「そりゃそやろ?なタイトルからオチまで何もかもデタラメなバカフレンチ戦隊ヒーロー映画」タバコは咳の原因になる よねさんの映画レビュー(感想・評価)
そりゃそやろ?なタイトルからオチまで何もかもデタラメなバカフレンチ戦隊ヒーロー映画
主人公はベンゼン、メタノール、ニコチン、水銀、アンモニアの5人からなる戦隊ヒーロー、タバコ戦隊。5人の力を結集して亀怪人を倒すが、ディディエ隊長からチームワークに難ありと指摘され、早速秘密基地に篭ってチームワーク強化合宿を始めるが・・・という大脳のどこから湧いてきたネタなのか見当がつかないキテレツな話。
監督は珍作との噂が高い『地下室のヘンな穴』のカンタン・デュピュー。まず戦隊モノなのでちゃんと郊外の採石場みたいなところで怪人と戦うわけですけど、亀怪人の倒し方がメチャクチャグロテスクでドン引き。その後もうっかりミンチ製造機に足を突っ込んだお兄さんが大変なことになったり秘密基地の冷蔵庫を開けるとパートのおばちゃんがいたりワケの解らないカットが山ほど出てきて、一体何を観せられてるのか途方に暮れます。それでいて配役は豪華で、リーダーのベンゼンを演じているのが『友よ、さらばと言おう』や『この愛のために撃て』等のフレンチノワールで渋い名演を披露していたベテラン、ジル・ルルーシュ。メタノールを演じているのが『今宵、212号室で』や『デリート・ヒストリー』に出ている甘いマスクのイケメン、ヴァンサン・ラコスト。そんなちゃんとしたキャリアの俳優がユルユルの世界観の中でダラダラしているのを眺めているとだんだんこちらも感覚が麻痺してきて、ディディエ隊長がずっと緑色のヨダレを垂らしている謎の生物なのにやたらと女性にモテたりするとかの何の意味があんねん?みたいな設定にもヘラヘラしてしまいます。だいたいタバコ戦隊のくせに全員嫌煙家ですと宣言したりとかもうデタラメもええとこ。ただ、このダラダラした感じって実は昭和のバラエティにあったノリと同じで、ドリフだったり小松政夫だったり伊東四朗だったりが毎日のようにテレビでやっていたやつ。実はフレンチと昭和のお笑いって地続きなんじゃないかと妙なところに感心したりします。そんな作品なのでオチもデタラメですが満足度は高めです。