「時代に踊らされる…」バビロン KEIさんの映画レビュー(感想・評価)
時代に踊らされる…
Hollywood映画の歴史に興味ある人には良いかもしれないが、当初は2時間経っても、あまり次の展開が見たいと思えなかった。田舎から出てきた女優志望のマーゴット・ロビーがサイレント映画ではその美貌と派手な振る舞いが映画界の人々や観衆に受け、一気にスターダムにのし上がるが、トーキー映画になった途端、演技力の無さ、彼女の出自までが馬鹿にされ、酒やドラッグに溺れ、自暴自棄になっていく。一方、スター俳優であったブラット・ピットは名声を欲しいままに私生活でも幾度も結婚離婚を繰り返し、正に昔の大物俳優あるあるを地で行く生活を送っていたが、トーキー映画へ時代が変わる中で、サイレント映画の俳優と観衆から古い俳優、オワコンとされる。他方、メキシコ移民で映画の仕事に就きたい夢を持ち続けたディエゴ・ガルバは時代の変遷を上手く捉え、自暴自棄になっていたマーゴット・ロビーを救うべく、再び映画界に引き戻そうと奔走する。3人のそれぞれを捉えてストーリーは進んでいくが、昔のHollywood、煌びやかでありながら、何でもありの世界観を演出したいのか、無駄なシーンも多く、あちらこちらに話が飛び散らかってる感が否めない。荒削りながら、その美貌を如何なく発揮する、それでいて内面は繊細の部分も持つというマーゴット・ロビーの奮闘は見れるが、ストーリーとして深みが無く、既視感さえある。ところがラスト1時間弱、ある意味、時代に踊らされた形となった3人の終焉は物悲しく感じられ、次第に先の展開が見たいと思うように。映画館でのラストの涙はかつての仲間たちを思い出しながらも、涙から笑顔に変わったのは、この時代には無い映画、映画界の革命的な名作を流すシーンに、監督の映画愛が込められており、それでも今後も映画は変わっていくという未来に期待する監督自身の笑顔に感じた。