劇場公開日 2023年5月5日

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「主人公は政次郎なのだ」銀河鉄道の父 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5主人公は政次郎なのだ

2024年10月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

この作品の主人公は宮沢賢治の父政次郎だ。しかし彼の出番自体は意外と少ない。
一見すると賢治や他の家族に振り回されているだけに見えなくもない。それでも政次郎が主人公なのである。何故か。それは政次郎がこの時代には珍しい革新的な人物に描かれているからである。

政次郎は「これからの男は…」と言う。
男が看病などしない時代に率先して看病をする。作中で看病をする場面が何度かあるが、そのほとんどを政次郎が行う。
新しいことをやりたがる子どもたちに家業の質屋をつげと古臭い堅物のように言うが、その実、子どもたちが新しいことにすぐ目を向けてしまうのは、新しい男である政次郎の影響なのではないか。

アンデルセンやらなんやら賢治たちは言う。それを政次郎は一切否定しない。本当に堅物であるならば、そんなものは読むなと言うだろう。賢治の改宗についても同じだ。
本当に駄目なことだけは駄目だと言って、それ以外は大体受け入れる。政次郎は子どもたちの自由意志を尊重しているといえる。
この時代にそんな価値観の男がどれだけいただろうか。

そんな新しい男政次郎の影響は賢治の作風にも表れているかもしれない。
宮沢賢治の作品は擬音が多い。他の人の作品と比べ少し変だと言えるだろう。言い換えるならば変人だ。
この時代に看病をする政次郎もまた変人だったのではないか。賢治が変人なのは父親譲りなのではないか。
そうかんがえると宮沢賢治という人物の構成に、妹のトシだけではなく政次郎も入っているのは間違いないだろう。少なくともこの作品の中では。

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つとみ