フェイブルマンズのレビュー・感想・評価
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「スピルバーグの自伝的作品」という看板が重荷になっていたかな
偶然なのか必然なのか分かりませんが、今年は映画史とか映画人に関する映画が続々と公開されています。1月には数々の映画音楽を手掛けた映画音楽作曲家であるエンニオ・モリコーネの業績をドキュメンタリーで描いた「モリコーネ」が、2月には1920年代、サイレント映画で隆盛を極めていたハリウッドをモチーフにした「バビロン」が、それぞれ日本で封切られました。そして今月は、映画界最大のヒットメーカーであるスティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品である、本作「フェイブルマンズ」が公開されました。映画好きとして、前2作と同様に内容に興味があると当時に、本年度のアカデミー賞候補ということもあって、取るものも取りあえず観に行きました。
まずスピルバーグの自伝ということでしたが、実際に本作で描かれているのは、彼が小学生時代から大学を中退して本格的にプロとして映画界に参入するまでの期間であり、名作の名場面がいくつも観られた「モリコーネ」のように、「E.T.」や「シンドラーのリスト」と言った、スピルバーグが製作した作品については全く触れられていませんでした。さらに、スピルバーグ本人の役どころとなるサミー・フェイブルマン少年が、実は主人公の立ち位置ではなかったということも、中々に衝撃でした。現に本作は、今年度アカデミー賞の7部門でノミネートされていますが、その内訳はと言えば、作品賞、監督賞のほか、サミーの母親役を演じたミシェル・ウィリアムズが主演女優賞、ボリス叔父さん役を演じたジャド・ハーシュが助演男優賞でノミネートとされている訳で、サミー(スピルバーグ)は主役じゃないのです。エンドロールでも、ミシェル・ウィリアムズがトップに出て来てましたからね。
確かに本作のストーリーも、サミー少年がいかにして映画に興味を持ち、どういう少年時代を送り、アマチュア時代にどんな映画を撮ったのかという一般的な意味での「自伝」の部分は、サイドストーリーに過ぎませんでした。メインテーマは、あくまで母と子の葛藤であり、母の身の振り方であり、サミーから見た母の心情の変化だったのであり、映画そのものを真正面から題材にした「モリコーネ」や「バビロン」とは、かなり性格を異にする作品でした。
その結果、若干肩透かしを食らった感もありましたが、映画界の巨人・スピルバーグの自伝としてではなく、母と子の物語として観れば、それなりに面白かったとは思います。ユダヤ系に対する差別が描かれている点などは、恐らくは現代のアメリカ社会にも通じる社会問題でしょうし、両親の離婚が子供に与える影響ということも、家族をテーマとする話として永遠のテーマでしょうし、何よりも母と子の葛藤や愛情物語というのも、これまた永遠に語られるべき話。こうした要素を考えると、「スピルバーグの自伝的作品」という看板が、むしろ本作の重荷になっているような気すらしたところです。
そんな訳で、「スピルバーグの自伝的作品」という看板がなければ評価は★4と言いたいところなのですが、あまりに重い看板であり、こちらの期待が別の部分にも行ってしまっていたということもあったので、評価は★3としたいと思います。
ファン向け
スピルバーグの自伝…という作品でなかったら、おそらく最後まで観ていられなかった。
それでも、対照的な夫婦の元で映画の沼にハマっていく若き日のスピルバーグ少年を眺めている中盤までは楽しかった。
おばあちゃんが亡くなる時、お父さんは心電図を眺め、お母さんは身体を抱きしめ、主人公は脈打つ皮膚を観察してた。
なんて象徴的な描写なんでしょう。
障がいがあること、身体が小さいこと、ユダヤ人であることなど、おそらく当時の社会では、特に年頃の子供にとって辛いことが多かったであろうことは想像に難くない。
それでも彼は「世界で最も成功した映画監督」になれたワケで、好きなコトを続けるってやっぱり大事よね。
ただ、映画そのものはあんまり…。
最終的に「主人公がスピルバーグだということ」が私にとって物語に集中させる最大の要素になっていた。
後半、プロムで起こるあれこれも何だかピンと来なかったし。
少し前に公開されている「パビロン」と繋がってる部分もあるけど、何しろ出てくる映画も監督の名前も古いので、かなりの映画好きでスピルバーグファンならもっと楽しめたのかな。
私はスピルバーグ作品は好きだけど、この映画が「ジョージ・ルーカスの自伝」だと言われても、「…それはそうかもな」と思っていただろうし。
おそらく有名なエピソードもあるんだろうけど、後の作品につながる様な「いかにもスピルバーグ」って要素も無くて残念。
追伸
観た後、配信で「宇宙戦争」観てたら、序盤で一瞬、主人公が最初にショックを受けたあの鉄道のシーンがTVに映った。
多分、詳しい人はこういうのも楽しいんだろうな。
全体的に退屈だけどラストは良し。
スピルバーグ家の為に作られた名作
スピルバーグの少年時代を描いた自伝作。
巨匠が自身の大切な思い出を映画にした、とあって
全編通して丁寧に描かれており
本作が上質な映画であることは間違いない。
これまで「シンドラーのリスト」をはじめ
さまざまな後世に残すべき実話を
映像化して送り出してきたスピルバーグ。
これは果たして映画にするほどの“実話”だったのか。
スピルバーグの父親は2020年に亡くなったと言う。
劇中でも祖母が亡くなり
悲しむ母のために映画を作るシーンが描かれているが
これはスピルバーグがスピルバーグ家のために作った
作品なのではないかと思った。
要するに個人的なのだ。
何となくスピルバーグの自伝作という付加価値が
映画そのものの価値となっている印象さえ受けた。
もちろん映画ファンとしての観点からすると
後のスピルバーグ作品への影響を妄想しながら
鑑賞する楽しさは充分に味わえたのだが。
あんまり…
今回はハズレ
スピルバーグ自体は凡人!?
スピルバーグの映画を劇場へ足を運ぶのは小学生の時に観た『フック』以来、今までの作品も『激突!』と『続・激突!カージャック』に『ジョーズ』をここ何年かで、近々にも20年以上前の『プライベート・ライアン』を観たくらいで映画監督として偉大だと理解しながら撮る作品に興味が持てずに。
長尺の上映時間が苦になり始める鑑賞中、ジョン・フォードが登場する終盤戦、これからの展開が気になりながら唐突に終わってしまう感じ、率直な感想はデヴィッド・リンチ版フェイブルマンズが観たい、スコセッシのフェイブルマンズはギャングが登場したり想像するだけでワクワクする、個人的に興味が持てないスピルバーグの幼少期や少年時代は当然ながら興味の対象外だった。
特筆すべきはミシェル・ウィリアムズ演じる母親、彼女の役柄が『ブルーバレンタイン』や『テイク・ディス・ワルツ』で演じた女性像に近いものを感じながら、家族を中心に描く物語は妹たちがお飾りにも自分大好き人間と誤解してしまうスピルバーグの自己満足映画として、裕福で何ら不自由のない子供時代は青春映画として物足りない、家族の歪みや人種差別、そして"映画愛"と何を一番に描きたかったのか、簡単に新作を撮ってしまう印象のスピルバーグとそうはいかないデヴィッド・リンチ、そんな二人が監督と出演者として奇妙に思える関係性と違和感だけが残る!?
《本作は"映画愛"などという一般的な話ではなく"芸事"を職業とする者の"業"を描いた物語でありジョン・フォードの"地平線"はそのことを言っている》
by.某 映画評論家。。。
なんか普通‥
青春デンデケデケデケ。
映画好き少年と家族のごく普通のお話
出来るだけ脚色しないようにしたとスピルバーグ本人が語る通り、映画好き少年が映画監督を目指すまでを描いた、ごく普通の家族のお話です。処女作の激突!を撮るあたりまでの話だと思ってたので、ちょっとがっかり。あまりエンタメの要素はありません。
広く知られているようにユダヤ系の家庭に生まれ、差別と家庭の不和に苦悩する様がリアルに描かれる。そんな彼を支えたのは映画作りのへクリエイティブ。才能を開花させ、友人たちと作品作りに没頭する様は、楽しかったです。僕も子供の頃、ハイエイトの8ミリフィルムをセロテープで繋いだりしたので(笑)懐かしかったなー。
母親役は、マンチェスター・バイ・ザ・シーの名演が見事だったミシェルウィリアムズ。今作も抜群の存在感です!デビッドリンチ監督がカメオ出演してるラストシーンの名言は、映画作りの指針になっていたんだね。
監督を目指す過程を描いているので、映画創りへのカタルシスは日本アカデミーで作品賞にノミネートされているハケンアニメの方が強く感じた次第です😊
スピルバーグ家の物語
ラスト数分に詰まったもの
スピルバーグの遺書じゃなかったのでよかった
私は小学校3年生時、スティーヴン・スピルバーグ監督作品「ジョーズ」のロードショーを見て、映画の面白さ、アメリカ映画のスケールデカさに驚き、映画ファンになりました。だからスティーヴン・スピルバーグは僕にとって映画の神様みたいな人で、その神様が自分の幼年期をモデルで映画を作ったので、「スティーヴン・スピルバーグからの遺言書」なんだろうと思い、実は結構構えて見にく事にしました。(近年には「ウエストサイト物語」のリメイクを作ったりしていたので)
しかし、見終って、そうでない事に気がつきホッとした状況です。
映画の内容の方は、スティーヴン・スピルバーグ監督の幼年期(大学生になる頃まで)のお話を題材にしたある意味青春映画、お話の前半は、意外に人間ドラマのような要素でしたが、後半になるほど青春映画の雰囲気になります。
もう少し、映画に対してコアな内容なのかなと思っていましたが、意外にそうではなく、人間ドラマと言うか家族ドラマの方に力が入っているかな・・・
しかし、本作品、本当のお話であるのなら、友達と映画を作る際の部分は羨ましいぐらい本格的に8mmで映画を作っていて、出来れば、そう言った作品が存在しているのなら、ソフト化する時に特典に付けて貰いたい思うような作品で見てみたいな・・・
映画全編のお話を通して言えば、特にメリハリのついたお話ではなく、あくまでも「遺書」ではなく、自分の体験をお話にしてみようと作った作品が本作品なんだろうと・・・・
76歳でしょ、あと20本は撮れると思うので、これからも楽しみにしている。
ゴールデングローブ賞の作品賞をとっただけはあります。凡人には、「凄く」いい作品なんだろうと理解は難しいね・・・・
ま、作品として楽しめます。
才能とはこういうことをいうのでしょう
高評価のレビューが多いが、私には不思議でならない。
スピルバーグの生い立ちを
家族の物語ですね。
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