「議論において大切なこと」ヒトラーのための虐殺会議 JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)
議論において大切なこと
終始、胸糞悪い気分で話が進みます。
ほんとうに、苦しくなるので要注意。
でも、本作を見終えて、
まず思ったのが、
似たような階級、人種、性別、が集まって
会議なんてしてちゃいけないよなってこと。
そんな偏った会議、恐ろしい結末しか生まないよ。
あの会議を止める人が一人もいない異常性。
みんな加害者側だからでしょ。
被害者じゃないからでしょ。思い巡らせられない。
それよりも保身を考えてる。
あと、会議中に当然だけども“ユダヤ人”という言葉が
頻繁に使われるのだけど、
会議の最後の方なんてもう頭の中でユダヤ人を
描いて話しているというよりは、
なにかもっと抽象的な何かを指しているように聞こえた。
それによって、今回の効率化みたいな話になっていったような気がする。
だから、もっと具体的な一人一人の人間を
想定するのを忘れちゃいけないんだよな、と思った。
今作はずっと会議室で、ナチス側しか出てこないけれど
頭に浮かぶのは、これまで見てきた惨劇の数々でしたよ
本当に苛々しながら観ていたのだけど、
最後にはもうどうにもならない歴史になってしまったのだと気づいて、酷い無力感と悲しみに襲われました。
もうこんな歴史を繰り返しちゃいけない、と思うのと、
今だって、様々な人種や性別やセクシャリティを対象にして、似たような人たちが集まって、似たような会議が行われているのかもしれない、と思うと、本当にグロテスクな気持ちになりましたよ、今作だって、たった一つの会議から、600万人の人生が左右されてるんだから。
小さな一つ一つを大事にしなきゃいけないよ、
具体的な人間一人一人を想像しないといけないよ。
コメントする