春に散るのレビュー・感想・評価
全260件中、161~180件目を表示
これからの人生への再々スタート
いきなりネタバレですが
ストーリーとすれば元ボクサーの初老の男が一旦挫折した負けん気だけは強い若いボクサーを世界チャンピオンに育てる、そして結果的に世界を勝ち取る。しかし・・・
ですが、その後のラストでは描かれてない主要人物のその後を予想させる終わり方でもあったと個人的に推測しました。あくまでストーリーの中で語られたことを根拠としていますが。
黒木翔五これはラストで触れられてるが、網膜剥離で世界チャンピオンは返上、ボクサーは引退、再々スタートで会社員。
その彼を支える恋人佳菜子(同上)、いずれ結婚?
大塚、彼は引退して実家の造り酒屋を継ぐことは述べられている。
翔吾の母、息子の勇気と決心に影響され女として男に頼ることなく一人で生きていく。
佐瀬健、ボクサーと言うより子供たちにボクシングを教えるトレーナー
藤原次郎、玲子のジムでトレーナーになってるかそこらの飲み屋で飲んだくれてるか
真田玲子、世界チャンピオンを育てるようにジムを続けるが広岡の言う言葉にも影響されて育成方針を若干変える。
中西利夫、ジム会長ら。再び世界タイトルに向けて再スタート。
映画の終わりではあるがみんなそれぞれ広岡・翔吾の生きざまを見てこれからの人生が変わった、と思わせるようなストーリー。決して広岡の死で終わりではなく、それから人生の再、再々、再再々のスタート、前を向いて行こう。と思わせるラストであったと思います。
翔吾のラストでの「再々スタート」と言う言葉がこの映画の言いたかったことの1つだったのかもしれないでしょう。
今を咲かす
ボクシング映画の設定はほとんど似たり寄ったりだ。
どん底、崖っぷち、何か暗い過去を背負った主人公。ライバルや導く者との出会い。再起のチャンス。成長とハングリー精神。苦境は一度のみならず。それらを経て、人生と運命を懸けた試合に立つ…。
作品によって新味やアレンジも効かされているが、ほぼほぼこの流れを汲む。
それでもボクシング映画にエキサイティングさせられ、外れがないのは、この設定が古今東西見る者の不屈の精神と闘志を燃やし続けるからだろう。
ふとしたきっかけで出会い、拳を交わした初老の男と若者。
男は、広岡仁一。元プロボクサー。
若者は、黒木翔吾。現プロボクサー。
仁一は40年前、不公平なジャッジで負け、日本を捨てアメリカへ。ある理由から日本に帰ってきたばかり。
翔吾は先の試合で、同じく不公平なジャッジで負け。以来燻っている。
お互いがボクサーである事は拳を交わした時に分かったのであろう。
やがて翔吾は仁一に教えを乞う。最初は断る仁一だったが…。
仁一が断る理由は帰国の理由にある。心臓に重い病を抱え、手術をしても助かる確率は半々…。
アメリカで実業家として成功したものの、ボクシングからはとっくに遠退き、人生のリングからも下りようとしている今…。
が、翔吾は真逆だ。燻ってはいるが、闘志の炎はまだ消えてはいない。いや寧ろ、教えを乞いたい人と出会い、闘志の炎が再燃したと言っていいだろう。
翔吾にとっては、今しかない今。
下火になっている“今”と今しかない“今”がぶつかった時、二人の男の新しい闘いと最後の闘いが始まった…。
センスはあるが、荒削り。仁一は一から徹底的に翔吾にボクシングを叩き込む。
仁一はかつての仲間に強力を乞う。同期の佐瀬と藤原。佐瀬は再びボクシング魂が沸くが、ムショ帰りの藤原は拒否。
かつて所属していたジム。今は恩師の会長の娘・令子が継いでいる。
このジムに所属する事になっていたが、期待のボクサー・大塚とスパークリング中トラブルを起こし、白紙に。佐瀬のツテでオンボロジムから再出発。
着実に実績もスキルも上げていく翔吾。
彼がボクシングを始めた理由。当初は否定したが、母を守る為。
気性が激しい時もあるが、本来は優しい性格。だがそれはボクシングでは弱点になる。それを仁一に咎められる。
家族と凝りあるのは仁一とて。自身に妻子はないが、ある日姪の佳菜子が訪ねてきた。佳菜子は父を長らく看病している。余命も僅か。会う事を拒み、程なくして兄は死去。これで良かったのか、最後に一度だけでも会っておけば良かったのか…。
ボクシングで判定負け。家族間に問題が。自身も何かを背負っている。
似た者同士の仁一と翔吾。二人が佳菜子が作った弁当を向かい合って食べるシーン。二人の心がここで一気に縮まったように感じた。
翔吾に大きなタイトル。
因縁ある大塚との試合。勝った方が現世界チャンピオン・中西への挑戦権を掴む…。
仁一は話を持ち掛けられた時、当初は断る。結局は現チャンプのお膳立てに過ぎず、翔吾を利用させられたくない…と言うが、それはただの老いた者の逃げに過ぎない。
翔吾にとってはまたとないチャンス。
俺はやる。闘う。勝ち進んで、世界を取る。
翔吾の熱意に負け、仁一は試合を許可する。
迎えた翔吾と大塚の試合。
接戦の末、翔吾が勝つ。中西への挑戦権を掴んだ。
そんな時、翔吾の目に違和感が。試合をすれば失明してしまうかもしれない。
試合を反対する仁一。試合がしたい翔吾。激しく対立する。
身体に不調が表れたのは翔吾だけじゃなかった。仁一も胸の苦しみがひどくなっていく。遂に倒れてしまう。
再出発し、順調に勝ち進んでいた時、突然各々を襲った病…。
このまま負けるのか…?
それとも…?
佐藤浩市と横浜流星のW主演。
老い、病、哀愁…。それらを滲ませ、苦みと再び燃やす闘志を、佐藤浩市が言うまでもない名演。ボクシング・トレーニングも受け、彼自身に試合シーンは無いが、特訓シーンでは見事な身体の動きを見せる。
試合を見せるは、横浜流星。とても演じているとは思えない、本当に闘っている試合シーンは圧巻。その腕前は実際にプロテストを受け、見事合格したほど。勿論若さ故の血気盛んさと脆さを兼ね備えた熱演は、昨年からの快進撃をさらに不動のものに。
実際にプロボクサーでもあった片岡鶴太郎の名トレーナーぶり、哀川翔も好助演。
話題の27年ぶりの映画出演の山口智子。
仁一、佐瀬、藤原、令子の古くからの付き合いの4人の姿が、演じた4人も古くから付き合いあるのだろうとそのまま自然に思わせるほどリンク。
若手も奮闘。橋本環奈は清涼剤でありつつ、時に仁一と翔吾、翔吾と彼の母親(やさぐれ坂井真紀)とのクッション役。
坂東龍汰は横浜流星と白熱の試合を展開。ここも非常に見応えあるが、通過点に過ぎない。
本作最大のライバル。チャンプとの闘い。窪田正孝が存在感放つ。
本作を見たかった理由の一つが、これ。横浜流星vs窪田正孝。若手実力派として活躍著しい二人のぶつかり合い。共に以前にもボクサー役経験あり。演技面でもボクシングでも。
人を挑発するような中西の言動は時折イラッとさせると共に窪田クンの巧さ光る。(翔吾vs大塚の試合を観戦中もスマホいじってばっかりで翔吾から激昂の言葉を投げつけられるが、これは翔吾が正論)
二人が繰り広げるクライマックスの試合。いや、死闘。もうフィクションを超えて、迫真さとリアルがほとばしる。
ボクシング映画の数々の名試合…。ここにまた一つ、名試合が刻まれた。
その姿を体感し、目に焼き付けよ!
邦ボクシング映画に、また新たな力作。
だが所々、腑に落ちない点もあり。
序盤、翔吾はどうやって仁一の家を突き止めた…?
アメリカに渡って40年の仁一。ボクシングから遠退いて別の仕事をしていたのに、全くセンスやスキルは失わないもの…?
突然佳菜子も同居。いつの間にやら翔吾の母親とも昵懇。
翔吾vs大塚。もっと盛り上がって始まるのかと思いきや、佳菜子の視点でいきなり試合が始まっている。
省略の美学なのかもしれないけど、ここら辺もうちょっと描写や理由付けがあったら…。
それから、ラストシーン。再々出発のハッピーエンドだが、タイトル通りあそこで終わっても良かったのでは…?
とは言え、瀬々敬久監督も好調な仕事ぶりが続く。
ボクシングの闘いは時に酷だ。
身体に深刻な障害をもたらす。失明や身体の故障だけじゃなく、死を招く事も…。
身内にとっては愛する者や大切な人が殴られるのを見なくてはならない。
闘う本人にとっても、不条理や理不尽にぶち当たる。
闘いの果て。栄光か、倒れるか。
それでも闘う。ボロボロに傷付いても。再起不能になっても。この身がどうなろうとも。
身体はとっくに限界は超えていても、立ち上がれ!立ち続けろ!
闘志が吠える。拳が叫ぶ。
全ての苦境に立ち向かえ。己の生きざまを見せつけろ。
俺たちは今、燃えている。燃える事は、生きている事だ。
それが、今だ。自分の人生と運命と命を懸けて、今を咲かす。
カラカラ、カラカラ……
空回り
そんな風に見えたのは私だけですかね
原作があるので、かなり端折られてると感じました
だから「なんで急にそんな展開に?」
と思う事が多かった。
演出も「?」と思うところが多々ありました。
季節が「夏」と出てるのに
思いっきり白い息が出てたり
時代設定も現代なはずだけど
なんかヤケに古臭かったり……
恐らく、“春に散る”シーンが
一番撮りたかったとこだろうなと言うのは伝わりましたけど……
うーん。
俳優陣は豪華で厚みがありました。
そんな中でも一番元気だったのは……片岡鶴太郎
こうなると、ボクシングより、ヨガってスゴいわってなる
心が震える映画。
違和感ばかり・・・
①橋本環奈の周辺のエピソードは、あれ必要なの?
②横浜流星は役作りがすごかったが、ボクシングを極めて成長していく過程や途中のトレーニング描写が足らず、結果全体的に薄っぺらいボクシングになっている。
③全体的に予算がないのか、試合の描写が陳腐になっていて残念
④世界タイトル戦も、どこかの体育館みたいなとこで撮影されており、本当にこれが世界戦?みたいにしか描かれてない。
⑤試合中、観客が静かで臨場感がほぼない!
⑥窪田正孝のチャンピオンに凄みが感じられず、変なヤンキーっぽい描写のみ
⑦タイトル戦の試合後半のスローモーション。あれ子供がよくやる拳を相手の頬にゆっくり当てて、相手はその動きに合わせて打たれたように顔を振る動きそのもの。
色んな意味で残念な映画だった。何故こんなに評価高いのかな?
超、胸熱なスポ魂ストーリー決定版!
演出、絵作りが惜しい
鉄板の胸熱ボクシング映画、それも邦画受けする逆境貧乏はね返しサクセス系、かつ沢木耕太郎で本もいい、
そして役者もいいし演技もいい、、、
のになぜか全てが惜しい本作。
人情に振るならもう少しヒトの汚さや泥臭さを絵に出しても良かったし、映像に振るならせっかくの大分ロケからもう少しエモさを滲み出しても良かった気がする。
地元のお祭りのシーンなんて、実家の行く末や人物の心境との対比でめちゃくちゃ印象づけられる可能性あったのに、うーん、祭りやってんなーって感じ。
あと、最後のスローになる演出はいいシーンのはずなのに笑ってしまった。。。
なんか、全てのシーンが説明臭かったり取ってつけた感があったり…好みの問題でしょうか。
いろいろ言ってしまいましたが、やっぱり役者と演技がいいのでこの点数。
邦画には歴代の振り切ったボクシング物良作がゴロゴロしているので、それらと比べてしまうと、話の展開といい絵といい、少し小綺麗にまとめようとしすぎてしまった印象です。
春に散るを見て
心地よく
沢木耕太郎はいくつかノンフィクションを読んでいるが本作の原作は未読。2時間強、喜んだり悲しんだり訝しんだり納得したり、心地よく物語と登場人物の感情の流れに浸ることができた。前日に見たリボルバーなんちゃらの食あたりを解消して月曜を迎えられる。
映像も美しく役者も真剣さが伝わり良い印象。横浜流星はいつも良いが今回も身体づくりから顔つきから素晴らしかった。橋本環奈も化粧も薄く顔芸も抑制されて良かった。哀川翔と山口智子がちょっと濃かったが。佐藤浩市と窪田正孝も期待通り。
ストイックさに圧倒される
命の結晶をきらめかせながら散る
完全燃焼ができるなら、片目がなくなってもいい、片腕がなくなってもいい、命が尽きてもいい。
側から見れば、自分勝手とも言える美学かもしれない。それでも、彼らが体をボロボロにしながら、光り輝く瞬間を目の当たりにすると、えも言えぬ感情が湧き上がってくるし、それを究極の美学として感じてしまう。
チャンピオン防衛戦にちょうどいいかませ犬が2人いる。かませ犬同士の勝者とチャンピオンが戦うというストーリーは、ありきたりでもあるが、体を徹底的に仕上げた俳優同士が、実戦としか思えないファイトを繰り広げる。
肉を打つ音、ボディブローを食らって歪む顔。ものすごい熱量がスクリーンから伝わってくるために、フィクションということは、すっかり忘れてしまう。
クライマックスの防衛戦は、まさに死闘。輝く代償に、何かが失われる。それがわかっていても、決着を見届けたい。どちらが勝っても物語としては成立するし、ドローであっても成立する。
命の結晶をきらめかせながら散る。男のロマンそのものでございました。
あしたのジョーの実写版的な
全体的に暗い感じの内容でしたが、どこか懐かしく良い映画でした。
キャスト1人1人が良い味を出してた。
橋本環奈ちゃんは幸薄そうな役でしたが、見事に演じてました。こんな役もこなせるんだと思いました。
失礼かもしれませんが、元々ノーメイクだと幸薄そうなお顔と思ってましたが、個人的にはこっちの方が好き。
窪田正孝さんのライバルボクサーも最高!
鶴太郎さんの入浴シーンで引き締まった身体を見てびっくりしました。
この年であの身体!思わずヨガしようかと思ってしまった。
横浜流星君の身体も引き締まってて、ファンにはたまらんやろうな〜
久しぶりに、昔ながらの邦画を見た感じです。
おじさんには、たまらなく良い映画だと思います。
特に、あしたのジョーやロッキー世代には!
ねかはくは はなのもとにて 春しなん
「ボクシング映画に不出来なし」の約定は
今回も守られた。
何を置いても、
選手は当然のこと、ジムの構成員、会場に集う観客、
それらのボクシングを愛する全ての人々の熱い思いが画面から溢れ出す。
単に金儲けの手段として安直に、
または策を弄して楽に頂点を目指そうとする者は
本作を観て眼を洗った方が良かろう。
勿論、頂点に立つには、
才能、努力は当然のこと、
周囲のバックアップ、運や時代も味方に付けねば。
ほんの一握りはが君臨するその場に立てても、
当人が本当に偉大であったかの評価は
後世が決めること。
一時は寵児ともてはやされても、
既にその名声が地に堕ちているなんと多いことか。
他方、一瞬であっても、
忘れ得ぬ輝きを放つ選手も間違いなく存在する。
過去と現在でそうした記憶に残る二人の
素晴らしいストーリー。
日本のボクシング界に辟易し
アメリカに乗り込んだものの自身の限界を悟り引退、
その後ビジネスで成功した『広岡仁一(佐藤浩市)』が
数十年振りに帰国する。
一方で、やはり不可解な判定に自棄になり
一度はボクサーの道を諦めた『黒木翔吾(横浜流星)』が居る。
二人が交わることで物語が動き出すのは、
古典である〔あしたのジョー〕を引き継ぐ流れ。
また、ここでも
「クロスカウンター」がそのきっかけとなるのは、
ある意味、リスペクトからか。
もっとも、そこからの流れは少々ありがち。
『広岡』には『広岡』の
『黒木』には『黒木』の過去があり、
それがボクシングの場面と同等に描かれる。
初期のライバルと後期のライバル、
主人公を襲う引退の危機となる疾病。
どれもがお決まりとも言え、
見慣れたエピソードの数々。
独自の味付けがありはするものの。
ただそうしたドラマが無く
拳闘の場面ばかりでは
物語りが薄っぺらいものになってしまうだろうが。
それらが事前にすんなんりとインプットされているほど、
闘技の場面がより盛り上がるというもの。
最初はボクサーのお話と思っていたが、
どうやら本作は伯楽の生き方に重点が置かれているよう。
将来を嘱望される若者でなくとも、
先短い老人でも、
十分に心を打つ物語りにできるとの。
ボクシング愛
流星ボクサー❗
全260件中、161~180件目を表示