「顔演技スゴすぎなスプラッター版『オズの魔法使』」Pearl パール regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
顔演技スゴすぎなスプラッター版『オズの魔法使』
前作(というか本作の後日譚)『X エックス』でポルノ映画スタッフ達を惨殺していった老婆パールが、なぜシリアルキラーと化したかが描かれる。
スタンダップコメディアンを目指す『ジョーカー』のアーサーのように、映画スターを夢見る若きパールだが、理想と妄想と現実の狭間で常軌を逸していき、ついには憎悪の塊となっていく。後年、映画スタッフを殺す動機が、なりたい者になれなかった者の嫉妬が根本にあった事が伺える。『ジョーカー』に影響を与えた『キング・オブ・コメディ』のマーティン・スコセッシが賛辞を贈ったというのも納得。
ストーリーやザラついたフィルム画質などからも『悪魔のいけにえ』、『悪魔の沼』オマージュの前作に対し、本作は『オズの魔法使』。鮮やかな色彩に豪華なオーケストラ劇伴、そして何よりも抑圧された生活から脱却したいというパールはドロシーとダブる。案山子が出てくるあたりもご愛嬌。まぁその扱い方はとんでもないが…
とにかくミア・ゴスの演技、特に“顔演技”が圧巻。長回しで映される表情だけで銭が取れる。次作『MaXXXine』で完結との事だが、新たなホラーアイコンにもなりそうなパールをこのまま終わらすのはちょっと惜しい気が。どうせならジェイソンや貞子のようにどんどんシリーズ化してもいいんじゃ。
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