「天晴れな女性記者に完敗です!」SHE SAID シー・セッド その名を暴け 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
天晴れな女性記者に完敗です!
女性新聞記者たちが苦難を乗り越えて勝利を掴む瞬間の感動は、まさにこの作品のハイライトでした。映画プロデューサーのセクハラを見事に暴露した瞬間でした。その映画プロデューサーの悪事の働き方は、用意周到に準備された契約書などを盾にしており、25年あまりの間にレイプを繰り返していたことが、白日の元に晒されなかった理由です。その間にどれだけの女性が苦しんだかと思うと怒りを禁じ得ません。しかし、二人の勇敢な新聞記者の地を這うような努力の積み重ねが、その悪事の大きな壁を突き壊したのでした。ある意味精神闘争の激しい攻防戦ともいえます。セクハラは人間の生み出す悲しい性でしょう。どんな時代でも組織があれば必ず発生するものと言えるかもしれません。人類は最初は女性しか存在しなかったところに、男性という生物が誕生しました。本来は女性を守るために発生したはずですが、腕力があるために戦争をし、男性社会を作り、女性が下に置かれたり蹂躙されたりしました。そして現代の会社組織でも権力を握った男性は、女性をコントロールしようとする馬鹿な輩が出てきます。性欲は人類の継続のためにあるものですが、突出した人間は、その性欲を満足させるために、現代の会社組織の中でも悪事を働きます。権力を持つとそれは容易に人間性のタガを外すものになるようです。しかし、やはり最終的には女性の方が本質的には強いのでしょう。ラストには鮮烈に女性が勝利します。映画プロデューサーは、2020年に23年の刑期が確定し、その男性に関係する女性86人が告発を行いました。女性新聞記者の奮闘により、一気に女性たちの真実の告発の歴史が開始されたのでした。天晴れな記者に完敗です。