「とてちてけんじゃ」銀河鉄道の父 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
とてちてけんじゃ
予告の段階では割と期待していたんだけど、なかなか良作を出せない成島出監督とKino Filmの組み合わせだったからか、なんとも微妙な仕上がり。役所広司と菅田将暉以外に面白味がない。セットも雰囲気もすごくいいのに、なんだろうこの消化不良な感じは。
主人公である宮沢賢治の父も、宮沢賢治本人も、そしてその周りの人物も、全然描けていない。俳優の演技でウルっと来るが、感情移入は出来ないし、演出もいまいち。iPhoneで撮ったかのようなカメラワークにはあ然。せっかくこんだけ素晴らしい美術が用意できているのに。何度もウトウトとしてしまいました。
かなり駆け足で、宮沢賢治の半生を指でなぞった程度のストーリー展開。教科書レベルの内容しか描かれておらず、この映画を見て新たに得たことは特段無かった。音楽もすっごく安っぽいし、主題歌のいきものがかりなんて以ての外。作品の色に合っていないもいいところ。
間違いなく、役所広司と菅田将暉の演技力は素晴らしかったし、おかげで心も温まってグッとくる場面もあった。美しい描写もあり、実在の小説家を描いた物語であるからか、小説の中の世界のようであった。が、脚本があまりにお粗末。原作は直木賞を受賞しているようだから、もっと面白いはずなのに。とても勿体ない。
面白くないわけでは全然無いのだが、勿体ないという気持ちで胸いっぱいであるため、少し厳しいかもしれないがこの評価で。別の監督が撮り、別の脚本になったらどんな映画になるんだろうか。ドラマ化して別パターンも見たいな。
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