「薄い印象/ポリコレ批判について」リトル・マーメイド toshijpさんの映画レビュー(感想・評価)
薄い印象/ポリコレ批判について
135分の上映時間。原作のアニメは87分。
物語は割と単純なはずなのになぜこの長さが必要だったのか?
アニメの方は未鑑賞だから比較はできないが時間が増えた分だけ
中身が充実して感動的な作品になったかどうかというと疑問。
自分はミュージカルが好きなのでアニメの実写化というより
ミュージカルとして楽しめるのかどうかが焦点だった。
結論を言うと、ちょっと残念だった。長くなった上映時間は
むしろ中身を薄めてしまった感もある。実写映画の、先が読める
展開の中で時折ミュージカル場面が挿入されていた、と言う程度の
印象しか残らなかった。肝心のミュージカル場面も、自分は
割と冷めた目で観ていた。なぜか気持ちが乗ってこなかった。
気に入った映画は何度も劇場で鑑賞する口で、具体的には
グレイテスト・ショーマン(The Greatest Showman・105分)、
モアナと伝説の海(Moana・107分)などを何回も観た。
いずれも話の展開が早く、ミュージカル場面を楽しんでいるうちに
もう終わってしまう、もう一度観たい!という気持ちにさせてくれる。
アナと雪の女王(Frozen・102分)アナと雪の女王2(Frozen II・103分)
も短い。最近やたらと長い映画が多いが、短くても楽しめて
心に残る映画はたくさんある。そんな中で実写版リトル・マーメイドは
長い割に満足度は低い。
スタッフ・キャストそれぞれがプロフェッショナルで、仕事の
水準は高いだろう。しかしそれぞれの力を集結した1本の映画として
観た時に水準以上の何かを感じることができなかった。
水中のCG・人間の実写ドラマ・英語を話す動物のちょっと
間抜けな場面・ミュージカル場面。それらが一体となって
映画を盛り上げると言うより、別々に撮ったものを編集で
繋げただけのようなちぐはぐな印象が残った。
水中場面はアバター ウェイ・オブ・ウォーター(Avatar:
The Way of Water)が先に公開されて気の毒ではあるけれど
IMAXで鑑賞しても特筆すべきものではなかった。
ちなみにポリコレ批判については良いとも悪いとも断定的な
ことは言えない。ハリー・ベイリーがイメージと違うと言われても
アニメ版を観ていないのでコメントできない。ただし一部で
誤解に基づいた噂話が広がっているらしいので一言。
「クロエ・グレース・モレッツが降板してハリー・ベイリーが
主演することになった。黒人の起用にポリコレ勢の圧力が影響
した。」という話。気になるので調べてみたらデマだった。
クロエ・グレース・モレッツがユニバーサル・ピクチャーズ製作の
The Little Mermaidという実写映画に主演予定だったのは本当
らしいがそもそもディズニー映画ではない別物。それを
リトル・マーメイドつながりで誤解した人がいて変な話を
広めたということだった。そしてクロエが降板したのは恋人との
破局が背景にあると言われている。当時(2016年)女優業の休業
宣言もしていた(事実上すぐに復帰)。監督にソフィア・コッポラを
予定していたが彼女も降板。結局そちらは製作されなかったようだ。
クロエ・グレース・モレッツは好きな女優の一人なので
ディズニーとは別物として観てみたかった気はする。
ファミリー向けのディズニー映画とは違う、アンデルセンの原作に
忠実な片想いの作品になったかな?とか想像が膨らむ。