劇場公開日 2023年12月8日

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「暗闇、音、光、色彩、映画の基本要素を再構築する試みが最初のアイデア...」彼方の閃光 kuroseさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5暗闇、音、光、色彩、映画の基本要素を再構築する試みが最初のアイデア...

2023年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

暗闇、音、光、色彩、映画の基本要素を再構築する試みが最初のアイデアだと聞き、劇場で鑑賞。所謂実験的という表現ではなく、普遍性を再定義するようなコンセプトがストーリーとして描かれてゆくことに驚きながら、役者のぶつかり合い、対話する熱量に一気に映画に引き込まれた。戦争は主題ではなく日常の延長線上にあるものとして描かれ、恋愛や葛藤も同じ地平に存在している。矛盾さえも人間にとってあるべきものであるという視点なのかもしれない。重々しいテーマにぶつかりながらも、不思議な透明感すら感じさせるのは主人公を演じる眞栄田郷敦の存在。そして、冒頭の暗闇と音だけを感じる数分、2時間以上のモノクロの世界を経て、ラスト近くに色を再発見する体感。これは劇場でしか体験できないことだと感じた。劇場で観ずに語ることのできない映画、特別な体験だった。

kurose