劇場公開日 2023年6月30日

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「山田杏奈は流石だが難解」山女 あいわたさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0山田杏奈は流石だが難解

2023年8月1日
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鑑賞方法:映画館

18世紀(江戸時代中頃)の東北地方の閉鎖的な山村社会を描いた映画。
山田杏奈の演技は流石で、惹きつけられますね。

人柱を立てて冷害を収めようとかそれっぽいことを言いつつ、一番の推進役は自分の孫娘をさっさと嫁がせて対象から外すとか、セコいですね。盗難事件の責任を取って村を出た(実質的には村を追い出した)娘を、山狩りしてその過程で殺人までして捕まえて人柱にするなど言語道断で、流石に山の神も呆れたのでしょう。
と思えるのは現代の価値観だからでしょうね。世界中の宗教は本質的には多くが平和的な教えだが、信徒まで平和的では決してない。中東問題、十字軍、安土桃山時代のキリスト教布教、近年ではイスラム原理派のテロ行為。それらに限らず、富を巡って人は殺し合いをして来ただけだし、宗教の教え自体はそれとは無関係でも、歴史を見れば争いに利用されてきたのは明らかですね。

とかそんなことをこの映画を観て感じたのですが、それで良かったのか?監督が何を考えてこの映画を作って、誰をターゲットにしていて、観客に何を感じて欲しかったのか、純粋に知りたいです。

遠野物語にインスピレーションを受けた作品とのことでしたが、遠野物語ってこんなに難解な作品だったのですね。山男も結局どのような存在として描いているのか良く分からず。
こういう映画って明確なメッセージ性を放つ作品が多いのだが、難解で不快な展開の割にガツンと来るメッセージ性も感じられず、消化不良だった。
これは自分の理解不足or感受性不足なのかもしれないが。

あいわた