孔雀の嘆きのレビュー・感想・評価
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コロンボの街に巣食う凄惨な闇を見つめるスリランカ版『ベイビー・ブローカー』
コロンボの廃墟ビルで暮らす青年アミラ。母の死をきっかけに弟と妹を連れて遠い村から出てきたものの妹が重い心臓病であることが分かりまとまったお金が必要になったアミラはあることがきっかけで知り合った女性から仕事を持ちかけられる。それは望まない妊娠で産まれた子供を外国人に売るために妊婦をトラックに乗せて運ぶ仕事だった。
スリランカ版『ベイビー・ブローカー』のような話ですがまず見え隠れするのが中国の存在。人身売買の大ボスは中国人だが自分達は一切手を動かさず2次、3次の下請をアゴでこき使う。末端で働くアミラ達も子供を売ることを強制される女性達も最下層の人達で自由を奪われてただ搾取されるだけ。ただひたすら妹を救うために心を鬼にして働くアミラが意を決して起こした行動が辿り着く結末には希望の光が差しますがそれは絶望的な格差社会を照らすには余りにもか細い。
上映後に登壇したのはサンジーワ・プシュパクマーラ監督、プロデューサーのアミル・アベイスンダラとスランガ・ハンダパンゴダ。驚いたことにこのような非合法の人身売買は実際にスリランカで行われていることで、25年前に亡くなった自身の妹の物語として本作を作ったのだと涙ながらに語ったことが印象的でした。別のインタビューによると、孔雀をタイトルに用いたのは孔雀は見た目は美しいが鳴き声は美しくないからだとのこと。すなわち外見が美しくても中身は違うというスリランカの現状を孔雀に擬えたと。大勢の観客がいることにいたく感動していた監督はQ&A後のフォトセッションで観客と一緒に写真を撮ってくれとリクエスト、ずっしりと重い作品の鑑賞後ですが監督の人柄も相俟って会場は和やかな空気になりました。
コンビニエンスストア Продукты 24
モスクワに住む(おそらく)ロシア系ウズベク人のコンビニ女店主がモスクワに出稼ぎに来たウズベク人やカザフ人を搾取するお話。
ウズベキスタン、ロシアそれぞれの裏の部分が出ている、ウズベク人から噂話でよく聞いた話が本当にあったのか!という内容でウズベキスタン在住経験者にはとても刺さる映画だった。賄賂、暴行、騙し、第2婦人、人身売買、綿花摘み…
監督は誰に対してのメッセージでこの映画を作ったのか。
登場人物はそれぞれウズベク語、カザフ語、ロシア語話してて、どうしたらモスクワに実在しそうな人種ミックスなナチュラルなキャスティングができるのかも気になった。
作品の洗練度はあまりないものの─
2022東京国際映画祭
展開や絵つなぎ、演出や音楽等々、粗を言ったら結構あるけれど、根底にある問題や哲学的な面を自分なりにうまく絡ませてみていると、案外いけるような気がします。
斬新な絵は皆無、でも安定したしっかりとした映像で構成されていたので、じっくりと観賞できました。それだけに変なところも目に付いちゃうんですけれど。
途上の国のマイナス面ばかりが強調されていたような・・・だから最後も全然救われた気にはなれません。ちょっと違和感のある締めだったかなぁー、質的にそんな悪い作品ではないと思いますが・・・
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