「「いなくならないから」」正欲 yuuさんの映画レビュー(感想・評価)
「いなくならないから」
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多様性って簡単に定義づけできないどこまでも果てしないものだと思う。理解しようとしても、結局個人の中にある知識や経験からしか生まれないのだから各々勝手に枠を作って、簡単に分かった気になったり、ありえないと思ったり、勝手に引いたり、批判したり、自分より下にみたりする。ありえないものを内側に抱えたり隠したりしながらどれだけの人が生きてるのか、目には見えないものがどれほど大きなものか、みんな見落としている。そもそも理解しようとすることが正しいのか?理解できないことは悪なのか?考えさせられる。
中盤、夏月の同僚の言葉にぞっとさせられる。きっと本人にとっては何気ない言葉。むしろ自分は正しいことをしているという態度。仮にも悪気なく世の中こういうことが至る所で起こっているのかななんて思うと本当にぞっとする。
夏月と佳道の2人。手を組むって、なんだか契約のようで嘘をつくようだなと予告編を見て思っていた自分の浅はかさを思い知る。手を組もうがその姿が他人にどう映ろうが、ただ必死でみんな生きて、生きようとしているだけで、生きていくための手段ってそれこそ正解も不正解もきっとないのだと思う。所謂普通ではないものを抱えていても、他人には計り知れないほどの孤独を抱えていても、もしたった1人でもそれを大事にありのままに共有できる人がただ側にいるのなら、生きる理由として十分だ。「いなくならないから」というセリフ。ここだけ切り取ると何気ない言葉。別の視点から捉えるとある意味皮肉な言葉。これほど力強い言葉があるだろうか。一生忘れられないラストシーンとして胸に刻まれた。
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