劇場公開日 2023年1月13日

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「裸になる王様」SHE SAID シー・セッド その名を暴け ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0裸になる王様

2023年1月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

知的

映画業界の権力者の女性への性的搾取・暴行の事実をNYTの女性記者が記事にすべく奔走する姿を描く本作は、業界の醜悪な部分を自らの映画という手段で描き出すということで注目していた作品。

恥を忍んで言えば、自分自身、かつては女性の年齢、ファッション、容姿などに絡めたセクハラ発言を無意識にしていたバカ野郎なので、今は深く反省するしかない。そんな自分の意識をアップデートする心構えももって本作の鑑賞に臨んだわけだが。関係者を探りあてて電話して断られてまた連絡して会って話を聞いて…と、松浦美奈の的確でわかりやすい字幕とはいえ、会話中心の展開がずーっと続くもんで作劇的には退屈で、アップすべき意識が時折飛ぶ始末(アカン)。最近の明るみに出た出来事で被害者も多数であることから、FOXでの同様の構図を描いたスキャンダルのような過剰めな演出は控え、事実に忠実に…ということなのか。

産後鬱の様子や子育てと仕事の両立といった働く女性の苦労を見せつつも、育児・家事をしっかりこなす夫や理解ある男性上司などを出すことで男女の対立構図は持ち込まず、あくまで権力者と虐げられるものとしてワインスタインのクソ事実だけを詰めていく話にしたのは、うまいバランス感があった。あと、ドライブの可憐な人妻で初認識したキャリー・マリガンは、未来を花束にして、プロミシング・ヤング・ウーマンと、自身のキャリアの方向性を確実に打ち出しているのだと感じた。

翻って、今やわが国の大手メディアには週刊文春を除いてろくに期待できない時代になってしまった。せめて映画業界内では自浄作用の証としてあのーそのー監督の話とか、誰かフィルムにしてほしいもの。

ジョンスペ