Yokosuka 1953のレビュー・感想・評価
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洋子はオーシャン 母なる海
素晴らしいドキュメンタリー映画でした。
横須賀の秋谷には母親の木川信子さん、祖父の床屋の床長の長太郎さんを知っているお年寄りが沢山ご存命で、皆さん記憶がとてもしっかりしていて、洋子さんが小さい頃に信子さんに愛された記憶が大勢の人との絆により再構築できて本当によかった。66年の歳月を経てつながった母性のバトン。洋子さんに信子さんの面影をみて、今度会うときは私は死んでるからと握った手を離さない同級生のお婆ちゃん。
ご自身でも言っておられたけども、洋子さんは本当に強い。自身の生い立ちに向き合う覚悟は清々しいほどで、観ているものにはそれが救いでもあった。そして70歳手前なのに驚くほど美しい。ハリウッド女優もタジタジだ。
母親の顔を思い出せなくなって、一目見たい母親の写真。職場の慰安旅行の集合写真の信子さんもキリッとしたすごい美人だった。
木川洋子(バーバラ・マウンテンキャッスル)さんの娘さんに感謝。
そして、メールを無視しないで、深い思い遣りをもって洋子さんに接し、 的確な手順を踏んで綿密な取材調査を貫徹した木川剛志さん。
木川剛志さんのResearchgateみた。国立大初の観光学科教授。紆余曲折の人生。素晴らしい人。血の通った研究者。
敗戦後、日本女性の純血を守る目的と称して、性の防波堤(特殊慰安施設:RAA)を作った日本政府。そういう卑屈なところがイヤだ。進駐軍は歓待に喜ぶ一方、性病蔓延防止策を突きつけて来て、RAAは一年もたずに崩壊。火を点けただけじゃなかったかと思ってしまう。
その目的で秋谷にも小さな温泉にキャバレーが用意された。キャバレーは日本語英語なので、洋子さんはキョトンとした顔をしていたような。床下の嬰児の骨の話し。横須賀の墓地の空地の話し。ショックでした。
知られたくない地元の黒歴史をカメラの前で証言した人々は、つい、木川剛志さんの人柄に応えようとしたようにも思う。
養子縁組でアメリカに渡った洋子さんが養親から虐待され、ジャップと罵られたと漏らしたこともショックだった。養子を迎えるということは純粋な慈善行為ではなく、奴隷売買に似た動機やエゴが隠れていることも事実なのでしょう。洋子さんが子供を産んで、やっと(本当の身内を得た)安堵を感じたと言ったのがが強く印象に残りました。
娘さんが言った「パーバラがバーバーの前に居る」はちょっと可笑しかったです。いい娘さんですね。お幸せに。
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