「やや特殊な映画だけど、それでも見てほしいなと思う一本。」ヒトラーのための虐殺会議 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
やや特殊な映画だけど、それでも見てほしいなと思う一本。
今年25本目(合計678本目/今月(2023年1月度)25本目)。
※ 時間合わせのために「蒼穹のファフナー」をみたあと向かいましたが、こちらのアニメ作品(52分)にレビュー需要はないと思うので飛ばします。
ここの特集や予告編、公式ホームページ等からわかる通りがすべて、といったタイプです。
また、私は少しお手洗いにいっていて3分ほど抜けていますが、基本的に「会議室」以外のシーンが存在しない(導入とエンディング除く)という特異な映画です(「映画」というかは怪しいけど、そこは度外視)。
扱う内容がやや特殊ですが、高校世界史程度の知識があればついていけるように字幕も丁寧です。
一方で、最初に「内容の趣旨的に、現在からみて不穏当な表現・字幕が含まれるが、当時の時代背景を考慮してそのままにしてある」と出ます。したがって、一般指定(この映画はPG12以上ではありません)ということを考慮すると、やや「表現自体も緩和されている」ため、何を言いたいかややわかりにくいところもあります(いわゆる「ぼかし」字幕)。一方で、明確に不穏当だなと思える字幕も確かに出ます。ただそれは当時のナチスドイツの当該会議の残っていた資料等をかき集めて映画化するにあたって、「できるだけ当時の歴史のまま」作成し放映するという方針であったことは容易に推知できるため、その点の減点もしにくいです。
総じて「知的な大人向け」という枠になります。正直、上記に書いたように「会議室の中で10人ほどが延々とユダヤ人問題を話し合うだけ」というのに尽きるので、アクションシーンもなければ何もなかったりします。その意味で、映画館でやっていれば映画ですが、「どちらかというと」、市立図書館とか、そういう公的な場で流されるのが想定されているのかな…という気はします。
採点にあたっては減点要素がないのでフルスコアにしています。
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(参考/減点なし/ヨーロッパにおけるユダヤ人迫害)
・ 実際に醜悪であり多くの犠牲者を生んだのが、この映画でも描かれるナチスドイツであることは言うまでもありませんが、中世ヨーロッパごろから程度の差はあれ、国によってユダヤ人差別はありました。
近代になると、フランス(「オフィサー・アンド・スパイ」/ドレフュス事件)ももとはこれですし、多くのイギリス映画で扱われる「サイクス・ピコ協定」等は、「現在のイスラエルの国境自体が確定しない」という無茶苦茶ぶりなことを(各国とも、程度の差はあっても)やっているのが実情です。確かに収容所を作ったり何だのというのは、ナチスドイツとその同盟国など数か国に限られますが、有形無形(特に無形)の形で各国ともユダヤ人問題については驚くほど「人権意識」が当時なく(今でも何らかの意味で差別の残る国は多いです)、この映画はドイツを描いたものですが、反対解釈して「ドイツ以外の国はまともだったのか」というと、決してそんなことはない(わかりやすいのが、去年2022年の「オフィサー・アンド・スパイ」)ということは留意する必要があります。
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