、苦しさを抱えながらもそれがバレないように必死に隠し、何事もないように生きる若者たち。ユジン刑事が一人ひとりに言葉数少なく、だけどもあたたかく声をかける姿に、彼らはどれだけ安心しただろうか。
何かが解決するわけではないけど、ユジン刑事を通してこの映画のメッセージはちゃんと伝わってくる。
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