「誰が悪いとは言えない」福田村事件 サバさんの映画レビュー(感想・評価)
誰が悪いとは言えない
クリックして本文を読む
関東大震災中に劇中で描かれていたような事件があったことを知らなかった。
悲惨な結末を迎えたが、誰が悪いとは言えないと感じた。
大切なことは、自分で考え、情報を精査する力だと思った。
それはいつの時代も変わらない。
だが、時代的に自分から得られる情報には限界があり、デマを流され、戦時中の思想統制が行われ、さらに震災が起きたという混乱の最中であれば集団ヒステリーは大いに起こり得る。
ましてやそれが村という閉鎖的な空間で起こり、村に住む人々は今よりも選択の自由がない。
村長の言葉でもあったように、当時はその地で生まれ育ち、一生を終えるという考えが根強かった。
だからこそ、村の集団の多数派に抗うことは難しい。もし抗えば村の中での自分の立ち位置も危うくなるかもしれない。
村長も終盤までは自分の「意思や考え」を貫き通す姿勢を持っていたが、最後には多数派に抗えなかった。
これがたった100年前のこととは信じ難い。
唯一の希望は静子の存在であろうか。彼女の言動には賛否あると思うが、彼女の自由な生き方や発想は村という凝り固まった場所の解放であるかのように感じた。
コメントする