「全員夜空の星になるのも、もしかしたら有りだったか?」非常宣言 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
全員夜空の星になるのも、もしかしたら有りだったか?
上空では、パニック映画に不可欠の「一難去って、また一難」を丁寧に積み重ねてくれたと言う印象です。地上では、か細い手がかりを繋いでいって、捜査ものとしての緊張もそれなりに保たれていたようです。
ただ、とてもヤバいウィルスがメインテーマにしては、その扱い方が雑だったかなと思います。つまり感染率や発症までの時間・致死率が、登場人物のその後の重要度に応じてかなり恣意的であり、ウィルスの元々の管理なども場当たり的だったように感じました。150人乗りの中型機ならあっという間に全員が感染するも、症状の出方に差異があって……ぐらいの展開の方が自然だったかなと感じました。
◉非常宣言
冒頭の「非常宣言」の詳しい解説テロップにちょっとしてやられた感があります(無論、筋書きの意外性としては悪くはない)。乗客の生命を守るための、超法規的な措置によって着陸飛行場は確保した……ものの、そこからまだエンジントラブルや悪天候も絡んで、容易に大団円に至らないような筋書きを思い描いていました。
ところが、飛行場を確保する前段階で幾つもハードルがあった。
◉着陸拒否の嵐
未知の悪性ウィルスへの恐れから、戦闘機には威嚇され、着陸を拒否する飛行場が続出する。更に手に入れたワクチンの信頼度が証明されず、最後の頼みの自国の飛行場に押し寄せる着陸反対のデモ。さすがに実際ならば、もっと別の対応がある訳だし、そうでないと居合わせた人間が悲惨過ぎる! このあたりは、リアルを追求して、もう少しモタモタしてもよかった。とにかく「非常宣言」が虚しい。
しかし、こんな風に失望を繰り返して味わってしまうと、もはや飛行機は夜空の果てに帰らぬ旅路を辿らざるを得ない。そう言う悲哀に満ちた結末なんだなと、観る側も腹を括りかけました。
そんな時にソン・ガンホが命を賭して実験台に上がった。こちらが本物の非常宣言‼︎ 法規的にはまず許されないことでしょう。しかしソン・ガンホは妻への愛の力によって、フラフラになりつつもワクチンの効力を証明した。それによって直ちに着陸が許可された。筋書き上とは言え、これも非常宣言でしょう。
まぁ映画を観ることは、訳も分からず巻き込まれることも意味しているので、この展開も悪くはない。ただ、懲りない生命力の象徴のようなソ・ガンホと、ワル側でも良い人側でも爽快感を失わないイ・ビョンホンの二人の演技で引っ張った感は強かったです。
生還したソン・ガンホが車椅子に乗って、体調を回復するには、まだ時間がかかると言う設定は良いなと感じました。
こんにちは。
先日はコメントに返信ありがとうございます。
一言お礼をと思いながら、そのままになってしまいました。
この映画も、私は単細胞に面白がってしまいましたが、
考えさせられる面が多々ありましたね。
ともかく怒涛の展開で飽きさせずに最後まで引っ張って行く韓国映画の
押しのつよさ。すごいですね。
私は書き忘れたのですが、
車椅子で話すことも困難なソン・ガンホにリアリティを感じました。