理想郷のレビュー・感想・評価
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的確に今起こっていることがわかる演出
めちゃくちゃ面白かった。
何処にでも起き得る、田舎とそこへの移住者の摩擦がほんとにスリリング。
全員正しいこと言ってる面白さ、的確に今起こっていることがわかる演出の繊細さと役者の演技と物語の着地、全てが素晴らしくて、なんてクオリティの高い作品なんだろう。映画として全てが行きとどいてる。
ホスピタリティめちゃくちゃ高い映画!
監督の過去作品今から全部観ます。
こんな映画観れるから、映画を観るのやめられない。
前半と後半パートで、
後半パートに入ったとたんこの映画はどこに行くのだろう。と思うのだけど、なんて深度の深い結末。
明確だけど、観る人それぞれに違った印象も与えそう。
私は表面的な対立をしてきたものと
物言わぬ対立ををしていたもの。
表面的な対立の奥に無言でその対立をコントロールしようとする戦いがずっとあったことにゾッとしたし、それを1つの会話だけで表現する切れ味の鋭い結末に鳥肌たった。
監督は男性的衝突、女性的衝突の違いを踏まえて
少し女性の方がポジティブな意味合いを込めているのだと思うけど、女性の私にとってはこちらの戦いの(物理的ではない)どろりとした嫌さもわかるので、この終わり方、恐怖が身近になった分怖かった。
オルガは、ずっと村で起こる事態を観察し
愛と信頼で夫のアントワーヌの手綱を握っていた。
夫婦の絆がすごい。
娘が滞在してることもよかったな。
パンフレットもドゥニ・メノーシェや監督のインタビューが読みごたえあって最高。
インタビューでも言っていたが、監督自身が村人サイドでもアントワーヌサイドどっちの味方でもない視点で映画を作っている誠実さが、作品の良さを支えているのを感じた。
悪なき殺人のときもドゥニ・メノーシェの演技素晴らしいなって印象あったんだけど
今回イングロリアスバスターズの冒頭の農夫の役の人って気がついた。どうりで最高な役者なわけだ…!
映画館で鑑賞
理解に苦しむ
「スローライフに憧れて田舎に移住したら村社会独特のイカレた世界で地獄だった」系の、実話に基づく物語。
主人公夫婦が命の危険を感じながらもあの土地にしがみついたことや、村の人々に対して敵意剥き出しの態度を貫いたこと(まぁ気持ちも分かるけど)、最悪の出来事が起きてからの執着。意地なのか?引くに引けないのか?この辺りへの共感度がなかなか上がらず、最後まで理解ができませんでした。
娘が母親へ言った言葉たちは至極真っ当で、でも素直に受け入れなれない心境なのがもう、そうゆうことなのでしょう…。
作風としても終始ゆっくり緩急なく進む展開に退屈に感じてしまったり、あんまり合わなかったです。
「故郷」
スペインガリシア州にある自然豊かな小さな村に移住してきたアントワーヌとオルガの夫婦。この地にほれ込んだ彼らは有機農業で生計を立てる傍ら、古民家を修復して過疎化に悩む村を盛り立てようとしていた。
そんな時に村への風力発電事業誘致の話が持ち上がり、それに反対した夫婦と村人との関係が険悪なムードに。
特に夫婦の隣に住むシャンとロレンソの兄弟は彼らを毛嫌いして何かと嫌がらせをしてくる。元教師のアントワーヌはそんな彼らと冷静に話し合おうとする。
だがシャンはたかだか移住してきて二年足らずのアントワーヌがこの村を故郷と言い放ったことに憤りを覚える。この地に生まれ長年暮らしてきた彼らにとってよそ者でしかないアントワーヌの発言が許せなかった。
しかし、人間にとって「故郷」とはその暮らした時間だけが重要なのだろうか。この地に根を下ろし、この地で生きてゆく覚悟を持った瞬間にその人にとってその地は故郷となるのではないだろうか。
ましてやアントワーヌはこの村を愛し、再生しようと日々努力していた。村の復興にはまず人を呼び込まなければならない。新しい住人が増えなければこのまま衰退するのみだ。シャンたちにとってよそ者である人間こそがこの村を救う唯一の手立てなのだ。
逆に電力会社の甘い誘惑に乗ってしまえば確かに一時的には住人は潤うだろう。だが、補償金の使い道について聞かれたシャンは弟と豪遊すると答える。村を盛り立てるための資金に使うなどという発想は微塵もないのだ。
貧困な地方は電力会社にとってはいい鴨だ。補償金という麻薬で薬漬けにしてしまえば後は思うがまま。村は景観を失い電力事業に依存して自立再生はますます困難になる。教養のあるアントワーヌはそれがよくわかっているからこそ事業誘致に反対したのだ。しかし学のない兄弟たちにはそれが全く理解できない。
やがて兄弟たちの嫌がらせはエスカレートし、ついにはアントワーヌは殺されてしまう。夫がいなくなっても一人農業を続けながら、夫の行方を捜す妻のオルガ。そんな母を心配して娘は村を出て一緒に暮らそうと説得するが全く聞き入れようとしない。
父を殺したであろう犯人が住む村でこれからも暮らしたいという母の気持ちが娘には到底理解できなかった。
しかし犯人たちと鉢合わせしたときおびえる自分をかばって毅然とした態度を取った母の姿を見て、娘は悟った。
父を愛していた母、その父が故郷と呼んだこの村がすでに母にとっても故郷となっていたことを。この地に根を下ろし、この地で生きてゆく覚悟を持った瞬間、母にとっても故郷となっていたことを。
けして犯人たちへの復讐心からこの地に固執していたわけではない、新たに羊を飼い始めたことから、そして息子たちを失うであろう哀れな母親への気遣いを見せたことからもわかる通りオルガにとってこの地は愛する夫と最後に暮らしたかけがえのない故郷になっていたのだった。
閉鎖的な村での近隣トラブルがやがて恐ろしい展開を迎える。スリリングな心理ホラー的様相をみせ始めてからは緊張感で一切目が離せなかった。サスペンスとしても秀逸だが、人間ドラマとしても重厚でとても見ごたえがある作品だった。
ちなみに補足として、調べたところによるとスペインは日本と同様エネルギーに関しては外国からの輸入に頼らざるを得ない国だったが、いち早く再生可能エネルギー事業に着手し、世界的にその導入率は5位以内に位置する。そしてこのガリシア地方はスペインの中でも風力による発電量はナンバーワンだという。もとは多くの電力を原発などに頼っていたが、世界的に次々と生じた原発事故を目の当たりにして再生エネルギー導入に舵を切ったのだという。なぜ事故を起こした日本がスペインと同じ道を歩めずむしろ時代に逆行する原発推進をしているのかは謎ではある。
タイタンくん、もっとご主人を守れよ!
スペインのど田舎の村に移住してきた意識高い系フランス人夫婦が、風力発電を巡る土地買収に対する賛否で村人と対立していく、不穏さ極まりないサスペンス。
インテリ夫婦と無知蒙昧な村人との対立に留まらず、豊かな都会人と貧しい地方民との格差の問題でもあり、複層的な対立は一筋縄では収まらない。
土地を売った補償金で何を買うかと問われた兄弟の、「一日中タクシーを乗り回す」との答えが堪らなく切ない。
本筋とは離れるが、嫌がらせの現場に同行していても、ご主人を一切守ろうとしないワンコのタイタンくんにちょっとモヤモヤしていた。
単なる田舎と都会の対決ではないと思います。
これあらすじ読んだだけだと、田舎に理想を求めた都会人と田舎に元々住んでる村人の埋まらない価値観の違いをネタに、何かしら事件が起こる映画、に思えますよね。
確かにあらすじとしてはそのとおりなんだけど、それだけで終わるような映画ではないです。
もっと重層的で、幅広い。
後半の奥さんが前面に出てきてからの流れが素晴らしいです。
こんな映画だったのか、と驚きました。
こんな奥行きのある映画だったとは。
もはや上記のあらすじやなんかは、単なる話の縦軸でしかないようにすら思えました。
人にはいろいろ事情があって、それらが折り重なって、にっちもさっちもいかなくなることは往々にしてあるわけで。
正解はないのかもしれないけど、少なくともこの映画の奥さんは正しくて、そこに自分は少し希望が見える気がしました。
長い割には情報量は少ない(個人の感想)
色んな賞を取ってるらしいですし、シンプルに自分が未熟なだけで、映画通で理解力があったり繊細な表現等を鑑賞できる方だったら楽しめるかもしれません。
どうしたいのか?を観る側にお任せし過ぎてモヤモヤ~
テレビの映画コーナーで紹介されてから気になっていた作品をやっと鑑賞しました。
で、感想はと言うと…モヤモヤ~w
煮え切らないしスカされるしとなかなか鬱憤が貯まる作品w
良い部分も多分にあるけど、何故こうなった?何故こうした?何故こうしなかった?と言うのがいろいろと出てくる作品です。
定年後に田舎に引っ越して念願の田舎暮らしと言うのは日本でもよく聞きますが、田舎暮らしが思ったよりもハードと理想と現実の違いに愕然としてあえなく都会に戻ると言うのはよくある話と聞きますが、実は田舎暮らしの独特のルールと近隣住民とのお付き合いによるトラブルで揉めるのが原因の3割らしい。
個人的には都会が大好きで綺麗な水洗トイレに慣れきった身の上では水洗でなく和式のトイレはすんごく嫌。それだけで多分なストレスになりますw
作中のアントワーヌとオルガは田舎暮らしにはなんの文句もないけど、アントワーヌを最初から小馬鹿にしている近隣住民とのトラブルでのストレスが100%の原因でそこに来たばかりの時に村に風力発電の話を反対したのが決定的なドドメとなってる。
最初はアントワーヌと粗暴なシャンとロレンソのお隣さん兄弟にアントワーヌ側の味方の心境だったけど、中盤での話し合いの中でなんとなくシャン兄弟の気持ちも分からなくないと言う感じになってきた。
産業もなく、貧乏が慢性的な村にゆりかごから墓場までを全うすることが当たり前のような住人にとっては、風力発電の建設の話は振って沸いたようなタナボタ話。
慢性ビンボーの身の上なら景観が壊れるなんて知ったこっちゃ無いと言うのもなんとなく分かります。
そこに引っ越してきたばかりのご新規さんが俺にも権利がある!とばかりに権利を主張して、反対となったとあればそりゃあ怒るわなと。
村の長年の状況を踏まえず、理想論を振りかざして、反対を唱える。それも自分達が理解出来ないような理論にインテリぶった感じになったら、そりゃあムカつきもしますわなとw
最初と最後はアントワーヌ側であっても、中盤の酒場の話し合いのシーンではシャン兄弟側の心境も理解出来る。このシーンって意外と作中でも重要かつ屈指のシーンだと思います。
あと、この作品って結構長回しのシーンが多いんですよね。長回しは役者泣かせかと思いますが、役の心境や気持ちの流れや空気感が際立つので、この作品でも空気感や緊迫感が秀逸に感じます。
ただ、正直…どうなの?と思うくらいの肩透かしが多数。
アントワーヌの煮え切らないし態度は観ていて“やっておしまい!”と思いつつも“やらんのかい!”とツッコミ大盛りw
元教師であったとしても、立派な体格は喧嘩でも負けそうにないのにハートはチキン野郎。結局アントワーヌの煮え切らないし態度が悲劇を生んだと言うのが1割くらいはありそう。
また、妻のオルガが最初は“村を出ましょう”とアントワーヌに諭すのに、アントワーヌが行方不明になってからの村への固執が心情描写が微妙なんですよね。それがどうも分かり難くて、オルガがなんか良からぬことを企んでいるのでは?もしくは黒幕だったのか?と勘繰ってしまう。
それに至るのに地元警察の煮え切らないし態度に“お前らもグルか?”と感じてしまうから余計にタチが悪いw
なんか無意味なセクシーショット(娘のマリーは良いがアントワーヌのはホントに意味が分からんヽ(`Д´)ノ)もあるし、飼い犬のティタンは人(犬)が良いのか、番犬感が薄い。でもティタンの性格って、アントワーヌとよく似ていると思ったら結構納得w
肝心なシーンが省かれていたりして、アントワーヌやシャン兄弟、オルガやマリーが何故そこに至ったのか?と言うのがバッサリ。
変にBGMが盛り上がって“何かあるのか?”とドキドキしても特に何にも起こらなかったり、ラストの締め方もなんか中途半端で“…えっ?これで終わり!?”とスカッと感が薄い。
まあ、ある意味フランス映画らしいとも言えますが、ちょっと丸投げ感が強い。
役を全うしたのはホント、終始小悪党のシャン一家といつまでも煮え切らない態度の地元警察官ぐらいでしょうかw
あと、二部構成とありますが、オルガ編はかなり付け足し感が強いです。
シャン兄弟とアントワーヌとの和解の糸口的なのはなんとなくちらほらあったようにも思えるけど、結局は双方の主張が互いに理解出来ないことに終着。
あと、一歩踏み込んで互いを理解出来たら?
あと、一歩踏み込んで先を見通して行動出来てたら?
アントワーヌは態度では無く、話し合いで解決を試みるんやったら、もっと確りとそうせんかい!と思えるし、オルガも捜索するのならもっとちゃっちゃとやらんかい!とモヤモヤ~
理想郷はあくまでも理想とするからであって、その地は理想とは限らないのは分かる。
でもそんな哲学的解釈は置いといても、もうちょっと確りと描いて欲しかったなぁ~と個人的には感じます。
いつだってそう。
慢性的な貧困に苦しむスペインの村に、ある目的をもったフランス人夫婦が移住するが、村の嫌~な奴らに数々の嫌がらせを受け…といった物語。
となりに住む兄弟がとにかく嫌なヤツら。小学生レベルの嫌がらせから、アントワーヌ達の生活を脅かすような過激なモノまで様々。
終始、静かでローテンションな展開ながらも、この兄弟がホントに糞野郎どもなおかげで飽きることなく画面にくぎ付けにさせられる。
なかなか考えさせられる作品ですね。アントワーヌ達を嫌うのにも理由があったみたいで、その気持ちはわからなくもないがやり方がダメ過ぎますよね…。それでいて頭の弱そうな兄弟と比べて、アントワーヌの方がその先も考えての事みたいだけど…正解はないのかな。
まぁやはり、貧しくて先の見えない暮らしっていうのが人の心を荒ませていくのですかね。
んで、どの作品に出て来るワンちゃんも可愛いけど…懐くなよwイライラするw
そんなことがありながら、いよいよクライマックスか…と思ったら、え!?ここから第2章!?
排他的な描写が本筋だが、親子問題を絡ませいるのも胸に迫るものがあったし、やや長く感じたものの、終始目が離せずのめり込まされる。
警察もある意味良い味だしてますね。まぁどんな世界だって、善悪よりもそれが優先されますよね。。やっかいな悪人よりも話の聞ける善人の方が我慢させられるというのは、哀しきかな世の常でしょうか。
そんなやりきれなさも感じさせられた良作だった。
予想と違いました
日本でもよくありそうな、都会人が田舎に移住したが村八分され翻弄する話だが、かなりやり方は陰湿で何回か胸が悪くなりました。後のシーンで村の人の言い分もわかりましたが。実際の題名は邦題とは離れていてプロモーションが上手かったのか?平日なのに結構見に来てました。個人的には時間(長い)もコストも無くした感覚です。
骨を埋める
娯楽性の高いホラーみたいなのかと思っていたら、全然違う、真面目で重厚な物語。
こんな恐ろしい陰気な村の、どこがいいんだろ?
さっさと帰国したらよかったのに…。
後半、長く感じました。
オルガに感情移入できたら、ものすごく感動したのかな?
あの犬も、もっとしっかりしたらいいのに…。
終わった途端に、観客のほとんどが席を立って出て行ったのに驚きました。思ってたのと違った人が多かったのかな?
いろんなところでモヤモヤしましたが、観に行きたいと思って行ったので、後悔はありません✨
Tenacity
田舎に移り住んだ都会の人が嫌がらせを受けて、村人たちとぶつかり合う、予告やフライヤーからはそんな感じの印象を持ったのでヘビーになるだろうなと思いながら鑑賞。仕事終わりだったので、140分いけるか?と身構えながらでしたが、全然余裕でした。もう目が冴えまくりでした。
都会から移住してきた元教師のアントワーヌと妻のオルガ。村八分とまではいかずとも、村人からは嫌がらせを受ける毎日。それには村人と余所者の物事の捉え方の違いがあって…みたいな感じのあらすじです。
夫婦と村人の揉め事の原因は、風力発電の設置での対立である事が序盤に明かされます。
確かに、後から移り住んできた人たちが反対して、他の多くの村人が賛成しているという状況で、風力発電の設置が遠のいているとなったら、嫌がらせの一つや二つ起こってしまうのは仕方ないのかもなとは思いました。
アントワーヌもどこか上から目線で会話をしてしまうところがあり、そのせいで村人たちを逆撫でしてしまっているのに、それに気づかないという余所者の残念なところが出ていたなと思いました。カメラでの隠し撮りも下手くそすぎてすぐバレてしまう始末ですし、兄弟側に落ち度があるとはいえ、ズカズカと民家に入ってしまうのもなんだかなぁって感じでした。
フランスとスペインでの過去の戦争間の話を持ちだすのは、完全に個人的な恨みだよなーと苦い顔で観ていました。
嫌がらせをする兄弟(弟の方はなぜかステイサムにしか見えなかった)の嫌がらせの仕方がまぁ露骨で、農作物をダメにしたり、酒瓶を放置したり、酒屋で侮蔑的な言葉を投げかけたりと、50そこらの大人がやる事じゃないよなとムカーっとしながら観ていました。
風力発電の設置で貰える補助金で何がしたいとアントワーヌに問われると、街のタクシーを兄弟で乗り回すというまぁなんとも贅沢な使い方。それほど、この村にいる事は他の地域から見るとよろしくない事のようで、知識を得ずに村に閉じ込められるように生活してきた2人だからこその事情は分からんでもないなと思いました。
ただ、それにしては嫌がらせの度が過ぎており、待ち伏せて銃で殺そうと脅してきたり、つけ回ってきたりと不快さ全開でした。
アントワーヌと同じく風力発電を反対していた友人が亡くなって、甥がやってきて風力発電を促進させようとしたところから、人の愚かさが徐々に増していったなと思いました。
序盤で村人が馬をとっ捕まえて締めるシーン、馬好きの自分としては観ているのがかなり辛かったのですが、絶対にこのシーンが人に置き換わったパターンが出てくるんだろうなと思って少し覚悟はしていましたが、兄弟がピッタリとアントワーヌをマークし、近づいて首や体を締め上げて、そのまま窒息死させるという残忍な事をしてしまいました。もう絶望です。
余談ですが、前売り券の特典のポストカードの不気味な口だけのシーン、これなんだろ?と思っていましたが、まさかここに直結するとは。このデザインを採用しようと言い出した担当の人、中々にクセが強いです。
アントワーヌが殺されてから、物語は少し角度を変えたものになっていきます。ここから復讐ものに変わってもおかしくない胸糞さでしたし、実際そうなるのかな?と思っていましたが、オルガはやり返さない、それどころかそのまま村に滞在して、農作物を育てて、その合間を縫ってアントワーヌの遺体を探すという執念がこれでもかと描かれます。
娘もやってきて、オルガをこの村から離れさせようとしますが、そこは意固地になって動かないオルガ。互いが互いを心配するあまり、エゴをぶつけ合ってしまう口論にもなってしまいますが、それをなんとか理解しようとする娘のシーンも描かれた上でも、オルガの感情はどこか不透明。その間にも弟の方は絡んできたりとするので、同情する余地はありませんでした。
最終的に、アントワーヌが持っていたカメラをオルガが見つけ、それをきっかけにアントワーヌの遺体が発見されるところまでいきます。ここで証拠を突き出して、兄弟を刑務所送り!といったところで終わりそうなんですが、今作はそうもいかず。
遺体発見前に何かを確信したオルガが、兄弟に刑務所行きを伝え、その上で母親に「私と同じように孤独になるのよ」と言い放った時は、スッキリとも言えず、かといって重い落とし所ではないという不思議な感覚に陥りました。
ラストカットも母親がすれ違い様にオルガを見つめる様子、発見された遺体を見にいく表情は無感情、何かモヤモヤを残したラストが個人的には人間関係は生きてる限り続いていく、映画が終わった後も延長線上で観ている自分たちにも関わってくるという余韻になっていて良かったです。
全力で人間の負の面を演じ切った役者陣は本当に凄かったです。
ロケーション抜群な村での1ショット1ショットが美しかったですし、撮影の仕方も背景の撮り方と人の撮り方が見やすくてとても良かったです。引きで撮るショットで不穏なものを感じさせるのもナイスな演出でした。
最後にワンコ。番犬としての機能は微塵もないですが、ペットとしては最高な子だと思います。口笛一つでどこか行ってしまうくらい純粋過ぎて心配になるレベルですが笑
鑑賞日 11/15
鑑賞時間 20:20〜22:45
座席 C-3
考えさせられる
スペイン語の響きを聞きたいのも、鑑賞理由の一つでしたが、スペイ ン人を嫌いになりそうな内容でした。実話がベースだなんて、恐ろしいです。
スペインとフランスの対比はそれほど強く感じなかったですが、田舎と都会での考え方の違い、夫婦関係と母娘関係などの描かれ方が鮮烈でした。
環境破壊、有機栽培、酔っぱらいや異常者の犯罪、閉ざされた世界(家庭、村)の問題、教育の意義など、様々なことが気になりました。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 「断絶」による悲劇は洋の東西を問わず此れまでも現代でも起こっているが本作で描かれている事件もその一つ。誰かの“理想”が誰かにとっては“邪魔物”でしかないという恐ろしさ。
①全体に漂う不穏感が半端ない。“理想郷”という題名から牧歌的な映画を予想していたらトンでもないしっぺ返しを受ける。
②母親と娘とのキッチンでの言い合いのシーンは粘り強い演出と演技が見事。
③本作は単によそ者と閉鎖的な村人との対立という単純なテーマの映画ではない。
お互いに歩み寄れないという難しさ。
対話が噛み合わないという難しさ。
今、世界のあちこちで起こっている紛争もスケールの差こそあれ根っ子は同じだ。
④殺人にまで発展するのは行き過ぎではあるが、村人の窮乏・境遇も分かるので何か上手い妥協点はなかったのか、と悔やまれる。
なんか思ってたのと違う映画
長い、失踪後が長すぎる。村人との啀み合いなどを期待したがあまりなく???の連続。
もう少しシナリオを面白くできたのではないか?
田舎に憧れる家族と田舎なんて捨ててしまいたい村人の葛藤を散りばめれば傑作になったのではないか?
長回しが生きているので役者の芝居は確実。
ホラーじゃないよ。
実際の事件を元に作られた話らしい。
これ監督はスリラーとかサイコホラーとか作りたかったわけじゃないな、、、畳み込みやドッキリは有りません。そういうの期待しないように。
日本でも田舎に移住失敗話は良く聞く。
空気読む国民性の日本でも失敗者続出してるわけで簡単な事じゃないのはわかる。
でも明らかにこのフランス人の主人公オッサンは失敗していた。村の貧しい状況と自分の夢の中間に落とし込むタイミングを失ったのだ。
どっちも身動きできずで、これは孤立しちゃうわなぁ。
大阪万博もだけど、つまらないプライドにしがみ付き、撤退するタイミング逃すと結果悲惨という示唆に富んだ内容である。
で、後半は少しクライムサスペンスっぽいけど、夫婦や親子の関係を丁寧に描いていて新鮮。
老犬がなかなか旦那を見つけられず、しょんぼりだ。
沸点顔
不機嫌 粘着質 威圧感 存在自体が暴力的 ドゥニメノーシェの十八番
“郷に入れば"などクソ喰らえな態度でお隣さんと
これでもかと揉めまくる前半(というか3/4)にはゲンナリ
(うちの田舎も海岸線に発電風車が立ち並んでいるので気持ちは分かるが)
シメられるシーンで顔面が口以外見えなくなり、以降スクリーンからほぼ消え去るので正直ホッとした
出来た奥さんが悲しみを乗り越える終盤が本筋
山間の限界集落、上達してゆく農作業など地味なシーンを丁寧に描写しリアリティを支えている
本当の理想郷
理想郷はあくまでも理想に過ぎない
「村」を言い訳して
「母」を言い訳して
結局、本質から逃げているだけだ
結婚しないのはお前の選択だろ
原因はお前なんだよ
この◯◯兄弟
オルガも真実から
逃げている感じがした
これは映画のストーリーだからなのか
カメラが見つかってから
捜索が本腰を入れて、すんなり見つかる
だから
オルガが真実から逃げているように感じた
最愛の夫の死を
受け入れるには力がいる
だから娘に説得されても
この場所を離れなかった
小便大河作品。それは撒かれた小便で始まった。
【いつも以上に殴り書きが長くなるので結論からいうと、
beastに戻る方が人間らしくていいのでは?
というbeast原理極論に言葉だけでも創作して共有して武装しといた方がいいのではないか。じゃないとドンドン分断されていくよという見立てです。隣人の理不尽さにはno、移民の一方的な価値観の押し付けにはno、◯◯にも三分の理、それぞれの反対意見含めて、個々でスタンスを、その根拠を、明快な言葉にしときましょう。というのをエンターテインしてますよー、すごー!以下蛇足】
小便大河作品。
意識高い系問題提起格差訴求映画。
大河の一滴は吐いた唾、
撒かれた小便で始まった。
原題はas bestas(the beast)。
自然農法と慣行農法、
都市と過疎地域、
誘致賛成と反対、
親、子、隣人、
他にも誰もが経験するような対立、
格差、
なんと、
スペインとフランスまで!
を、
なんとなんと、
メンチ切った、
小便かけた、
から丁寧に感情のぶつかりを描写してエンターテインしていく。
生きるという事に、
命をかけている、
誰が1番切実なのか、
何故タイトルはbeast、
冒頭の馬のシーンの意味は、、、。
歴史が始まる前、
人はケダモノだった。
小便の一滴を漏らさず大河に繋げる全方位の技術が凄い作品。
【蛇足の蛇足】
beast
命を削って道なき道を、
けもの道を、
ケダモノとして一歩一歩踏み出してきた。
歴史が始まる前までは、
ヒトはケダモノだった。
古今東西、さまざま作家が絵画、詩、小説、音楽、映画で上記を主題として作品をつくってきた。
本作もbeastというタイトルから類推すると、
スペイン独特のフォービズム、
またそれらを解体するキュビズムをモチーフに、
セリフにも出ていたピカソ、
ライティングはヴェラスケス、
羊飼いはラ・トゥール、
など、
シナリオ、演出、芝居、
撮影全体を構築した形跡が散見された。
beastとヒトの違い。
原罪と、
生活の知恵として有り(法律上許される罪)にしてきた事。
という風に、
言葉とかだけでも共有しとかないと。
【蛇足の蛇足の蛇足】
本当のas bestas(the beast)は、
隣人の背後にいる手を汚さないbeast。
ポンコツ番犬
スペインの田舎の村に移住して2年の夫婦と排他的な思想の村人の話。
農業を営みつつ、ほぼ廃墟な古民家を改修し村興しをしようとする主人公にやさぐれ兄弟が絡みまくって巻き起こるストーリー。
何でもかんでもイチャモンで、その流れの切っ掛けは風力発電?貧困な事情はあるにせよ、あまりに短絡的な隣人兄貴にヘドが出る。
様々な嫌がらせの証拠はあまり示されなかったけれど、実はいっぱい撮影した映像にあったという流れから、警察の動きの悪さも…それと比べると日本人て勤勉ですね。
なかなか意外なサスペンスでありつつ、色々なモヤモヤが募り胸クソ悪さが沁みてくる作品だった。
全61件中、21~40件目を表示