「“いなくならないから“」正欲 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
“いなくならないから“
温度低めのラブストーリーだったけれど、吸引力は強かった。
この世の現実の世界を、
生きて行くことが難しい・・・
生きづらい・・・
そう感じている多くの若者たちに
観てもらいたい映画。
ショッピングモールの契約社員の夏月(新垣結衣)、
中学の時に転校して行った佐々木佳道(磯村優斗)、
2人は、“水“で儚く繋がっていた。
2人は10数年ぶりに再会する。
友人の結婚式で、
そして、
家でむしゃくしゃした夏月が車を河原にぶつけた時、
通りかかった佳道、
佳道はホームセンターで自殺一式を買い揃えていた。
自殺する決意でいた、
思い出話しをするうちに、
2人の共通項・・・
中学生の時、蛇口を壊して、水を噴射させて、
大目玉を食らった思い出、
2人には水飛沫に、心を開放させる性癖・・・
(その共通項を再確認するのだった)
抑圧した自我を解放するのが、
水
水しぶき、
水のほとばしり、
2人は水フェチ、と言う共通言語があった。
夏月と佳道の生命は、
固く絞められた蛇口に閉じ込められた“水“だった。
その狭いトンネルの中だけが息の吸える世界
2人が再び出会うことで蛇口を開け、
生命は息を吹き返し、
新しい居場所を見つける。
ある事件が起きる。
2人を引き裂く試練のような事件。
夏月は呟く、
きみの世界から、
“いなくならないから“
私の世界から、
“いなくならないから“
もう決して、
“いなくならないから“
呼吸のように必要な君
呼吸のように、私たちは必要
探していた“片割れ”なのかな?
愛することを欲する
夢見ることを欲する
自分であることを欲する
あなたがあなたであることを
欲する
それが“正欲“?
ラストに掛かるVaundyの「呼吸のように」
凄く内容を把握してマッチしている。
だけど、こんなに前向きに、ひたむきに、力強く
夏月と佳道は“求め合う”のだろうか?
ちょっと温度高めで、戸惑う
「サムライ」への共感ありがとうございます。
さて「正欲」ですが、夏月が車をぶつけた時は自殺しようとしていたのです。その前のシーンで自分でエアバッグを取り外していました。そこで自殺を決意して買い物をしてきた佳道と会い、死のうと思った同志で二人の距離は一気に縮まるのです。
私は、そう解釈しました。
「正欲」のレビューをアップしましたので一読して頂ければ幸いです。