福田村事件のレビュー・感想・評価
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偉大なる失敗作か?
若松孝二だったらヒューマニズム落ちなんて、死んでもあり得ないだろう。
ちらとでもそう思われるてる時点で、あの森監督が…という感じだ。
森監督は好きだし、若松孝二も大好きだが、脚本は詰め込みすぎて無理があるし、虐殺シーンが緊張感がなさ過ぎてあちゃ〜だし、もう突っ込みどころがあり過ぎて、後半ため息ばかりであった。
低予算と言えば、「野火」をあのレベルに纏めた塚本晋也とエラい差である。
しかもヒューマニズム落ちはつかしんが1番避けた落ちだ。
これはボロボロと言って言いだろう。
あの森監督が劇映画となるとこれなのか…映画って難しいんだな…と…。
次作に期待します。
この高い評価こそ同調圧力では?
森監督が劇映画を撮ると聞いて、
絶対観ないとと思い鑑賞。
日本人の異常なまでの同調圧力、ヒステリックな民族性を正面から、全てを見せていく若松プロの心意気は感じるが、映画としてはとても褒められたものではないと思う。
映画の流れがとても雑な上に、とにかく説明セリフが多すぎ、人種差別に被差別部落など日本の差別の歴史も詰め込んだのは判るんだけど、とにかく分かりにくい。
神は細部に宿るというけど、腰が入ってないと言いながら、とんでもなく頼りなく鍬を振るう水道橋博士を観て、こりゃダメかもと感じたまま終わってしまった。
(そういう役だと言ってしまえばそれまでだけど、、、)
パンフレットや解説を見ないと意図が伝わらない映画は好きではありません。
暫定評価3.5 or 全て事実なら評価4
心に残る良作(みんなに見て欲しい)
福田村事件とは、1923年9月6日、関東大震災の未曾有の混乱の中で朝鮮人や無政府主義者などを対象として生まれた流言蜚語、大規模な虐殺が行われた中、震災の6日後、香川県からの薬の行商団15名が千葉県福田村で「朝鮮人を殺せ」と地元民に暴行され、9名が殺害された事件である。
事件後100年を経て事実を元に作られたこの映画は当社でも観れたのである。
通常このような事件はただただ異常な普通あり得ない印象であったり関東大震災と言う全く非日常
な中での「仕方のない」事案であると思われがち(思ってしまおうとする)なのであるが、この映画では震災前の福田村や行商団の日常を丹念に映す事でこの事件の普遍性を描き、世相や震災を経て人々がどんどんおかしくなっていくプロセスを丹念に映すことでこの事件の必然性を描いている。
そして俳優達の素晴らしい演技やカメラワークがこの映画をただただ異常な暗いものにするのではなく、気持ちの動きのみずみずしさや鮮やかな色合いを与えてくれる。
今はこの事件から100年経ったが、人はここからどれくらい賢くなれたのかな、寧ろ人は偏見や悪意の増大、学ぶことに対する意欲の低下など悪化する一方なのではとつい思ってしまう。
そうした意味でこのような事件を映画化してくれた関係者の方には感謝しかないし本当にこの映画を沢山の人に観て頂きたいと思う。
タイトルなし(ネタバレ)
観終わった後、外に出たら日常の世界が噓のような気分に囚われた。普通の人々が忙しそうにそれぞれの用でそれぞれ方向にそれぞれの速さで行き交っていた。自分も含めこんな普通の人たちが競合脱線のようにある条件の重なり合いで、とんでもない事態に発展してゆく恐ろしさの高まりを見せつけられた。個人的に香川に住んでいた事もあり差別も承知していた。しかしその件に関しては、それは後付けの話であり、あくまで大衆のモッブ化メカニズムと暴力の遍在性をまざまざと見せつけられた。興行的に性的要素は必要だろうが、これほどいるのかなとは感じた。女性記者の存在の定型性が気になった。それよりも脚色的には元教師と村長と村のボスの少年時代の姿との対比などがあればなぁーとも思えた。しかし難しい問題に切り込んだ制作者の皆さんの勇気は称えたい。
日本人特有の愚かさを思い知る作品
戦争の爪痕
虚しい…
映画を見て身体が震えたのは初めてだった。
身体が震える程の恐怖は、東日本大震災の津波の映像を見た時以来だ。
「本当に怖かった。」
この事件を私は知らなかった。
以前、別映画鑑賞時に本映画の予告を見たことがきっかけでこの事件を知ることとなった。
とても惹きつけられる予告映像だったので、強く印象に残ったことを覚えている。
その時、この映画は絶対に観なくてはならないという謎の使命感を抱いた。
と、大袈裟に書いたが、実のところは
「この企画は、森達也監督がNHKや各配給会社にこの企画を提案したところ全て突っぱねられたから、自分で映画を撮ってやろうと始まった」という制作秘話がある。
もしかしたらDVD化もサブスク配信もされないんではないかという焦りから、急いで映画館へ駆け込んだというのが本音だ。
事前に予習をしていた為、大まかな事件内容は知っていたが、これを映像で見せられるとなるとかなりの覚悟が必要だと思った。
この上映が終わった後、自分がどんな感情を抱くのか予想した。
「憤怒」か「悲壮」か…
そして「熟考」した後に何かしらの言葉を紡ぐのだろうと…
そう思っていた。
その結果は「虚無」だった。
鑑賞中、急激に血の気が引いて行く感覚に襲われた。
様々な感想が頭の中を駆け巡っていく。
「完全にディストピア…」
「どうして、村人達は駐在の確認を待てなかったの?」
「本当に朝鮮人が怖かったの?人を殺す為の大義名分が欲しかっただけじゃないの?」
セリフにもこだわりを感じた。
事件前に登場人物達が発したセリフが、事件発生から事後に起こった事の皮肉になっている。
例えば、「教育は大事」と言っておきながら、風評を疑いもせず、怖いという理由だけで無抵抗な人間を殺したり、
「天皇は俺たを助けてくれない」のようなセリフがあったが、大正天皇が崩御すると福田村事件の逮捕者は皆釈放されたりと
なんとも胸糞悪い…
登場人物に誰一人清廉潔白な人物は居らず、皆が生きていく為に、家族を守る為に、欲望を満たす為に、自分たちの主義主張を正当化する為に何かしらの悪い部分を持っている。
中にはまともな意見を持っている人もいたけれど、残念な事に100年前の世界線では、その価値観はマイノリティだったようだ。
「俺は待てと言った」とどんなに主張しても殺された人達は戻って来ない。
「どんなに自分達を正当化しようと、朝鮮人であろうと人を殺してはいけない。」
事件から100年経った今、このような発言をしたとしても非国民だと罵られたり、逮捕されることは無いし、その価値観は殆どの日本人に共有されている。
【私は、今の日本に生まれたことを心の底から幸せだと感じている。】
最後に一つだけ言いたい。
この映画は絶対「PG12」では無い。。。
不穏な空気感、惨殺シーン、所々のエロ要素など含めるとR15以上は必要だろ!
というクレームを1件入れて、今回のレビューを終わりにしようと思う。
やりきれない
終盤のキャラクターの交差が良かった。 森達也監督は"多声性"と仰っ...
虐殺は続く
「福田村事件」を観る。あまり好きではない「映画はプラカードではない、映画の出来としてどうかだ」という言説があるが、この映画は群像劇として非常に素晴らしくて、そこは軽々とクリアした上で戦争が差別を生み、その差別を温存し増幅させる今だにこの国に存在する社会構造を告発する映画でした。
「菊とギロチン」の桐生麻生さん演じる新聞記者がその差別を増幅させるシステムを担う機関に成り下がった新聞社を糾弾するシーン、これは朝鮮人虐殺を無かったことにしようとする権力に抗うことのできない今のこの国のマスコミへの糾弾でもあるよね。
あと、題材に朝鮮人ではなく朝鮮人と間違えられた日本人が虐殺された福田村事件を取り上げたことに対する疑問も出ていましたが、あの時に日本人が朝鮮人に何をしたのか、朝鮮半島で何が起こったのかということは重要なシーンでしっかりと描かれています。
ピエール瀧さん、豊原功補さん、水道橋博士さんらが、それぞれ「かつて理想を持っていたのにファシズムに屈した記者」「デモクラシーを唱えるが全く体現できない村長」「愚直に国体に身を捧げる男」を演じていて素晴らしかったです。博士、この役は大変だったろうな。
日本人として見ておくべき作品
公開前から気になっていたので鑑賞。
関東大震災直後の朝鮮人の流言飛語が飛び交う混乱した状況で福田村で起きた行商団15名が虐殺事件に巻き込まれた実際の出来事を描いています。
関東大震災が起きて100年という節目にこういう作品が公開される意義は大きいし、多くの人に見てもらいたいと感じました。
ただ上映時間が137分とやや長めなのが気になりました。前半の様々な人間関係を丁寧に描きたい気持ちは理解できますが、実際の衝撃的な出来事との乖離が大きく前半の地味なドラマ部分の回収も微妙な気がしました。
しかし今見ておく価値のある映画というのは変わりないので興味が少しでもあれば映画館でご覧ください。
出演者はもちろん作品完成に協力した関係者の苦労が少しでも報われることを心より願います。
永山瑛太、豊原功補が個人的には良かったです。
ちなみにテアトル新宿は昼の回から満員御礼でした。
日本人必見
見るべき価値のある映画。
平日の10時台の上映に行ったがほぼ満席。連日続いているとのこと。このような映画に関心のある人がたくさんいるのだ。
関東大震災の朝鮮人虐殺とともに、売薬の行商団の同じ日本人を朝鮮人と決めつけ虐殺した本当にあった事件をもとに映画化したもの。その事件の様子はリアルで迫力があった。
ルポライターの辻野弥生さんの本が元になっている。
単にそのときだけの人間の心理状態がそうさせたのではなく、そこには軍部や元軍人の力、戦争、出兵、韓国併合、朝鮮半島での独立運動激化、日本人と朝鮮人労働者、天皇制、民主主義、社会主義への弾圧、言論統制などがさまざまな形で日本人の心を歪め、朝鮮人への恐怖心、差別意識が醸成されてきたのだ。それは、どこにでもある日本の日常生活の中に潜んでいた。
常識ある冷静な人たちも出てくるがそれは少数で、力で押さえつけられる。
朝鮮人なら殺してもいい。
それにしても100年前の事件がひた隠しにされ、殺害した住民も自分たちは国のために国の通達で自警団を結成し自分たちの地域のために立ち上がったのだと。
見たこともないのにデマを流し続ける人たち、国もそれに加担する。真実を伝えるべき新聞社も正面切って立ち向かおうとしない。若い記者が自分が実際に見てきた事実を記事にすることも待ったが掛かるという葛藤。
映画を通してこのような事件を初めて知った。森達也監督に感謝である。
永山瑛太、東出昌大、豊原功補、松浦祐也らが迫力ある演技をしてくれた。中でも、大正期の井浦新とその妻、田中麗奈が大人のエレガントな女性としてひときわ目を引いた。広島を舞台とした「夕凪の街 桜の国」(2007年7月)から16年経ったのだから。
今を生きる私達が観るべき、識るべき重厚な一本
1923年9月6日
100年前の今日
福田村事件が起きた
公開中の森達也監督の映画で初めてこの凄惨な事件を知った。
関東大震災の騒擾の中で香川県の薬行商人の集団15人のうち幼児や妊婦を含む9人が、福田村(及び田村村)の村民により虐殺された事件だ。
大杉栄などの社会主義者や多くの朝鮮人がデマによって殺害されたことは有名だが、この事件も朝鮮人と疑いをかけられ、暴走する集団心理の狂気によって発生した。
朝鮮人差別だけではなく、部落差別、職業差別と重層的な差別構造が招いた事件だと思う。
100年立って日本人が理性的に進化を遂げた訳ではなく、人間である以上他者をラベリングし、異質なものを排除する性質は変わりはない。
今でも十分に起こり得るだろうし、自分が集団の中で加害者になることもあり得るだろうと思う。
そしてパンフレットが分厚い。
(映画とパンフレットはセット!)
そこには事件を25年に渡り追い続けた研究者がなんと映画の創りを批判する内容も載っている。曰く、史実とは異なる。
確かに、この映画は切り取り方によって功罪両面があるかもしれない。
しかし、今を生きる私達が観るべき、識るべき重厚な一本であることは間違いない。
柄本明、井浦新、田中麗奈、豊原功補、永山瑛太、東出昌大、カトウシンスケなど、名だたる俳優が集結しているのも頷ける。
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