春に散るのレビュー・感想・評価
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王道
横浜流星がまずはすごい。
プロテストまで受けたと聞いていたので、それなりの仕上がりなんだろうとは思っていたが、ボディメイクとボクシング技術。背を丸めてビシビシと打ち出される拳のキレ。ボクシングに明るくない私が見ても「すごい」としか言いようがない。
身体作りだけでなく演技や表情も良くて、近年の若手二枚目俳優としては群を抜いていると感じている。
お話としては、比較的「王道」といった感じ。ただ、リングの上での勝負を過剰に演出せず、「ここで戦う二人から、リングの外の人々が受け取るもの」を感じさせるつくりになっている。
ラストのタイトルマッチも「ロッキー」的な音楽によるエネルギッシュな畳み掛けはほぼない。
そういうドラマ構成。
佐藤浩市は最近枯れた演技が多いけど、味があっていい。
鶴太郎もすごくいい。
窪田正孝もすごくいい。
ハシカンさんはいつも通り。
哀川翔って、個人的には「下手」だと思うんだけど、世の中的にはそうでもないのかな。
私の趣味としては、人間ドラマはもう少しドロドロしたところ、下品だったり意地悪だったりした部分があって欲しいので、ちょっと物足りない感じ。
ストーリーにももう少し分かりやすいメリハリがあるとよかったな。
脚色にも演出にも難あり。 だが、「ロッキー」にも「あしたのジョー」にもしたくない志向は伝わる。 主演俳優に牽引され、いかなる人生にも明日があるのだと感じさせる。
やっと今、この小説が映画化され、佐藤浩市と横浜流星がダブル主演と聞けば、原作ファンとしては期待せざるを得ない。しかも監督が瀬々敬久なら尚更だった。星航という人のことは知らないが、瀬々敬久はその人物と共同で脚本も手掛けている。
然るに、上下巻からなる小説を2時間強に収めた脚色の工夫は買うが、何だか釈然としない。
以下、やや苦言---------------------------
登場人物の設定を大胆に変えたのはよいが、焦点の絞り方が定まっていない印象を受けた。
原作は、元ボクサーの広岡仁一が主人公なのだが、四人の元ボクサーの老いらくの青春を描いている。そのトリガーとなるのが、若いボクサー黒木翔吾と訳アリ女性土井佳菜子なのだ。この老人たちと若者の六人の奇妙な共同生活の描写にかなりのページを割いている。
この映画では、老人たちの青春よりも広岡と黒木に焦点をあてようとしたのだと理解したのだが、ならばもっと余計なものを省いて広岡と黒木の師弟関係に集中できなかったか。やや散漫な感じがして、残念だ。
黒木翔吾(横浜流星)と土井佳菜子(橋本環奈)は完全オリジナルな設定に変更されている。
佳菜子を姪という設定にしたことで、広岡仁一(佐藤浩市)の生い立ちもオリジナルなものになっている。
広岡の現役時代もアメリカ時代も映画では描かれていないから、40年ぶりに帰国した彼の行動原理はそこからは量れない。
彼の人間形成に生い立ちが影響していると感じるかどうかは観る者次第だが、佐藤浩市の役者力がその数奇な生い立ちを滲ませて観客を惹きつけるのは、サスガとしか言いようがない。
脚本は、佐瀬健三(片岡鶴太郎)や真田令子(山口智子)との会話で広岡の人物像をあぶり出そうとしているが、ジムの前会長(令子の父)とのボクシング論の違いを持ち出したりしたので、返ってブレてしまった。広岡のボクシング論がどこまで黒木に伝授されたのか(あるいは、黒木の影響で広岡のボクシング論が変わったのか)が不明瞭で、つまりボクシング論の違いは物語に重要ではないのだ。
そんな要素を織り込む一方で、佳菜子が試合を見に来たり、同居し始めたりの関係の発展は説明を省いていて、唐突な印象だ。広岡と佳菜子を血縁関係に変えたのは、同居することの違和感を払拭する以外に意味があるのか解らず、佳菜子の存在があまり活きていない。
父親が死んで孤独になった姪が突然押しかけてきた…くらいに簡潔にしておいて、佳菜子との生活が広岡に何かをもたらすエピソードを入れても良かっただろうに。
四人の元ボクサーを三人に整理したのは良いが、結局は黒木を育てるのは広岡ほぼ一人で、佐瀬健三は協力者だが、藤原次郎(と星弘を合体させたキャラクター)(哀川翔)は別行動。ならばこの人物も削除してよかった気がする。
黒木は母親(坂井真紀)との関係などから人物像にやや迫っている。
プロボクシングという特殊な世界だからこその、刹那的なロマンを求める若者を演じた横浜流星には、鬼気迫るまでの熱量を感じた。
だが、母親を守りたくてボクサーになったという設定とはキャラクターが重ならない。対戦相手を慮ってしまう優しさがプロとしては仇になると広岡に指摘されたが、それを克服する過程が描かれていないから、黒木の成長物語を感じられないのだ。
黒木の対戦相手が二人登場する。
大塚俊(坂東龍汰)と中西利男(窪田正孝)だ。
窪田正孝がプライベートでボクシングジムに通っていることは有名だし、『ある男』でボクサーぶりは披露済みだ。坂東龍汰も確り体を作っていた。
ところが、肝心の試合の演出に臨場感が欠けている。あれは意図的だったのかもしれないが、そうならミスリードだと思う。
試合会場が陳腐なら、観客たちもセコンド陣も白々しく見えた。
中西の所属ジムの会長を演じた小澤征悦が下手くそに見えてしまったほどだ。
黒木が破滅的にボクシングに没頭するから、逆にボクシングをスポーツライクに描きたかったのかもしれないが、大塚と中西の試合後の態度が全く同じように単純に潔いのが戴けない。
特に悪役然とした中西のキャラクターは何だったのかと思う。プロレスみたいな乱闘をしろとは言わないが…。
この映画、本当に瀬々敬久の演出なのだろうか…
と、長々酷評したのは期待の裏返し----------
余命幾ばくもない初老の元ボクサーは、40年ぶりに再開した昔の仲間が荒んだ生活を送っていることを知る。残された時間で、彼らと昔を懐かしむ平穏な日々を過ごしたいと彼は思ったのだろう。
たが、偶然若いボクサーと出会ったことで彼の余生は大きく転換するのだ。
擬似親子のような若者と老人は、生き急ぎ、死に急ぐ。ボクシングを題材にして語られがちな「破滅の美学」のように見えて、実は二人の再生の物語であることが、終盤で心に染みてくる。
横浜流星の心身を削った迫力の演技。
佐藤浩市の語らずとも滲ませるイブシ銀の佇まい。
片岡鶴太郎の本物を感じさせる身のこなし。
二人が駆け抜けるほんの1年間の時の流れを、季節で示す手法が良い。
そして、タイトルが示唆する最期の春がやってくる。
散ってしまった後に「春に散る」というタイトルを表すのは間抜けな感じがしたが、映画はそこで終わらない。
若者には未来がある。
「俺に明日なんかねぇんだよ!」そう言い放つ若者の未来と今の両方を守ろうとした老トレーナー。彼が命に代えて託した思いは、若者の身体の中で生き続けているという、素敵なエンディングだった。
ただ、ただ、素晴らしかった
勉強不足で原作を読んでおらず、細かい演出のことも分からないが、胸に突き刺さる、本当に素晴らしい作品だった。1人として完璧な人間は出てこず、だけど登場人物全員が愛しくてたまらなかった。演者の方々のこの作品にかける思いが伝わってきて、試合シーンは思わず立ち上がってしまいそうになった。まさに「勇気をもらった。」
主題の意味
人に元気、勇気を与える満開の桜は春に散る。毎年必ず。
これがリスクをとって挑戦し花を咲かせた黒木と広瀬の人生にかかっているとおもった。
人生で満開の桜を何度咲かせるか。
そのためにどのように動けるか。
散ってもまた咲かせるために走り続ければいい。
自分も頑張ろうと思えた。
9割は全部台詞で説明する稚拙凡庸。
台詞無き最終戦だけは良く、
それ以外即ち9割は全部台詞で説明する稚拙凡庸、
たる極端配分は策か?な訳ねか。
脚本監督の瀬々は駄目だが、
拳闘演出の松浦慎一郎と死闘激演の窪田と横浜は良かった、のかな。
あと鶴太郎は無理なく、異人たち振りに良し。
外れ無しの拳闘映画では下位。
けっこうよかった
横浜流星がキレキレで体もすごい。チンピラ感も出ていたのだけど、行動は特に素行が悪いわけではなくチンピラではない。トレーニングや試合がたっぷり見られる。
山口智子が佐藤浩一を「くん」づけで読んでいて、年がよく分からない。
ただクライマックスの試合の12ラウンドはスローモーションでの打ち合いなのだけど、スローモーションでの撮影ではなく、スローな動きの撮影だったようで、汗のしたたりが通常の速度だ。もちろん役者さんが豪快に顔面を殴り合うわけにはいかないだろうから仕方がないにしても汗はCGで消したり、CGでゆっくりにするなどして欲しい。
世界戦にしては会場が小さくて2階席は埋まっていない。真っ暗にして見えなくして欲しい。でも現実もそんな感じなのも知れない。
物語はドラマが盛りに盛られていて、しかもステレオタイプな感じもする。会話も類型的な箇所が気になる。すごく真面目で固い。もうちょっとふざけていたりくだけていた方が好みだ。
桜の木下で眠りにつくのは美しい!
ラストの佐藤浩一の満足し切った死に顔は美しかった。日本人が好きな桜のあるシュチエーションです。口は半開きで目も半分開いていました。いわゆる半眼半口という悟りを開いた者の顔つきでした。合掌です。タイトルは「春に散る」ですので、観る前はちょっぴり忌避感があったのですが、燃焼し切った男の顔でした。ボクシングというスポーツが、この作品の表の部分ですが、裏の部分は楽しいことや辛いこともある人生を、それぞれの登場人物たちが燃焼し切って生きる豊かな軌跡の物語でした。私が泣けたのは、佐藤浩一の姪に当たる橋本環奈の霊柩車を追いかけるシーンでした。メインではないのになぜか涙がほろり。佐藤浩一は世界チャンピオンとなった過去がありながら挫折しています。その人生の中でやり残したことを、横浜流星に託したのでしょうか。横浜流星の世界チャンピオンをかけた見事な勝負の結末は、観るものを感動させずにはおかないでしょう。横浜流星はその戦いの中で失明?しながらも宇宙に届くような歓喜を味わいます。その歓喜は、佐藤浩一にも間違いなく届いていました。それは二人にとっての人生の大勝利だったのでしょう。与えられた人生のシナリオを完璧にこなすことが、一番の幸せなのだということを教えてくれた傑作と言えるかもしれません。ボクシングというスポーツを借りて、人生の醍醐味を見せつけてくれたような気がします。
追記 横浜流星(極真会)と窪田正孝(ボクシングの映画で活躍)の二人は、どちらもボクシングに取り組んでいましたので、試合風景はまさにガチでした。プロ顔負けで素晴らしかったです。山口智子、片岡鶴太郎、哀川翔の存在感も完璧でした。
役者陣の大健闘にシナリオが追いつかず判定負け
原作と映画は別物と百も承知の上だけど、あまりの改悪ぶりにガッカリしました。原作は無駄のない描写で、引退した四人のボクサーのその後の人生を通じて、『ボクサーと言う生き方』を描いているのが魅力です。一方,映画は主人公二人の師弟を中心にしているのはいいけど、翔吾の母親や佳菜子の実家など、原作にはない不幸なエピソードを追加した事で、かえってお涙頂戴的な昔ながらの日本映画になってしまっています。翔吾のキャラも最後までチンピラ風なのも、ありきたりです。監督・脚本が、人間ドラマに定評のある瀬々敬久とは思えない出来でした。ただし、役者陣はみなさん大熱演で星のほとんどは、役者さんです。佐藤浩市は、こんなにも豊かな表情ができるのかと改めて驚きました。横浜流星、窪田正孝は、ボクサーライセンスを取っただけに迫力あるファイトシーンが凄いです。片岡鶴太郎、哀川翔のトレーナーもお二人のキャラぴったりでした。
人生は、得て、失って、また得て、を繰り返す
原作既読で鑑賞。原作はボクシングが持つ独特の世界観を芯に人生を描く物語であったが、本映画はボクシングものの王道を行く物語に変わっていた。
目の前の勝負に一生モノのリスクを賭けて挑もうとするボクサー、それを見守ることしかできない家族、情熱をとるか現実をとるかを迫られる指導者…の三者三様の姿はテンプレとも言える。「春に散る」の原作エピソードはキャラクターのバックボーンに僅かに残る程度だったが、全編を通してみると原作と共通したテーマを感じられる物語になっていた。
見所は俳優陣の熱演で、ボクシングシーンや窪田正孝さんのただ者ではないヒールぶりが光っており、難しいラストシーンを成立させた佐藤浩市さんの佇まいも見事だった。
映画作りに対する熱意を感じる作品である。
勿体ないドラマ
ボクシングシーンはかなりの見応えあり。
横浜流星と佐藤浩市しか出演者チェックしてなかったけど、対戦相手が窪田正孝だと知りテンション爆上がり🔥
でもなんだろ。脚本がよくないのかな??セリフが陳腐なのかな。なーんか全体的に嘘臭いのよね。ストーリーの行末は気になるんだけど、描き方が雑というかなんちゅーか。
良い人たち出てるのに勿体ない。
観て損はない映画だ。鑑賞をお勧めします。
久しぶりに娯楽映画ではないシリアスな映画を鑑賞をした。メンタルが回復してきたのと自宅近くの映画館で上映していたからだ。
冒頭、主人公の上着肩についた1枚の桜の花びらが手元のビールグラスに落ちるシーンを背後から撮っている。いい映画が始まるの予感させる。観終わってレビュー好評価を納得出来る作品だ。皆さんに鑑賞をお勧めしたい。また、カメラアングルが秀逸で、そこも確認して貰いたい。
映画は観客に代わって、夢や希望を叶えさせる役割を担っている。現実はこの映画の結末のようになると私は考えていない。大半の人は後悔を残して人生から去って(散って)行く。原作の結末はどうなっているか知らない。それで0.5点、減点した。好みの問題だ。
それにしても、佐藤浩一は父三國連太郎とは違った歳の取り方をしていて、今後も活躍を期待できる。
リングの中の獣たち
はみ出し者ボクサーと人生の最終ラウンドに差しかかった元ボクサーが、共にどうしようもなく燃え上がる映画です。
全てのボクシングシーンが素晴らしくて男優のみなさまありがとうございました。
冒頭のクロスカウンターで心を掴まれ、最後まで集中して鑑賞できました。
試合後の挨拶なんかも良かったです。
ただ1点、ボクシングのスローシーンは、拳を押し付けている様に見えて残念でした。
橋本環奈不要
迷っていたが友人が泣きそうになったと言うし評判があまりに良いので見に行ったがちょっとハードルが上がりすぎたのか感動できずアラばかりが目についた。横浜流星がとても良くて彼のファイトシーンだけでもボクシング映画として十分面白いのだが、佐藤浩市との師弟関係が…その出会いからコーチングを懇願されお決まりのおあずけでじらす感じとかラス前の病院での疑似親子シーンに至ってはちょっとキャラ的にどうなの?というくらい面はゆくちょっと違う役者で観たかった気もする。キャスティングで言えば橋本環奈がダメとうか無駄遣いというかそもそも中途半端なキャラで必要性を感じず脇では唯一はまっていた母親の坂井真紀で十分。特に父親の霊柩車を追いかけてわめく中途半端なロングショットは最低で、彼女の登場シーン全部回収してその尺を母親と流星の回想シーンに使ってくれと願わずにはいられない。かつて活躍したボクサーで日本に戻ってきた年寄りの気持ちは大体わかるのだが、ここまでその年寄りにすがり再起に掛ける流星の人となりをもう少し描いて欲しかった。あまりにも素直でいい子過ぎるのだ。
ストーリー自体は普通だが、横浜流星の仕上がりを観るだけでも価値ある...
ストーリー自体は普通だが、横浜流星の仕上がりを観るだけでも価値ある作品。むちゃくちゃかっこよかった。
最後、横浜流星が走り出すシーンが非常に良かった。
詰め込みすぎと演出の稚拙さが気になります
俳優陣の熱演はとても評価したい作品です。お話としても嫌いではないです。
ただし、原作は未読ですがその存在があることを前提としても、不要なシーンや不要な要素が多く、それでいて肝心な要素は説明不足というチグハグな作品です。
主人公2人の出会いのきっかけとなったカウンターを序盤から雑に使いすぎですし、将吾の母や佳菜子関連のシーンはほぼ不要ですよね?(橋本環奈さんの今までにない魅力には気づけましたが)
また、安易に決まる世界チャンピオンへの挑戦やボクシングシーンのクライマックスでの無駄な演出過多など、クリード3のダメな部分と同じ間違いをしてしまっているのも違和感しかありません。
最後の終わり方もダラダラしていて、ただでさえ長く感じる作品を必要以上に緩み切った作品の印象を与えていると感じました。
期待してなかったけど
日本のボクシングをテーマにした映画では良作。試合シーンよりもダブル主演の二人の熱演と相乗効果がグッド。特に佐藤浩一さんの仁一郎役は好演。どんな役でもハマるのが流石です。何気に脇を固める役者陣もしっかりしていて安心して観られました。
ありきたりでない、ラストも印象的。
まさに拳闘
ボクシング映画はどうしても試合シーンの成否が左右するが、しっかり仕上げてきて感服。
個人的イメージだとボクシングだとスマートさを感じるが、この映画はまさに拳闘。
冒頭でのクロスカウンターなんかはあしたのジョーを彷彿させ、そこから横浜さんが何故か矢吹ジョーとシンクロしてきた。
ダブル主演の佐藤さんは、ダンディーで、丹下のおっさんとは全くシンクロしないが、この作品のキーになる演技は流石。
見ているこちらも熱くなってきました。
華やかさの橋本環奈さんも新鮮。
行間を読みつつ飽きさせない脚本で、非常に見やすかった。
強いていったらボクシングシーンのスロー。
ちょっと長いし、パンチの迫力や痛さを減らしたと思う。
大作が多いこの時期の公開だが、色褪せない良作。
散ったなぁ…
そういうタイトル回収でした。確かに春に散りました。
冗長なシーンもあったし、そんな風にしなくても…とか、まったく説明のないまま話が進んだりしたけど、話の筋は良かったんだろうと思う。
ただ…。
最後の試合シーンのスローはコントみたいでうんざりしたし、役柄の設定なのかも知れないけど、横浜流星のチンピラ感がイヤだった。
また、山口智子は、最初誰かわからなかった。
主人公を君付けで呼ぶからにはもっと年配の人がやるべきだったのでは?
この辺りがマイナスポイントかなぁ…
きっと続編はないんだよね
原作未読の2回鑑賞しました。
一回目は瀬々監督の故郷でもある大分にて。
二回目は豊洲の舞台挨拶にて鑑賞。
◆広岡仁一(佐藤浩市)
冒頭で将吾にパンチを喰らわす仁さん。
誰よりも強い男だった。
でも、実は病がわかり、昔を懐かしくなり、故郷に戻っていた。
どんな強者にも立ち向かっていった元格闘家も
近いうちに訪れるであろう死を受け入れられないでいた。死は怖い。
翔吾の不祥事で土下座しながら
「これは私の最後の仕事なんです」
と言い切っていた。
「最後になるかも知れない」ではなく、言い切っている段階で、本当の死期が見えていたのかな。
その儚さが、桜のイメージにも重なる。
強さと儚さの対比、の共存を見事に演じてくださった。これこそ佐藤さんだと思った。
仁さんのカレー、どんな味だろう?
◆黒木翔吾(横浜流星)
母親を守りたくて、ボクサーを始めた心の優しい真っ直ぐな役どころ。
「優しさは試合で仇になる」と警告される。
前半は好戦的なボクシングだが、徐々に感情をコントロールするように改善されていく。
入場シーンは何度もリピートしたくなる。
中西が突然ジムに来た時、眼球だけで闘争心にさらにスイッチが入る眼をした。
そう、これが流星さんの魅力のひとつで、眼だけで演技ができる。
実家に帰ると、知らない男が居た時
「息子だよ!」という。恐らく昔から何度もこんなことがあって慣れてるんだろうな。
でもあまり女性慣れしていない?のか佳菜子に対してはぎこちない対話がなんか良い。
流星さんの出演作はほぼ鑑賞しましたが、毎回、役への作り込みが本当に素晴らしい役者さん。
言葉ではなく、きちんと作品と行動で示す。
プロのライセンスを取得するほど。
「実際の試合に出るなら役者を辞める。」と格闘家の方々へのリスペクトも忘れない。
身体能力を活かした役が今後もっと観たいと思う。
◆中西利男(窪田正孝)
映画出演ラッシュの中で、こんなに身体を張った役をこなすことに驚き!
山の子ジムに偵察に来て、
去る時に翔吾に向けて送ったジェスチャーわからない。
挑発なのか、
はたまたエールなのか
むしろリスペクトなのか
あの翔吾のマイク啖呵で
もしかしたら友情に近いものまで感じたかも知れない
◆ 大塚俊 (坂東龍汰)
舞台挨拶で初めて坂東さんを生で拝見したのだが、こんなに柔和な人が、頭脳ボクサー大塚役をやってたのか!ギャップに驚いた。
翔吾と対戦しなくても、中西と戦うことができたのに、それでも翔吾を倒さないと前に進めないという高いプライドと強い信念があった。それだけでかっこいい!
試合でまだまだ!と立ちあがろうとするが敗れる。そのあとの、ありがとう…に心が打たれる。
◆佐瀬健三(片岡鶴太郎)
真拳三羽からすのひとり
独居老人のやさぐれ老人だったが、
でもどこか、昔の栄光が捨てきれてない
「俺にはお前らと過ごしたあの頃がすべてだった」
「ボクシングはもっと良いもんだろ」
とても名言が多い役。
将吾と仁一の張り詰めた空気を和らげようとしてるようにも見える。
山の子ジムの山下に
「佐瀬さんのお願いならなんでも聞きます」
と言われていたので、
実はとても3人の中では人望のある人だったのかも知れない。
子どもたちにボクシングを教えるという
第二、第三の新しい人生のシンボルになっていた。
◆藤原次郎(哀川翔)
真拳三羽からすのひとりで、やさぐれ。
言葉の節々にから汲み取れるのが、どこか仁一をライバル視していたのだろう。
だからこそ、翔吾の対戦相手のコーチを引き受けたのかもしれない。
◆広岡佳菜子(橋本環奈)
高三からずっと父(仁一の兄)を介護する。
美女キャラが多かったがだいぶオーラを封印し、
幸薄さが出ていた。
父親が亡くなって、あー!!と叫んでたの良かった。
家が取り壊される光景を背に
生まれ育った地元の祭りを立ち止まって、じっくりみることもなく、振り返ることもなく去っていく。
思い残すことは、ここにはない。
そんな姿はかっこよかった。
翔吾の母とは、マフラーの好みを当てたり
どこか埋まらない穴があるもの同士で分かり合えたのかも知れない。
展開に重要なら役どころではないながら、男臭い劇中に唯一緩和剤のような役割をしていた。
◆真田令子(山口智子)
将吾に対して前向きではなかった。
最後、仁一に何か言いかけたのが何だったのか気になる。
ひとつだけ、残念な点は
試合の終盤のスロー効果はない方が良かった。
これだけの描写力と力のある演者なので、映像効果に頼らなくても迫力は伝わったはず。
実際に行われる試合に忠実であってほしかったからだ。
次郎も令子も
つまり敗れたサイドに立っていたが
最後の試合で翔吾の勝利を喜んだ。
試合に勝ち進むと、色んな人の思いも背負うことになる、
と言うのはこの事なんだと思った。
最後のシーンはボクサーを引退したのか、スーツ姿だ。晴々しく社会人再々デビューだ。
「あぁ、もう翔吾の試合は見れないのか。きっと続編はないんだ」
と寂しい気持ちになるほどだった。
※セリフは若干違うかも。ご了承ください。
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