劇場公開日 2023年2月10日

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「映画が好きなら是非」バビロン ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画が好きなら是非

2023年2月19日
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鑑賞方法:映画館

3時間あるからか宣伝が少ないからか観客が少ないのに驚いた。
チャゼル監督のファンではないが、ララランドはほぼ満点の娯楽映画作品だと思っていて、この作品はララランドのブラック版、エログロコメディ版、音楽も良く、ララランドを越えはしないが、でも言いたいことは映画愛で、それをセリフではっきり表している。スター俳優が、3人目の妻の舞台女優が落ち目の彼の演技に繰り返しアドバイスするシーンで、彼女に対して映画はどういう役割を持っているか、また彼の凋落の記事を書いたジャーナリストに抗議に行った時に、時代と共にスターは変わるが50年後(1980年頃に当たる)も作品は残り、我々の死後に生まれた人達がそれを観るのだ、と言われる。むー!この作品がそれ自体。
タイトルロールまで20〜30分位あるのか?意外ともっと短いのかは不明だが、とにかく3時間もあると寝ずに観られるのかと不安になるが、杞憂。爆音のパーティー音楽やテンポの良い展開で飽きない。
前半の狂乱、酒池肉林のパーティーシーンはやり過ぎ感があるが、コンプライアンスが言われる100年前の1920年代は景気も良く、実際そういう時代だったのだろう。
俳優に求められていたものがサイレント映画とトーキーで変わってしまい、かつて重宝されていたものが無駄になるだけでなく違うものが必要となる、というのは映画界に限らないことで、普遍的なメッセージでもある。
特筆すべきは主人公マニー役の新人俳優。冒頭使いっ走りだった彼がマーゴット・ロビーの相手役となり、映画の肝をであるラストシーンを司る。映画を描いた作品なので映画からスターが生まれるという表現を兼ねているのだろうが、凄いスター誕生。彼の目の下の膨らみが綺麗。
監督の才能が爆発しているし音楽もララランドっぽくて良いし、チョイ役で大物が出ているし、予算もかかっていそうだし、映画が好きで他の作品を観る時間があるならこれを観なくては損。

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ミーノ