劇場公開日 2023年1月20日

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「ロシアによるウクライナ侵攻が行われてから3年目の当日に」ヒトラーのための虐殺会議 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ロシアによるウクライナ侵攻が行われてから3年目の当日に

2025年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1942年1月ベルリン郊外の湖畔で開催された「バンゼー会議」には、ナチス親衛隊とドイツ政府機関の首脳15人が集まり、わずか90分、1100万人のユダヤ人の最終的解決についての方針を相談した。その結果、600万人におよぶユダヤ人が「ホロコースト」の犠牲となったことが、よく知られている。僅かな資料しか残されていなかったのに、ドイツ人の執念で、何度か映画化されている。今回はテレビ映画だが、日本では一般公開され、のちにパリでも公開されていた。
最近、この映画に、バビ・ヤールの虐殺が出てきたことを急に思い出した。1941年9月、キエフ郊外のバビ・ヤール峡谷で3万4千人のユダヤ人が2日間で虐殺されたことも一つのきっかけとなって、「バンゼー会議」が開催されたのだと思う。
一つの問題は、バビ・ヤールでは、ドイツ軍だけでなくウクライナの補助部隊も加わっていたことだ。それを一つの根拠として、ロシアのプーチン大統領は、侵攻時ウクライナをネオ・ナチ呼ばわりしたのだろう。最近、トランプ大統領が、ゼレンスキー大統領を独裁者と呼んだのも、その背後に誰かを見ているのかも。
そうなのだ。バビ・ヤール-バンゼー会議-ホロコースト-ロシアのウクライナ侵攻は、一直線で繋がっている。背筋も凍るとは、このこと!
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4月6日、日経の日曜朝刊・文化面に亀山郁夫先生による「バビ・ヤール」に関する言及があった。私も聴いた昨年2月のN響演奏会で取り上げられたショスタコーヴィチによる交響曲第13番「バビ・ヤール」を一つの契機として書かれた「鎮魂」のための優れた記述と思われた。機会があれば、是非、お読みいただきたい。2025年4月8日、記す。

詠み人知らず
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