「ホラー映画じゃなかった!」マンティコア 怪物 てっぺいずキヌさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラー映画じゃなかった!
せっかくのGWということで、気になる新作はないかと探し、時間帯としてちょうど良かったので見に行った。
事前情報をあまり入れず、適当に映画を選んで観に行く習慣も考えものだと思った。
チケット購入から映画序盤までずっとホラー映画だと勘違いしていたのだった。
(薄暗い空間と静かな間をとってるシーンで必要以上に怯えながら観た)
実際はスペインのショタコンの話だった。性癖が会社と彼女にバレてしまった悲しき怪物。ションタコアだった。
ショタコンなのはしょうがないし、アパートの隣部屋の男の子をCGで再現して自慰するのもまぁ自由だけど、まさか会社のPCを使ってるとは思わなかった(そのせいで性癖がバレていた)。
確かに主人公が会社のサーバから男の子のサンプルCGをUSBに移してたとき、(ヨーロッパってこんなにセキュリティ緩いんだ)って思いながら観てたけど、緩いのは主人公の頭だった。
自慰から会社の作業内容確認によるショタコン発覚までに人間ドラマを丁寧に描いており、せっかく主人公も精神的な不調から立ち直りそうだったのに、その自慰が原因で悲しい結末になったので、性癖発覚後からずっと(あちゃ〜)って思いながら観た。
主人公から見るとツイテないことが多かったと思う。女の人とのセックスチャンスを2度逃しており、一度でも成功していれば、ショタコン実用型CGモデルじゃなくて芸術なんです!って弁解もできたのではないか。女の人は美術史を専攻していたし。
ゲームのクリーチャーデザインの仕事をしていたから、最後の行動はリセットしようとしたように見えるし、現実はそう簡単にはいかないよって結末に思えた。やや陳腐な気もするので、監督的には違うのかもしれない。
女の人の父親のくだりや、ゲームについての議論、男の子との会話、男の子を眠らせるための抗不安薬などのストーリーの布石みたいなものをしっかりと作っているので、ストーリーの構造みたいなものが綺麗だった。スペイン映画を観たことないけど、他のもこんな綺麗に回収していくのだろうか。さすがスペインというべきか、パスワークの美しさに近いものを感じる。
最後まで半ば同情しつつ見ていたが、自身の欲望に忠実なションタコアになっってしまった主人公が男の子を眠らせにかかった時、結構手口が狡猾でなんか嫌だった。かつてないほど流暢に男の子を言いくるめてたし、男の子もだいぶ警戒しててなんか面白かった。
ゲームデザイナーということで、ゲーム音楽や和食といった日本要素がよく出てきた。飲み物に薬を混ぜて眠らせるホモっていうのも、実は日本要素である可能性が…?