「映画草創期の狂気を体感する作品。」バビロン ごーるどとまとさんの映画レビュー(感想・評価)
映画草創期の狂気を体感する作品。
第95回アカデミー賞では作曲・美術・衣裳デザイン賞にノミネート。ゴールデングローブ賞では作品賞など主要4部門にノミネートされていましたが、アカデミー賞では主要部門には全く引っかからず。
1920年代のハリウッドが舞台。
オープニングの30分はまさに狂乱のパーティシーン。縦横無尽に動くカメラワークは長回し多めでそれだけでも心拍数は上がる上がる!
「華麗なるギャツビー」のようなド派手さでガンガン攻めてきます。
これはバズ・ラーマンなのか?と錯覚するほどに。
ただ、エログロシーンがかなり多めなので要注意。
ちょうど3年前に「ナイブズ・アウト」のレビューで『アメリカ映画におけるゲロシーンの必要性について』というネガティブ論文(論文ではないです笑)を書きましたが、個人的にゲロが全く駄目なもんでね。胃が弱いからでしょうかね。
今作ではゲロだけではなくさらなるお下劣シーンが特大大盛りなのでそこが私にはマイナス要素になってしまいました。
映画撮影のシーンはかなり面白いです。当時の現場にはコンプライアンスの『コ』もあったもんじゃあない。もちろん誇張もあるでしょうが、シネマ草創期は概ねあんな感じだったのでしょうねぇ。
時代はサイレントからトーキーへ。と言えば「雨に唄えば」を思い出しますが、あの作品へのオマージュもたっぷり。
ですがトビー・マグワイアのシーンは毒が強すぎて「ナイトメア・アリー」再び、です。
「セッション」「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督だけに音楽はすごく良いです。
前2作にも通じるジョービズ界のテーマが感じられます。
そしてラストシーンには監督の映画愛が凝縮されていました。
ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバが映画スターや制作者の栄枯盛衰を熱演。マーゴット・ロビーはすっかり大女優ですね。
この映画のもつ狂気に圧倒され続けていたからでしょうか、3時間超えの長さは全く感じられませんでした。ただ、もう少し人間ドラマが描かれていればなぁ。