蝶の命は一日限り
解説
2022年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門出品。同部門の作品賞を受賞。
2022年製作/78分/イラン
原題または英題:Parvaneha Faqat Yek Rouz Zendegi Mikonand
2022年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門出品。同部門の作品賞を受賞。
2022年製作/78分/イラン
原題または英題:Parvaneha Faqat Yek Rouz Zendegi Mikonand
東京国際映画祭ジュリー・テイモア審査員長「ザ・ビースト」「第三次世界大戦」の日本公開に期待
2022年11月3日第35回東京国際映画祭、心理スリラー「ザ・ビースト」がグランプリ・最優秀監督賞・男優賞の3冠
2022年11月2日ダムに浮かぶ島を見下ろす丘の家に暮らす老女。彼女にはどうしても島に渡らなければならない理由があり、何度も何度も役所やダムの事務所に足を運んでは島への立入許可を求めるが冷ややかな態度で追い返される。13年の時が流れたある日彼女は意を決してある行動に打って出る。 主人公以外の登場人物はほとんど顔が映らず、ある時は寄り添うような距離のカットで、ある時は彼女がどこに映っているかを探すのが大変なほどのロングショットでただ老女の姿を追いかける。そしてそれらのカットのほとんどは静止画と見紛うような長回しで、現実と幻想の間をゆっくりと行ったり来たりするのでこちらの時間感覚は麻痺し、いつ終わるとも知れない時間の上をダムの上の島のように浮かんでいるような感覚に陥ります。主人公の悲願が実ったのかそれとも全てが幻想なのか、美しくも朧げな終幕と共に語られる物語はずっしりと重く、市民の慎ましやかな望みがたらい回しにされた挙句に踏み躙られる様には胸を掻きむしられます。 終演後には監督のモハッマドレザ・ワタンデューストが登壇、タイトルに込められたメッセージ、撮影秘話やカットを割ることなく現実と幻想を行き来する撮影手法へのこだわり等貴重な話を聞かせていただきました。個人的に驚いたのはCGだとばかり思っていたカットがロケ撮影だったこと。世界にはまだまだこの世のものとは思えない風景があるのだと思い知らされました。