「勿体ないなァ」リトル・マーメイド ばぶさんの映画レビュー(感想・評価)
勿体ないなァ
というのが第一印象です。
なにが勿体ないか?
端的に言うと、「主人公の表情の乏しさ」と「陸でのドレスの似合わなさ」です。
順を追って説明します。
まず、ストーリーや展開はアニメそのままです。
人間界に憧れるアリエルがエリック王子と嵐の夜に出逢い、恋に落ちて、ますます陸に上がることを夢見るようになります。そこを魔女アースラにつけこまれる。
そこはいい。
歌は文句なしに素晴らしかったし、アニメ通りの展開にしてくれたのも嬉しかった。
実写にして増えたことと言えばエリック王子の歌とスカットルのラップぐらいで、それは楽しく聞けたので全く問題ありません。とくにラップは面白かった。
ですが、アリエルといえばディズニープリンセスのなかでも1,2を争うほどに感情表情が豊かな少女なのに、ハリーベイリーは全然表情が変わりません。これはあまりに勿体ない。
喜怒哀楽を素直に表現するところにアリエルの魅力の一つがあるのに、ハリーは大体のシーンでぼうっとした顔をしてます。起きてる? 目開けたまま寝てんのか?と思ったくらい。
そもそも女優では無い人間を起用した難しさもあるんでしょうが、表情の指導ぐらいやってほしかった。今作のアリエルは歌以外の魅力がほとんどないのも、この「表情の乏しさ」にあると言っていいでしょう。
モブのほうが表情豊かってなんやねん。
次に、ドレスの似合わなさ。これは原作のアニメ通りに青やピンクの衣装を着せたのでしょうが、そもそも肌の色が違うのだから似合うわけがない。パステルカラーは黒人に合わないんですよ。もっとパキっとした色味じゃないと。
中途半端に原作を模倣するせいでちぐはぐになってるところはちょこちょこありましたが、とりわけドレスの似合わなさが酷かった。
衣装担当はなんとも思わなかったんか?
監督は本気でコレでOKだしたんか?
ひょっとしてアリエルとか原作への愛がゼロなのでは?
...と思うぐらいには似合ってないです。
まあこれは主観なので、見る人によっては似合うようにも見えるんでしょう。
あと、これはハリーベイリーへの文句なのですが、せめて髪はもっと赤く染めて欲しかったしドレッドにしないで欲しかった。ここも原作と違うせいで強い違和感を覚えるところです。
制作陣は黒人が演じることによって黒人少女へのエンパワメントになると謳ってますが、それなら赤毛の子供たちへの配慮も忘れないで欲しかった。アメリカでは昔から赤毛はからかいの対象です。そのなかで、赤い髪を波打たせながら歌い踊る可憐なアリエルは彼女たちの憧れだし、自尊心の象徴だった。
その役どころにおさまったのだから、自身のヘアスタイルに固執せず、ちゃんと変えて欲しかったです。半端に日に焼けたような茶髪ドレッドはアリエルじゃない。まったくアリエルじゃない!
繰り返しになりますが、歌は本当に素晴らしいですよ。
おじさん三人衆(セバスチャン、グリムズリー、トリトン王)
の演技もよかった。エリック王子もめっちゃイケメンで目の保養です。
アリエルの見た目と演技力のなさだけが本当に勿体ない。
なので、星3つです。
これが人種差別的意見に見えるならもう知らん。
ディズニーは死んだ。
以上です。