「ハリウッドの栄枯盛衰」バビロン bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッドの栄枯盛衰
1920年代から50年代のハリウッド映画・黄金時代を舞台に、その時代に生きた映画俳優の栄枯盛衰を描いたヒューマン・ドラマ。サイレント映画で一世を風靡した映画俳優が、トーキー映画の繁栄に伴う大改革の波に呑まれ、俳優としての存在意義を失い、映画界から取り残されていく物語。
監督は、『ラ・ラ・ランド』で、エンターテイメントの世界を描いたデイミアン・チャゼル。当時の華やかなハリウッドの表舞台の裏で行われていた、狂気的なパーティーに明け暮れた、映画界の影の部分から、俳優人生にスポットを当て描いている。こうしたハリウッドがテーマとなる作品は、いかにもアメリカ好みの作品とも思える。
サイレント映画の大御所・ジャックが、毎夜、派手にパーティーを繰り広げる中で、ハリウッドでの成功を夢見たマニーは、ジャックの元で、映画の「いろは」を学んでいく。そして、こちらもハリウッドに憧れた粗野な女優の卵のネリーは、マニーと運命的な出会いをする。マニーは、その気後れしない演技が人々を魅了して、スターダムを駆け上がっていく。
しかし、やがて、サイレントの時代からトーキーの時代へと映画作りが大改革していくと、新しい映画作りに対応できないジャックやマニーは、世間から見放され、窮地へと陥っていく。
本作の目玉は、何と言ってもブラッド・ピットとマーゴット・ロビーが、サイレント映画で活躍した俳優として共演している事。鑑賞前は、この2人がもっと絡み合っていくのかと思ったが、それぞれ独立したストーリーとして展開していく。その2人の間を埋めるのが、本作で大抜擢の主役となったメキシコ出身のディエゴ・ガルバだが、これまで自分も全く知らない俳優だ。
マーゴットは破天荒な役から、清楚な女性まで、どんな役柄も演じる素晴らしい女優だか、本作のような役の方が、彼女らしさが輝くと思う。その他には、『スパイダーマン』を演じたドビー・マグワイヤアが、猟奇的なマフィアのボスを務め、これまでにない怪演振りをみせていた。
内容的には、まぁ予想通りの展開。とにかく3時間を超える長い作品であり、お尻は痛くなった。