劇場公開日 2023年9月1日

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福田村事件のレビュー・感想・評価

全368件中、81~100件目を表示

4.0共同体の維持に必要なのは、絶えず他者を異化し続ける「良心」

2023年11月1日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

ようやく見た。
9月1日前後にマスコミでは盛んに宣伝していたが、それから1ヶ月半余りがすぎてしまった。その当時のような、この映画をめぐっての喧騒さはない。
一つひとつ起こった出来事をすぐさま忘れてしまうこの国にあっては、関東大震災やその際に生じた悪夢さえも100年記念として過ぎ去ってしまう。

それは、私たちの誰もが、狂気に満ちて殺戮の道具を手にした村人と同じだからだ。さまざまな肩書きを、必要のないまでの肩書きを手にし、いたずらに借り物の名を名乗りながら、その出来事を単なる通過儀礼のようにように振る舞う彼らと同じだからだ。

通過の儀式。たしかに、それは通過の儀式だった。そのあまりにも小さな無知の共同体の一人ひとりにとって、その共同体を維持する儀式だった。それゆえ、すでに過酷なまでに虐げられてきたその旅人たちは、何の躊躇いもなく、彼らの贖罪山羊になったのだった。

手を下したものは、人定の法によって裁かれようとも、おそらくはその共同体を維持しようとする行為は正当化されたのかもしれない。しかし、今ここにある法によって裁かれ刑に服してとしても、裁かれていないものがそこには残っている。

私たちが、この映画を通して出会うのは、まさに裁かれることを拒否し続ける我々の「良心」のあり方だ。

もう一度振り返ってみればわかる。
この映画の誰一人として、その程度の違いはあるにせよ、自分のことを「良心的」であると疑ってやまない人々だ。過去の事実に向き合うことによって苦しむ夫、その村への移住し夫との生活という現状を嘆く妻、被差別部落出身であることにより仕事の保証を得ようとする沼部、性(さが)に忠実であろうとする咲江、従軍経験を正直に吐露する倉蔵、在郷軍人会の長谷川、そして記者の恩田。

この良心だけは誰にも裁けない。だからこそ、それが良心として残ってしまう。そして、それが集団的になればなるほど、徒党を組めば組むほど、良心は狂気と何ら変わらなくなってしまう。疚しい良心とはまさにそのようなものだ。

例えば、澤田の語った次の言葉は、自分の良心を正当化すると同時に、その良心によって他者を、自分の向こう側へと完全に「異化」しようとするものだった。
3월 1일 만세 사건으로 우리나라는 당신들의 나라에 너무 심한 일을 해 버렸다.
그것을 사과하러 왔다
그래서 교회 안으로 들어가길 바란다”

この「教会」は、彼ものたちの共同体であるとともに、此のものたちの共同体を作るものでもあったということだ。ただ、彼が感じた良心こそ、自分を外在化する疚しい良心そのものなのだ。自己憐憫に陥ることは、自分を守る最後の術である。

しかし、この「良心」は共同体の外側であればあるほど、繋がりを欠いていて、分断的だ。登場人物中、アノ共同体に「内化」できなかった者たちが、疚しさがない「良心」を持つものだと見えてしまう。というのも、ソノ共同体を「外在的に」しか受け入れることができなかったからだ。澤田夫婦、咲江や倉蔵がそれにあたる。村長はまさにその境界線に位置している者の姿だ。

しかし、そうだろうか。これは共同体の「外側」に安心すべく良心が存在していることを意味してい他のだろうか。もし、そのような解釈が成り立つとすれば、それは陳腐な良心劇としかこの映画は評価されないだろう。

あの澤田の姿は、良心的であろうとすることを望む私たちの疚しさそのものを見事に映し出してはいないのか。

この映画は、まさにこうして、内側と外側という人間関係の境界線がいとも簡単に崩れやすく脆いものであるのか、そしてその際の徹底して良心的な自己弁護を図ろうとする人間の存在そのものを冷徹に描き出していると言えるだろう。

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critique_0102

5.0現代にも通ずる気色悪さ

2023年11月1日
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思い込みで歯止めのきかなくなった群衆ほど気色悪く、怖いものはない。改めてそう認識させられた。

正直事件が発生するまではやや長いなぁと思ってたけどちゃんと気色悪く事件が描かれていたので(褒めてる)星5。

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S.A

4.0誰が悪いとは言えない

2023年10月30日
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泣ける

悲しい

難しい

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サバ

4.0主役いなくても成立するのでは・・・

2023年10月30日
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2023年劇場鑑賞253本目。
関東大震災時の朝鮮人虐殺に巻き込まれた日本人たちの話。

殺される行商人達と、事件の舞台になった福田村と、真実を報道できずに憤る女性記者の3パートが同時進行で描かれていきます。井浦新と田中麗奈がエンドロールで一番目と二番目にクレジットされているのでこの二人が主役ということになるのでしょうが、あるエピソードを井浦新に語らせたいのは分かりますがそこに至るまでの前置きが多すぎて、ここがなければもっとコンパクトに収められたのではないかと思いました。

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ガゾーサ

5.0暴走しない自信はない

2023年10月29日
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北枕寝二

4.0「あなたはいつもみているだけなの?」

2023年10月28日
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137分、監督は森達也、めんどくさがってたけどしぶしぶ観に行きました。やだー、おもしろいじゃない。長さは感じませんでした。思想を演説してるような映画を想像してたんだけど、違った。ちゃんと映画だ!

何かのインタビューで森監督はエロ要素を入れたくなかったけど強く言えず後悔しているというようなことを言っていた。なに言ってるんだ、エロがなかったら出来事であって、映画にはならないじゃないか。

村人たちに交錯する、情念の発露の結果が惨劇に結びついているのだと思う。そこを丁寧に書いていたのがよかった。それぞれエピソードとして面白かったし。義父に胸押しつけるのは笑った。

女性にいろいろ託しすぎな気はするものの、みんな個性があり、各々の思いがあり、複雑さを想像させるのがとても良かった。田舎=女性=他者って感じ。

善良な人たちが群衆心理で酷いことを…という触れ込みだが、「善良な村人」など一人もいない。ずるかったり、弱かったりする人たちがいる。

人権派の村長が惨劇の目の前でなにもできなかったり、「上がそうしろと言ったからだ」と自らの罪を引き受けない姿こそが本質だと思った。

守ろうと声を上げた人たちが救いだし、きちんとやるべきこと(=声を上げること、みてるだけでいないこと)も提示しているのが誠実だと思った。たとえ無力だったとしても。ちゃんと応えてくれた人もいたし。

有名な俳優たくさん出てるし、もっとキャッチーな宣伝もありだったのでは。左翼映画だとばかり思ってたよ。

それにしてもみんな肌つやがよい。村人に見えるまで時間がかかった。1923年は祖父が3歳。祖父母を思うと、当時の人たちは「近代的自我」みたいなのはあまりなかったんじゃないかな。はっきり意見をいう女性たちにやや違和感はあった。仕方ないけど。新聞記者に夢見すぎかな。サラリーマンだよ。部長に意見なんてしない。

良かったシーン

馬買ってきなっていうたくましさ
土手で妻の不貞をみている男と目が合うところ

新聞記者と社会主義者はなんか浮いてた

水道橋博士よかった。ああいう役はやっぱり背の低い男でなくてはいけない。デカいとああはならないんだな

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hyvaayota26

5.0貧すれば鈍する

2023年10月28日
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東出君が映画でも軟派男やってる点が唯一笑えた。
映画自体は一切笑える要素がない深刻な内容でした。

事情もよく知らない人が何者かに煽動され人を傷つける様子は現代でもSNS上に見ることができます。
福田村の人々を笑うのではなく我々も彼らも本質は変わらないのだという事を心に刻むことがこの映画を見る意義だと私は思いました。

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SO

4.5燃えあがる女たちの情念

2023年10月28日
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怖い

興奮

知的

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カールⅢ世

3.0心に留めるべき事件なのでしょうが…

2023年10月27日
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歴史的事実が題材とはいえ、旧「八つ墓村」みたいだったらどうしようと怯えながら観に行きました。同時にどんなにおぞましい内容でも目を背けずに見るぞ!見て考えるぞ!と覚悟を決めて観に行きました。

そのせいか、なんか、思ったよりもソフトというか、観客のショックを和らげようとする制作側の配慮がかなり感じられて、映画の印象が薄くなったように思えました。

あの女性記者は、安全圏で視聴する現代の観客の共感(と正義感の満足?)を得るために登場させたのか?村長が群集を必死で止めようとしていたのは、福田村の子孫の方々への配慮なのか?等いろいろ考えてしまいました。
現実はもっと無表情で淡々としていたのかな。日常と非日常は連続していて何の前触れもBGMもなく、いきなり血を見るほどエスカレートしたのかな。

不安や恐怖によるストレスが高まって集団ヒステリーから暴力事件に発展することは、今でも起こりうることですし、日頃の差別や、差別の自覚・うしろめたさがあるゆえの「仕返しされるかも」妄想が恐怖を拡大することもあるでしょう。でも、警察の謀略というのはひどすぎます。
映画をきっかけに体験したことのない状況について思いを馳せ、自分ならどうするだろう、現在アタマでこれが正しいと思っていることを、そんな極限状況で実行する勇気があるだろうかと考えこまずにはいられません。
それだけ大切なことを描いてくれた作品でした。
…もうちょっと登場人物がシンプルでもよかったなぁというのが残念でした。

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かつのじょう

4.0奥深い

2023年10月27日
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お話でした。この俳優さんが殺されちゃうの?には驚きました。

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ちびお

4.0映画に何を求めるのか

2023年10月26日
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悲しい

怖い

自分にとって映画とは何なのか、なぜ映画を観るのか、
そんな疑問を抱きながら、映画に何かを求め続けている私にとって、この映画は一つの答えのように思う。
具体的にどこがどうだったとかいう批評めいたことは、私には書けない。
キネマ旬報で何人かの識者が書いている通りなんだろうと思う。
ただ、一つ言わせてもらえば、在郷軍人会の分会長は、自分(達)がしでかしたことを、人のせいにして、妻に擁護され、救われてしまっている。あの台詞は、それがふさわしい人に言わせしめるべきではなかったか。なぜあんな輩を助けるのか。
最後に。
この映画で再確認させてもらいました。
あらゆる差別は理不尽だ。

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ぜん

4.5若い人にこそ観て欲しい

2023年10月26日
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悲しい

怖い

知的

公開前からこの映画のことは知っていましたが、公開から二月以上経ってやっと観てきました。
森達也監督初の劇映画。それも関東大震災直後に起こった集団殺人事件をテーマにした内容だけに、よくある社会派の映画のように暗く重い作品になっているのではないかと危惧していたのですが。
観て良かったです!
悲惨な内容ですが、日本的な湿っぽさや重苦しさがあまりなく、ある種の救いがあるためか後味は悪くありません。と言ってもエンタメ作品ではありません。考えさせてくれる映画です。

帰り道、8年前に読んだ森監督の著書『すべての戦争は自衛意識から始まる』を思い返していました。
人間の持つ悪しき性(さが)を突きつけられ、偏見、差別、暴力といった負の力は無知や無理解や愚かな恐怖心から生まれる……と強く感じます。

若い世代の人に是非観て欲しい映画です。

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アルジャーノンに花道を

4.54.3/5.0

2023年10月26日
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映画好き

0.5高評価ばかりなのが怖い

2023年10月22日
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md

4.0やっぱり分かり合えない

2023年10月21日
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この作品を見て、人と人が分かりあうことは無理なことなのではと感じた。

いま現在世界で日本で起きている争いごととリンクして、分かりあうことの難しさを感じた。
そして、ちょっとしたパニックが起きるとどんな人でも簡単に制御が出来なくなるのだと。

ひとりひとりのリテラシーを高め、ひとりひとりが考え意見を持つことが分かり合うことに繋がるのではと思いつつ、リテラシーにはばらつきが生まれるものだし、現実的に難しいと感じた。

役者それぞれの演技が際立つ。
それぞれが懸命に生きている日常がふとしたきっかけで狂気に変わることを感じる演出も素晴らしいと感じた。

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モトコ

5.0今こそ観るべき映画

2023年10月21日
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怖い

興奮

群集心理の狂気をみた。

あの場に自分が存在していた場合
「やってしまえ」と叫ぶ側なのか
「落ち着け、早まるな」と抑える側なのか
果たしてどちらにいたんだろう?と考える。
狂気に呑まれた人間を制止するのは難しい
出来上がった混沌の渦の中に身を任せた方が
簡単なのかも知れないが、それは罪だ。

時代が変わっても差別は無くなっていない
ふとしたことで、人は容易く堕ちてゆく。

色んな感情がありのままに描かれていた。
直視するのが苦しい場面もあった。
突き付けられたのは、リアル。
それをもって、明確な答えなど出ていない。
だけど、観て欲しい。観るべきだと思った。

剥き出しの感情。躍動感。音楽。映像。
すごい作品だったと思う。

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いがっち

4.0今の時代、よくこんなタブーだらけの映画が上映できましたね。それだけでも凄いと思う。

2023年10月19日
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 この映画はしんどい。見終わってしばらくは手がガクガクと震えた。クレジットを最後まで見ずに早くその場から逃げた。

まず映画の感想として。
・福田村事件というのが1923年9月にあった。大震災をきっかけとして、日本人が日本人を虐殺するという史実があったということを初めて知った。
・被害者の出自は被差別部落民でエタと表現されている。彼らは一族郎党で薬の行商を生業としている。その彼らもハンセン病者に薬を巧みに売りつけ、わしらみたいなモンはもっと弱いモンから銭を取り上げんと生きていけんのんじや、という現実がある。さらに朝鮮人から飴を買った時、朝鮮人とわしらはどっちが下か、と問い、わしらの方が上に決まっとると、言わせている。
 これには私にも実体験がある。高校生の時、友達に誘われて部落問題を扱う集会に出たが、私にはピンと来ず場の空気が暗く嫌になった。部落問題とは何かを友達と話す中で、当時、より身近な朝鮮人部落を例に話す友がいた。そこは養豚場を地区でやっていて、夏場の臭いが酷かった。その友にも私にも朝鮮人部落の方が明らかに下に見えた。

 この映画の背景には差別の重層構造がある。部落差別、朝鮮人差別、ハンセン病、社会主義、共産主義に対する嫌悪感、女性、軍隊、天皇制、そうした構造的な差別と偏見が下敷となっている。

・亀戸事件や甘粕事件は社会主義者や組合運動家が殺害された。こちらの方は教科書にも載る位だから知っていたし現場も訪ねたが、福田村事件が歴史の闇に葬られて来たのは、同和問題が背景にあり、しかも当事者がそこにはいて、時代的、地域的にまだ差別が顕在化していたから、語るに語れない状況があったのだろう。加害者側も当然、その子孫がいてそれはタブーとして語らず記録にも残さずという状況だったからだろうと思った。

・映像の持つ迫力
 虐殺のきっかけとなったのは「朝鮮人なら殺してもええんか?」という新助の対して、赤子を背負ってまま無言、無表情でいきなり鳶口を新助の脳に突き刺したトミのシーン。
 最後の所の野田署で信義が殺された9人の名前を一人ずつ呼名するシーン。その中には妊婦で殺害された女性の中に宿っていたであろう、[望]も含まれる。災害や戦争による大量死の場合、その死者数が先んじたり、その数字の根拠が論点となったりするが、一人一人の生きた証としての名前を呼ぶ、or刻む行為はとても大事なのがよく分かるシーン。

・定住者と放浪者の対比
 殺人や強盗事件では今でもよく住所不定無職と報道される。定住者は昔なら農民で今なら勤め人だろう。放浪者とはそれが叶わない人たちで、古今東西、差別の対象とされて来た。その代表としてエタの行商人であり、この映画の被害者達だ。
 本来ならその村で薬を売り、また次の行商地に移動し、ある程度売ったら村に帰るはずだった。それが大震災をきっかけとして、集団殺戮にあい、国体護持の生贄となった。朝鮮人は口実で非定住者に対する差別や下に見る風潮がこの惨劇の底辺にある。

 そういうヨソモンに対して自分たちのコミュニティとは違うニオイを感じ、それを差別する、特に危機的状況においては排除する、それは良いとか悪いとかではなく、ホモ・サピエンスのDNAに刻まれた宿命なのではないか。だから被害と加害は容易に入れ替わるはずだ。

 私が面白いなと感じたのは朝鮮で提岩里教会事件に関わってしまった澤田とその妻の静子も放浪者。ラストの利根川に小舟で浮かび村を捨てる二人はそうする以外選択肢はなかっただろうから。

次に映画のパンフレットを読んで。
・一番の見どころは市川正廣さんと佐伯俊道さんの対談だ。市川さんは地元在住で市の職員をされ、福田村事件追悼慰霊碑の建立に携わった方。映画がこの事件を世に問う事で闇に葬られて来た被害者を浮かび上がらせるのは良いが、地元には加害に携わった関係者の子孫がいる。この映画の持つ虚構が独り歩きし、それが福田村事件の真実とされては困ると、映画に対してかなり批判的だ。一方、映画の脚本を手掛け制作者側の佐伯さんは、この映画の興行としての成功、予算、尺の問題から、虚構を入れないと成立しないという立場だ。両者の一致点はこの事件を直視し、後世に伝えていくという点だ。両者の立場の違いが鮮明で読んでて緊張感が伝わる。またこういう予定調和的でない、オープンな議論こそ、こうした事件を防ぐ土壌だと思った。

最後に
・韓国の慶州にナザレ園がある。
慶州ナザレ園はかつて半島に渡って行った日本人妻が終戦と朝鮮戦争の動乱の中で、行き場を失い、その後、日本に身請け人のいない日本人女性達が帰国できず施設に残り、やがて養老院の体を成していった施設だ。私はここに2度、訪れている。
・この映画と共通するのは、対象となるのが何れも日本人だと言う点。
・従軍慰安婦問題とこのナザレ園をクロスさせて、埋もれた歴史の闇に光を当てるような映画を森達也監督にはぜひ創ってもらいたい。

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アツサミー

異質を排除する

2023年10月19日
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関東大震災朝鮮人虐殺事件は、向き合わなければならない歴史だと思っていた。
福田村事件は、震災現地から離れた千葉県
虐殺されたのは香川県の行商人達
で女、子供も含む。

何故だろうと理解できなかった。
地震による大きな被害もない地域だ。

些細ないざこざで、「こいつら言葉がおかしい、朝鮮人ではないか」と騒ぎが大きくなる。
自警団が取り囲む。
言葉がおかしいと言うが讃岐弁は千葉弁と比べても変な発音はない。
行商人達15人のうち半数は女子供だ。
武器も持たない。
対して自警団は、200人。
手に手に武器を持っている。
見に不安を感じる事もない。
「朝鮮人じゃあないか、殺してしまえ」と叫ぶ村人に対して
行商人のリーダーは、
「朝鮮人なら殺しても良いのか」
と発した言葉が私の疑問を解いてくれた。
自分達の側でないものは『人間』でないので殺しても良いと言う
異質を排除する論理だ。
女子供や戦う意志のない男たち9名を惨殺する。

この史実と、日本人は向き合い考えるべきだろう。
この映画は、それを突きつけている。

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しゅんぱく

4.5沈黙

2023年10月18日
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ブレミン

3.0タイタニック構造のドラマで成功。

2023年10月17日
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見る時点で周知の史実に現実架空混交する善悪群像を投げ込み現代的思考でドラマを紡ぐタイタニック構造の採用で成功。
衆愚と老害と報道の功罪なるある種凡庸な主題も筋金入りの森達也だから掘り下げが何枚も深い。
私的年テン上位当確。
本筋と無縁の田中麗奈の美と不気味を買う。

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きねまっきい
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