「中身は普通です。ただ王子の設定が気になる」リトル・マーメイド サイレンスさんの映画レビュー(感想・評価)
中身は普通です。ただ王子の設定が気になる
良くも悪くも色々と言われている今作を観賞してきました。
やはり世間が心配していた通り、見た目(肌の色うんぬんの前にドレッドヘアが気になる)はひっかかりますが歌や音楽は流石だと感じました。
アリエルよりもフランダー、セバスチャンのナマモノ感が凄くてそっちの方が気になります。「実写なんだからそりゃリアルにするでしょ!」って考えだとは思うのですが、その2匹くらいはアニメのビジュアルに少しは寄せても良かった気がします。
話は普通…というかアノ名作そのままなので良く言えば王道、厳しめに言えば特に新しさはないです。まぁディズニーの名作実写はだいたいそうなので仕方ないのですが。
話の全体的な流れも元の作品とほぼ同じなのですが、元作品(80分くらい)よりも一時間近く長い(135分)ので正直、引き伸ばされている感がありました。その割にはセバスチャンが厨房から逃げるシーンなどは描かれていなかったりします。
個人的には特別良くもないですが、悪くもないといった感じです。
一緒に観に行ったツレは割と楽しめたそうなので、当たり前ですが良いか悪いかはその人によります。
~~~~~~~
※以下、このくらいはセーフだと思いますが、人によってはネタバレと感じてしまうかもなのでご理解の上お読みください。
上映前から問題視されている
いわゆるポリコレ的要素ですが
アリエルの肌云々よりも気になったのが
タイトルに書いた『王子の設定』です。
地上でのシーンを見た時、「なんか国民の多くが黒人だな…?」と思ったら、どうやら何故か舞台は南国あたり(?)に変更されているようです。その地を治める女王も黒人でした。元のアニメでそのような世界観だった記憶はないのですが。
しかしここで更に気になったのは、
母である女王は黒人なのに
エリックは黒人ではないという事です。
なぜかというと…
「エリックは海外からきた孤児で、王女に拾われた養子」みたいな設定らしいです。
正直、この設定にする意味がよくわかりません。
「黒人が多く出る」のような理由以外でこの設定にした意味があるのだろうか、と少し考えてみましたが…やはりよくわかりませんでした。
「外から来たエリックだから、おなじく外の世界から来たアリエルに好意を抱いた」みたいな事でしょうか?だとすれば少し無理があるように思えます。
もしかしたらなにか深い意味があるのかもしれません。
しかしもともと子供たちのために作られたアニメ作品の実写なのにも関わらず、一部の大人くらいしか読み解けないような深いメッセージがあるのだとしたら正直、自分はそれを邪魔に思ってしまいます。
何かしらのメッセージがあるのならもう少しストレートな表現で伝えるべきだと感じました。
もちろん作品の邪魔にならないよう配慮して。
アースラとのラストバトルについても思うことはありますが、これは明確なネタバレになりそうなのでご自身でお確かめください。