「政治的な駆け引きがアクションを際立たせる」非常宣言 屠殺100%さんの映画レビュー(感想・評価)
政治的な駆け引きがアクションを際立たせる
韓国映画が得意とする凶悪犯罪と政治的なバトル、葛藤、緊張感は本作で国際レベルに達する。作り物っぽくみえる隙は一切なく、リアリティの作り込みが素晴らしい。
日本も少なからずある社会問題。厳しい就職、過剰な学歴社会と抑圧的な親。そして、それが生み出す無差別テロという流れは、一見バカらしく思えるが、なぜか違和感がない。俳優がイケメンだったことがよかった。あんなカッコいいのに、なぜそんな辛いことに?と思わせるギャップが違和感を打ち消す。
ときに感情を爆発させ、法律的な手続きをすっ飛ばして、強引にその時々の正しい行動に突っ走る刑事、パイロット、政治家。いろんなダメなとこもあるけど、最後は、その感情的な正義を正しいものとして描ききる韓国映画の意思を感じる。
法律に則って行動することが非常事態にはクソの役にもたたないことを思い知らされる。
四角四面的な対応で、手助けの手の字もみせず、同情の言葉もかけない非道なアメリカと日本。アメリカと日本嫌いが透けて見えるのがまた面白い。
アクションを盛り上げるのは、数々の政治的な駆け引き。政府間、省間あるいは警察と国土交通省との駆け引き。航空機内での乗客たちの政治的な駆け引き。アメリカや日本との駆け引き。製薬会社との駆け引き。次々に起こる駆け引きがドラマをスリリングにしていく様はほんとうにすごい。
政治的な駆け引きをエンタメにするパワーに感服するしかない。
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