劇場公開日 2023年12月15日

「100周年を迎えたディズニーの、本当に信頼できる映画。」ウィッシュ sokenbiteaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0100周年を迎えたディズニーの、本当に信頼できる映画。

2024年1月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ディズニーってやっぱり、すごいなあ、と。
自分がわかったつもりになってたそれよりも、ずっと深くて、ずっと広いんだなあと。
そう思いました。

今やっぱり、みんながみんな幸せってわけじゃないじゃないですか。世界中で。
ニュースになっているような目立つことじゃなくても、何百万という人が、実は生きるか死ぬかの状況で苦しんでいたり。
食うや食わずの状況じゃなくったって、何かにひどく苦しんでいたり、心を痛めていたり。

そんな中で、それでも願いを持つって、どういうことなんだろう?
それを思いました。
この映画は、ちゃんとそういうところから、出発してるんだなと感じました。
そしてその答も、ちゃんと映画の中から受け取ることができたように思います。

最初は正直ピンと来ない気もしたんです。
典型的ヒロイン像から少し外したルックスの主人公は、やっぱり少し違和感があったし、国王のキャラや、願いを預かるというシステムも何か複雑で、それ故に主人公の思いや行動にも共感しづらいところがあって。
魅力全開に突っ走るというより、ブレーキを所々踏みながらコーナーを注意深く回っていくというか・・・。

ただそれは、届けようとする世界がより広く、複雑に、難しくなっている故の必然であって、そこから逃げようとしない作り手の決意表明であるかのようにも思えるのです。
そしてその中で、主人公は、その世界とあくまでまっすぐに向き合い、決して前に進むのを止めない。
その姿は、過去のディズニー作品のキャラクターたちと同じです。
あのメインテーマが流れる頃には、自分の中ではもう初めの違和感は跡形もなく消えていました。(生田絵梨花さんの歌、本当に素晴らしい!)

最後まで違和感が拭えないまま、ピンと来ずに終わっちゃう人がいても、それはそれで仕方ないかな、という気もします。
もしかしたらディズニーが好きな人ほど、そういう割合は多いかもしれないとも思います。
それがいいとか悪いとかではなく。

しかし自分は、2020年代のこの世界に向けて作る本当のディズニー100周年の映画は、まさにこの映画だと思いました。

自分の感情や、思いや、考えや価値観までもが深く揺さぶられて、本当に言葉通りに、涙が止まらなかったです。

sokenbitea