「ハリウッドへのリスペクト」バビロン Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッドへのリスペクト
チャゼル監督の新作は、期待通りの快作でした!1930年代のハリウッドを舞台に、サイレントからトーキーに変わっていく映画産業の栄枯盛衰が切ない。キラキラした黄金期の裏側で、狂乱と苦悩に満ちたカオスな世界を生々しく描いています。
名優ジョン・ギルバートをモデルにしたというブラッド・ビットには、男のロマンチシズムが溢れていたし、自由奔放な女優クラプボウをモデルにしたマーコット ロビーは、セックス・シンボルを体現してる。トビー・マグワイアの怪演もヤバかった。皆心底楽しんで演じているのが伝わってきます。
映像や音楽や美術や演技や衣装が古臭くなくて、演出の力量がすごい。現在は予算の都合でなかなか使われない35mmフィルムで贅沢に撮影され、増感されているから、映像の光の質感が素晴らしかった。色彩の重みでファンタジーな世界を表現したのは見事でした。
長い歴史の中で映画界も幾度もなく変化を求められてきた。モノクロがカラーになり、フィルムがデジタルになり、CGがVFXになり、劇場からストリーミングになり...消えていく俳優や手法やモノがたくさんあったけど、いつもそこにはとてつもない熱量があったんですね。この作品で描かれているのは、その最初のストーリー。誰もスポットライトを当てなかった時代を知ることができる、貴重な作品です。
ラストのラッシュはチャゼル監督の、進化してきたハリウッドへのリスペクトが感じられて、映画好きにはたまらない😆