ほの蒼き瞳のレビュー・感想・評価
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ハリポタ”ダドリー”役のメリング演じるポーがとてもいい
クーパーとベイルが組んだ過去2作はどれも少なからず西部劇的な香りが漂っていたが、本作は従来とやや異なる風味のノワール・サスペンス。1830年代、夜闇と霧とが溶け合う幻想的なほの蒼さの中、首をつり心臓を抜き取られた死体をめぐって怪しげな相関図が浮かび上がっていく。事件の謎に挑むのは都市を離れ隠遁生活を送る元刑事ランドーと、陸軍士官学校の生徒で不思議な観察眼を持つポー。つまりランドーを主軸にした推理物ながら、いずれ作家になるエドガー・アラン・ポーの「エピソード0」でもあるというわけだ。40歳で死んだポーの最晩年の小説の題名が「Landor's Cottage(ランドーのコッテージ)」だったり、本作には他にもポー作品にまつわる小ネタが散りばめられているのかもしれない。クライマックスには賛否が分かれそうだが、一枚、また一枚と襞をめくるように丹念に織りなされたディテールと作品世界は非常に見応えあり。
ポー役の吹替入野自由さんが凄くよかった
クリスチャン・ベール演じるの元刑事のランドーが閉塞的な士官学校で起きた猟奇的殺人事件の捜査を依頼されて赴く。そこで若かりし頃のエドガー・アラン・ポーと出会うのだが、彼は頭いいのか変人なのか、ナルシストなのか子供っぽいのか、物事を俯瞰する人間のようでいて一途になると向こう見ずになってしまい怒りや奢りもみてとれる、とまぁ掴めない人物でした。吹替版で観たけど、ポー役の入野自由さんが実に見事に演じていて、好きになるキャラではないのにどこか愛嬌を感じてしまう。
時代的なことを含めて、エドガー・アラン・ポーの作品を少ししか読んだことがなかったので、もっと知っていたら物語上面白く感じたのかもしれない。謎が二段階で明かされるのは、エンタメ寄りに偏ってる日本作品に比べると純粋に驚き、さすがだなぁと思った。重厚なミステリー作品でした。
ただ、好みかと言われれば微妙かな⋯。残酷な遺体もあるし、人にもお薦めしづらい、そして何度も見返したいと思える映画ではいというのが正直な気持ち。
犠牲とは、究極なる愛情表現
ゴシック・ミステリーは、個人的にも好きなジャンル。「蝋燭の炎の揺らめく薄明かり」「霧が立ち込める怪しい森」「ホーンテッド・マンションの様な洋館」そんな、ゴシック・ミステリーのイメージにピッタリの本作。1800年代初頭のアメリカを舞台にした、ルイス・ベイヤードの原作『陸軍士官学校の死』を、スコット・クーパー監督と名優クリスチャン・ベールが、三度タッグを組んだミステリー・サスペンス。
陸軍士官学校で、首を吊って絞め殺した後に、心臓を抉られて惨殺された士官生の死体が発見される。その事件を穏便に解決して真相を究明しようと、学校サイドは元刑事のランドーを召喚する。そして、捜査を始めた最中に、再び、同じ手口のサイコパスな殺人事件が起き、学校は恐怖の渦に巻き込まれていく。学校サイドも、新たな殺人事件が起こり、なかなか捜査が進展しないランドの言動に不信感を持ち始める。
主人公の元刑事のランドーを演じるのが、クリスチャン・ベール。そして、このサイコパスな殺人事件を、共に解決するのが、何と、後に世界的ミステリー作家となるエドガー・アラン・ポーというシチュエーションが面白い。限られた登場人物ではあったが、その連続殺人事件の裏に潜む切ない家族愛が描かれ、犯人も意外な方向で白日に曝されていく中、壮絶な最初のクライマックスが訪れる。
しかし、本当の真実はその先に潜んでおり、ミステリーとしての大きなサプライズが用意されていた。それは、過去の陸軍士官学校のダンスパーティーの夜に起きた、忌まわしい事件に纏わる復讐劇だった。そして、その謎を見破るのが、誰あろうエドカー・アラン・ポーという設定で、驚愕な二度目のクライマックスへと導かれる。劇中の『犠牲とは、究極なる愛情表現』という言葉の意味が、ラストに来て重みをもつ。
主役のクリスチャン・ベールは、鋭い観察眼で捜査する中にも、どこか哀愁を抱えた元刑事を演じ、安定感のある演技を見せていた。そして、相方となったエドカー・アラン・ポーを演じたのが、『ハリー・ポッター』シリーズで、あの憎たらしいダドリーを演じていたハリー・メリング。ひ弱な風貌ながらも、名推理を繰り広げる士官生となって登場していた。
結末に評価が分かれる作品
19世紀半ばの米国の不穏な雰囲気や、冬の陸軍士官学校敷地内で不可解な遺体が発見される筋書きともに、少し古いミステリー小説が好きな自分にとってはたまらない映画…かと思いきや、最後の伏線回収がどうしても好きになれなかった作品。
犯罪を捜査する側の主人公が実は黒幕だったというのは、アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」以降良くも悪くも確立されている手法だが、相当の手腕がないと作り手側の「観客を驚かせよう」という意図が見え見えになってしまい、小説でも映画でも後味の悪さが残ることが多いと感じる。
今作でエドガー・アラン・ポー役を演じたハリー・メリングは素晴らしい演技。ハリー・ポッターのダドリー役だとは気付かなかったが、今後にも非常に期待できる。
ダークで重厚な雰囲気とは裏腹に、捜査がサクサク進んでテンポよい
ダークで重厚な雰囲気とは裏腹に、捜査がサクサク進んでテンポよくて見やすかった。常に冷静なオーガスタスと変人なエドガーのコンビも微笑ましい。
儀式一家が出てきた辺りでオカルト色が強くなり混乱したけど、最後は良い意味で裏切ってくれた。
最後エドガーがオーガスタスの犯行を見破り、手紙を焼くシーンが優しくて好き。「娘と君が出会ってたら家族になってたかもしれない」エドガーに放ったオーガスタスの台詞が刺さる。出会う時期や場所が違っていたら...そう思うと切ない。もし出会ってたら2人で大好きな詩を楽しんだんだろうなぁ。
ハリー・メリングが良かった
もう一つの結末
スコット・クーパー監督、久々の当たり作品。
実際のポーも酒とギャンブルが好きだったらしく、その片鱗を見せるシーンが良い。
最後のランドーとポーの会話で、違う未来があり得たと思うといたたまれない気持ちになる。
若き日のエドガーアランポー
警察士官学校で謎の事件が。そこに呼び出された元刑事が事件を解決するって話。
と思いきや、その推理を手伝うめっちゃ挙動が怪しい士官候補生。これがなんとエドガーアランポー!最初名前を聞きそびれて、絶対犯人!って思ってた🤣動き怪しすぎるやろー。それにこの俳優さん、ハリーポッターで、ポッターいじめてたダドリー!いやー、すごい演技派俳優に成長してるやんー。
終始暗いトーンの中で、死体に心臓が盗まれる怪事件を解き進める。いやぁ好みだわ👍
そして犯人は体の弱い士官学校の医者の娘と解決。
ポー、途中まではいい味出してたのに医者の娘に惚れてしまって全然活躍しーひんかったやん。と思いきや!
まさかの終わってから実は主人公の元刑事が殺人犯でしたってオチ。
全然わからんかったよー💦
また面白いサスペンスに出会ってしまった🤗
ポー?実話なの?
何も知らずに見始めてしまったので、わざわざエドガー・アラン・ポーという名前を出してきて、え?実話?と思ったけどまあこんなとんでもない経験してるわけ無いわよねと落ち着くと同時に何でこんな面倒くさい名前つけるわけ!と腹も立ちまして、まあ原作がそうらしいので仕方ないですが、原作に思い入れのない人にとってはただの雑音ですね。あと画面終始暗い。何やってるのか分からないところ多々あり。ネットフリックスが作るなら映画館前提じゃない画作りを考えておくれよ。家は明るいんだよ。昼間見ることもあるしさ。でそもそもストーリー、今風ね、ギュウギュウに詰め込んでハイどんでん返し!いかがですか?って。要素少なくていいからもっと丁寧に作られたものを見たいんだな。クリスチャン・ベールの無駄遣い。
わりと拍子抜け
前作Antlersは好きでした。が、スコットクーパーは手堅いけれど生真面目すぎます。概して“優等生で食い足りない”という印象があります。この映画The Pale Blue Eyeもまさにそうでした。
興味深い原作で、お金をかけ役者もそろえロバートデュバルまで引っ張り出して撮影は高柳正信。悪い点は見あたりません。なのに、な~んか満足度が低いのです。(性的という意味ではなく)色っぽさに欠けるのです。
ただしポー役Harry Mellingは出色でした。
来歴を見たらハリポタが並んでいるのでハリポタファンにはなじみ深い人なのかもしれませんが、個人的に忘れ得ないのはコーエン兄弟のバスターのバラード (2018)の挿話「食事券」です。Harry Mellingは四肢なしの弁士でした。じぶんはそのレビューをこう書いています。
『「あっけらかん」という日本語の意味を調べてみたら、次のように書かれていました。
『常識的、道徳的に考えれば当然あるはずの屈託、ためらい、恥じらいといった感情がなく、平然としているさまを表わす語。』
この映画にピッタリくる言葉です。
どの章も無情で即物的でアイロニカルです。でも、なんとなく空気感は陽気です。そしてあざやかです。
食事券の章で馬車が高架橋に寄ります。石を落とすので「ああ落とすんだなあ」とは判るのですが、それが「あっけらかん」と処理されます。
興行主がニヤニヤしながら近づいてきます→四肢のない弁士がごくりとつばを飲みます→鶏だけになった荷馬車→渋い表情の興行主。
愁嘆が回避され、倫理が浮いてしまいます。非道なのに、なんとも言えない余韻が残るのです。これはあざやかです。(後略)』
(わたしのバスターのバラードのレビューより)
まだ無名で士官学校にいたエドガーアランポーが猟奇殺人の謎解きに加わるという原作は心躍るものでした。
そして若きエドガーアランポーを誰が演じるか選ぶとしたら・・・Harry Mellingはうってつけでした。
病的で神経質で繊細で疑心暗鬼で、現存するダゲレオタイプのポーもまさにそういう風貌をしています。配役はさすがにスコットクーパーでした。
だけど映画はぜんぜん猟奇へ振られてなくてすっこぬけてしまいます。抽象的な言い方ですが色気と潤いがまるでありません。
この原作ならば仏映画のパフューム~(2006)やジェヴォーダン~(2001)のように、あるいはクーパー自身の前作Antlersのようにがっつりと猟奇や血なまぐささへ振ってクリスチャンベイルの痩けた頬を生かすべきだったと思います。
デュバル以外にもTimothy Spall、Toby Jones、Charlotte Gainsbourgなど名優を揃えていて、なんかもっとぜんぜんすごいのができる布陣だったし話だった(などと勝手なことを)と思ったのでした。
残り20分
時代的に仕方がないとは思うけど、全体的に暗くて寒々とした映像が続く。
そしてやれやれ終わったかと思いきや、ランドールを見送るヒッチコック大尉の気になる表情が全てを物語ってた。
まだだった(笑)
すっかり騙されました〜
や、あそこでおしまいだったら星1つ!って思ったからね。
それはそれは悲しい話だったのだ。
そりゃ父親だったら復讐する気持ちはよくわかる。
しかし、あの紙切れの筆跡に気づくとはさすが天才ポー。
いやいやらちょっとご都合主義ではない?
無理があるような。
もっと早く気づこうよ〜
最初ポーもちょっと怖かったけど、マークウィス家の人々(特に奥さん)とかも謎めいていた。
この頃まだ悪魔崇拝とか魔女も信じられていて、本に則って行われていたのかな。
オカルトコレクター垂涎の本とか。
なかなか興味深い作品だった。
ちょっと眠気にも誘われたけど…
骨太ミステリー
エドガーは主人公にあらず
見応えありのミステリー
クリスチャンベイルとエドガーアランポー役のハリーメリングの演技が光る、見応えあるミステリー。
開始10分でこれは、めっちゃ面白い作品の予感!
って感じで、一気に見てしまいました。
まず、前編通して映像が美しい。
古い建物に、とても使い込まれた革張りの本。
湿った黒い森の木に真っ白な一面の雪。
なんとも言えない雰囲気のあるシーンが随所に見られる。
この美しい映像だけで、見たかいがあったなと思う。
私好みの作品でした。
この作品には、悲しそうな顔で生きている人がたくさん出てくる。
人は、ほっとくと悲しい方に引っ張られてしまうものだけども。
幼い頃に母を亡くしたアラン・ポーは人の悲しみに深く寄り添える優しさと、そして何より強さがあると思う。
心が疲れている時って、激しい映画よりも、こういう少し物悲しい作品の方が、心を軽くして、癒してくれる効果が
ある気がする。
ミステリーとしても、大変面白かった。
結末を見た後、もう一度見たくなるいい作品でした。
あと、オールドガードのときも思ったけど、やっぱダドリーいい役者!
クリスチャン・ベイルの含みのある演技が流石でした…
あらすじも見ずに観始めて…やっぱあらすじは見とくかって見て、謎解きとかで面白そうじゃんって思ったけど…最後は色々と悲しくて涙がでた……(泣)。
陸軍士官学校で起きた殺人事件を解決に導く為に雇われた元刑事のオーガスタス(クリスチャン・ベイル)が、士官学校の学生で 詩を書くのが好きな(エドガー・アラン・)ポー(ハリー・メリング)と手を組み、事件を解決に導くが……。
その伏線回収、どこでされるの?と思っていたら ポーの手により ラストで一気に回収され グっと来てしまった。
何よりポーの誠実さと、慈悲に満ちた瞳からこぼれ落ちる涙が 実に美しかった。
どちらの事件も 表向きは幕を引いた形だけれど、数々の殺人の濡れ衣を着せられたマークウィス家の三人…中でもリア(ルーシー・ボイントン)を愛していたポーの胸の内は苦しかっただろう。
オーガスタスも、やっと復讐を果たせたことに 心の安らぎを覚え 一人山小屋で暮らして行くのかな…。
作中出てくる エドガー・アラン・ポーをはじめ、ヒッチコックやバイロンの名前(←それしか判んなかった(笑))。これってリスペクトしてる人達なのかなぁ?
ハリー・メリング…ハリー・ポッターのあの嫌な子供だったんですね(笑)。大人になってからの作品しか知らなかったです。
クリスチャン・ベイルも凄く良かったですよ!
流石って感じでした!
脚本は難しいね
ムーディーな映像とワクワクする展開
若き日のポーを巧みに配して、演技も火花散らす競演に序盤からグイグイ引き込まれ魅せられた。中弛みすることなく突き進んでいくストーリー
しかし終盤の二段落ちで一気に醒めてしまった
そこまでの探偵役クリスチャン・ベールの積み上げた重みある世界観がこのオチで薄味、軽薄な絵空ごとに瞬時に失速して墜落して行ってしまったなぁ・・・
もしかするとスクリプトドクターの仕業かしら?
新味を追求するあまり脚本を終盤で安易に捻ったりオチを付ける作品が昨今、多くてかなり残念だと感じているワタシ
ショーン・コネリーの名演技が燦然と輝く「薔薇の名前」🌹を思い起こした
完璧な映画ではなかった記憶があるけど、中世の宗教界を描きながら現代社会への辛辣な風刺を込めた重厚な世界観を貫き通しながらも一級品のエンタメだった
世界観を貫き通してこそ役者は輝くものだ
捻った、凝りまくる脚本、要らない
堂々と勝負出来る力があると信じてる
だから観終えた時に
ポーの若い役者とクリスチャン・ベールがとても気の毒に思えた
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