「熱」春に散る U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
熱
もっとスマートに生きればというのが今の主流かもしれない。けど、ああいうモノや時は必要ではなかろうか。
ただ時間を浪費するよりはいいように思う派だ。
2人はボクサーに見えた。
単体では。
試合になるとやっぱよろしくない。まぁ当たり前だ。実際に殴り合う訳にはいかない。本人がOKでも事務所が止める。作品のテーマとは矛盾するように思う…。
けど、それは飲み込まなきゃいけない部分なのだろう。この作品の反響次第で主演達のその後の人生が変わるわけでもなし、莫大な報酬を手にする訳でもない。
UPで殴られるHSはあんな風にしかならなかったのだろうか?
もはや予定調和の上にしか成立しない。
………はぁ。
物語はシンプルなものだった。
燻ってる人々がボクシングを通して前向きに生きていく。生きる目的を見つけていくってとこだろうか。
橋本さんは逆だった。
今までは生きてる実感がなかった。これからは自分の為に生きていく。彼女の「終わった」の一言は辛辣だけれども耳に残る。死者にとっては残酷なのかもしれないけれど、それに直面し対応せねばならない人にとっては幕開けと同義なのであろう。
にしても地味な橋本環奈もいい感じだった。
仁は未練なのかな。
余生を考えた時に去来する郷愁みたいな感情だろうか。彼にとってまたボクシングに向き合うのは、その残された時間を縮める事と大差はないのだろう。
だけど、死んだわけじゃない。
まだ、生きてる。
どうせ死ぬのならば、どっちの生き方を選べばいいのだろうって事かしら。彼は人生に濃度を求めたようだった。
初めて佐藤さんをいいなって思えた。
横浜氏のおかげなのだろうか?
色々、欲が削がれたみたいに見えて似合ってた。
鶴太郎さんの異質さは…群を抜いてた。
アレはなんだ?
ヨガを極めるとあんな存在感が出せるのか?
全く周囲に馴染まない。不可思議な進化を遂げてらっしゃると思えたなあー
窪田氏はさすがの曲者感だったなぁ…形が無いように思えてしまう。小沢氏も良かったなあー
役者陣は皆様、ハマってた。
横浜氏が所属するジムのトレーナーなんかは、当てがきかと思うくらいに見事なキャスティングだった。
と、物語の感想を書き始めたのに役者の感想になってしまった。
そのくらいオーソドックスな筋で、付随する役者によって形が変わっていくかのような。
あ、時折、びっくりするような時間経過が存在する。あまりに唐突にぶっ飛んで面くらった。
ラスト、佐藤さんは死んで、横浜氏と橋本さんは夫婦になって新たな人生を踏み出す訳なのだけど…一般社会にはリングの上ほど刺激が転がってるわけでも、生きてる実感を感じる場所でもないので、ハッピーエンド風ではあるけれど、生きづらいのだろうなぁと思う。
佐藤さんは野垂れ死んだ訳なのだけど、微妙な表情だったなぁ。
ホントのところ⭐︎3.5とかなんだけど、ボクサーを熱演すべく体を作り上げた2人のプロ根性に加点した。