福田村事件のレビュー・感想・評価
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異質を排除する
関東大震災朝鮮人虐殺事件は、向き合わなければならない歴史だと思っていた。
福田村事件は、震災現地から離れた千葉県
虐殺されたのは香川県の行商人達
で女、子供も含む。
何故だろうと理解できなかった。
地震による大きな被害もない地域だ。
些細ないざこざで、「こいつら言葉がおかしい、朝鮮人ではないか」と騒ぎが大きくなる。
自警団が取り囲む。
言葉がおかしいと言うが讃岐弁は千葉弁と比べても変な発音はない。
行商人達15人のうち半数は女子供だ。
武器も持たない。
対して自警団は、200人。
手に手に武器を持っている。
見に不安を感じる事もない。
「朝鮮人じゃあないか、殺してしまえ」と叫ぶ村人に対して
行商人のリーダーは、
「朝鮮人なら殺しても良いのか」
と発した言葉が私の疑問を解いてくれた。
自分達の側でないものは『人間』でないので殺しても良いと言う
異質を排除する論理だ。
女子供や戦う意志のない男たち9名を惨殺する。
この史実と、日本人は向き合い考えるべきだろう。
この映画は、それを突きつけている。
タイタニック構造のドラマで成功。
映画を楽しめます。観てよかった1本です。
関東大震災後の内務省の企てた通達と工作活動、当時の国策促進メディアによって煽られた大衆が大量殺戮をする映画なので、退屈するのかなあと懸念もありました。しかし、始まってみると最後まで映画に浸れました。テーマである大衆の暴走の背景として、大正時代の田舎の人々の暮らしや風景が、宴会や野辺の送り、被差別部落民の薬の行商シーン、お遍路さんのシーン等を通じて丁寧に描かれており、農村の人間模様も相まって退屈どころではありません。殺戮シーンは、控えめに感じました。そのシーンを徹底的に陰惨にする必要もなかったからでしょう。最近の邦画はいいものが増えましたね。ミニシアターでしたが観客の入りもまずまずでしたよ。観てよかった。
流言飛語と群集心理の怖さ、そして人種差別
100年前に実際に起こった虐殺事件を題材にして描かれた衝撃の実話。関東大震災をきっかけに流言飛語が飛び交い混乱に陥ってしまう群集心理の怖さを痛感しました。
二度と繰り返してはならない事件ですが、現代では流言飛語に加えてフェイクニュースも飛び交う時代であり、100年前と何も変わっていない事実を重く受け止めなければならないでしょう。
流言飛語と群集心理の怖さ、そして人種差別まで、問題山積であることを問いかけている作品であり、後世に伝えるべき名作です。
2023-162
知るべき映画
正義というものの定義がグラグラ 自分が信じてるものは自分に都合の良...
うーん。
日本で最も信用している
ジャーナリストのひとりが
森達也氏だ。
だからこれまでの作品は
すべて見てきたし、読んできた。
’
本作は、彼が初めて作った劇映画。
取り上げたのは、関東大震災直後に
実際に起こった虐殺事件だ。
心無いデマでたくさんの朝鮮人が
殺されたことは歴史に残っているが、
この事件は、朝鮮人と間違えて同じ
日本人を虐殺した、千葉県福田村で起こった。
’
40分に及ぶ虐殺シーンは人間の愚かさ、
同調圧力の怖さ、群集心理の酷さを
嫌というほど、教えてくれる。
善人でも人は殺せるのだ。
歴史の闇に隠されていたこの事件を知らしめた
だけでも、この映画の価値は十分にあると思う。
’
だけど、うーん。
劇としては前半の村の人間関係の話は長いし、
台詞も役者の演技もこなれていないものが多く、
むかーしの芝居を観てるようだった。
’
まぁ、子どもの頃最初に観た映画が「小林多喜二」
という環境に生まれた僕は、タッチが似てて
懐かしかったけど。
’
森さん、二本目、期待してます。
’
集団ヒステリー事件⁉️
男の面子とかいうもの
以前、アウシュビッツビルケナウ収容所を訪れた際に初めて知ったこと。それは、一番初めに収容所に入れられたのが、大学教授などのナチスに反対する知識人達ということでした。それが徐々に共産主義者、社会主義者、ユダヤ人、ロマ、同性愛者などに広がっていったそうです。だから、ホロコーストはユダヤ人の人種差別問題ではありません。
福田村では、朝鮮人だからという理由で村人による人殺しが正当化されていました。一方東京では、社会主義者だからという理由で国家による人殺しが正当化されていました。本作を鑑賞していると良く分かりますが、多数派や権力による人殺しが正当化される時には主たる理由は必要ありません。髪が長いからとか、髭をはやしているからとか、なんか怪しいからとかそんな感じです。
しかし、朝鮮人や社会主義者を直接的にも間接的にも殺した日本人は、後の第二次世界大戦では自分達が殺されることになりました。その頃には、澤田や田向の様な民主的な人間やファシズムを止める人間はもう居なくなっていたことでしょう。大衆は、日本軍の無茶苦茶な命令に従うことしかできず、300万人以上が犬死しました。これが、直接的にも間接的にも人を殺した結末です。
劇中、長谷川が村を守るために(朝鮮人を殺せ)と言ってましたが、あれは嘘です。軍隊は、権力の面子を守るためだけにしか動きません。長谷川は殺した旅人が朝鮮人ではなかったことに酷く動揺しましたが、これは殺した人間が日本人だと、自らの面子が保てないためです。
だから、私は男の面子というものが大嫌いだし、ホモソーシャルな集団も大嫌いです。
日本社会全体がホモソーシャルなので当たり前ですが、昨今でも東京五輪や大阪万博、その他たくさんのことが、ホモソーシャルな集団の面子を守るためだけに行われ、これからも行われようとしてます。そもそもの行動原理が面子のためと自分の利益なんで、このまま放置するとあの敗戦と似た様なことが何らかの形できっと起こると思います。だから、私は想像したいのです。劇中で殺された人達は、実は私の分身だし、彼らの面子のために酷い目にあうのは私なのだと。
コムアイさんと東出さん、大好きになりました。どんどん映画に出て欲しいです。
恐怖は常に無知から生じる。
この映画を観て頭に浮かんだのが、タイトルにした言葉「恐怖は常に無知から生じる。」("Fear always springs from ignorance.")でした。19世紀アメリカの哲学者、思想家のラルフ・エマソンが、ハーバード大学で行った講演の中で述べたというこの言葉は、人が未知の物や事に触れたときに生じる恐怖の理由を、端的に説明している名言だと思うのですが、この映画で広く明らかにされた事件についても、とても良く当てはまるように思えました。この事件を100年前の一部の人たちによる所業と片付けてしまうのは簡単で楽ちんですが、決してそうではないことは、卑近な例であれば今般のパンデミックで少なからず広がった流言飛語や非道な行いを鑑みれば、火を見るより明らかでしょう。パンデミック初期に生じた大きな恐怖も、時が進み件のウイルスに関する正しい知識が徐々に得られるのに従い薄まって行き、やがて平常心を取り戻したという一連の動きは、エマソンの言葉を体現しているのに他ならないと思います。これは決して他山の石ではなく常に身の周りに起きているということ、不断の学びと知識の獲得が恐怖を遠ざけるということを、改めて認識させてくれた見応えの有る作品でした。なお上述の講演の内容は、'The American Scholar'という表題で出版され、「アメリカの学者」という表題で和訳も出版されています。
日本人の弱さ、卑屈をよく撮ってくれた
”八つ当たり”の正当化
大正12年、関東大震災後のとある小さな村で起きた殺害事件。
なぜ公にされず、口を紡がれた事件なのか。
いつの時代も人間性は変わらない、と言うことぐらいにしか感じられない。
至極当たり前のことが起きる。
国際問題とかじゃない、人間の性質の問題。
映画から学びを得たい人には向かない作品。
日本の隠してきた事件を目の当たりにするという点ではアリ。
ただこの手の映画は映画館じゃないと集中できないから迷っているなら見た方がいい。
スマホ片手のながら見だと全く論点が見えてこないと思う。
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時に人は余裕がない時に、”八つ当たり”と言う行動を正当化する。
最後まで承認をかばった人間は、映画の序盤で一度は村八分同様の扱いを受けた者で
他者の痛みとある意味での”はけ口”を知っていた住民だったのよね。
こういうことに気がつけたのは、2時間半の長尺で一見意味のない人間模様を細部まで描いたからなんだろうな。
あの時代の人が現代にいたら、部落差別の現状を見て落胆するやろな。
今も昔もなんら変わっっちゃいねえ。
東出さんにあの役どころをオファーしたの中々強気だよね…w
黒歴史を知れる作品
人間が一番怖い
田中麗奈ちゃんをイジルな!
100年前の関東大震災という特殊な事情だけか?
今、そこにある危機‼️❓
ドキュメンタリーで関東大震災時の朝鮮人虐殺を観たら、内務省が朝鮮人の放火や井戸へ毒など監視するよう告示したのは有名だが、それ以前に新聞が同じ事を煽り記事にしていた。
人種差別等は日本では少ない歴史だが、イジメやハラスメントの自殺は世界でも指折り。
差別や迫害はなくならないが、誰もが認識して努力していかないと、酷いことになることはわかる。
殺す側の人間、この映画の中での傾向のある人間は、身近に沢山いる。
現実的には、君子危うきに近寄らず、だろうが、そんな悪と闘う気概は持ちたいと思う。
井浦新や東出の役柄のように、新聞記者役の女性まではいかなくても。
人種や歴史的差別の外にいても、我々のハラスメントの被害は切実です。
これは他山の石とせず、臥薪嘗胆で気をつけていきたい。
この映画が全国的に配給されるだけでも、まだまだ世の中捨てたものではない。
全ての人に、是非。
当時の空気にどこまで近づけたか
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