劇場公開日 2023年3月3日

  • 予告編を見る

「スピルバーグ家の為に作られた名作」フェイブルマンズ hironoriskywalkerさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0スピルバーグ家の為に作られた名作

2023年3月9日
iPhoneアプリから投稿

スピルバーグの少年時代を描いた自伝作。
巨匠が自身の大切な思い出を映画にした、とあって
全編通して丁寧に描かれており
本作が上質な映画であることは間違いない。

これまで「シンドラーのリスト」をはじめ
さまざまな後世に残すべき実話を
映像化して送り出してきたスピルバーグ。

これは果たして映画にするほどの“実話”だったのか。

スピルバーグの父親は2020年に亡くなったと言う。

劇中でも祖母が亡くなり
悲しむ母のために映画を作るシーンが描かれているが
これはスピルバーグがスピルバーグ家のために作った
作品なのではないかと思った。

要するに個人的なのだ。

何となくスピルバーグの自伝作という付加価値が
映画そのものの価値となっている印象さえ受けた。

もちろん映画ファンとしての観点からすると
後のスピルバーグ作品への影響を妄想しながら
鑑賞する楽しさは充分に味わえたのだが。

辻井宏仁(放送作家)