「真っ当なメッセージ」福田村事件 nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
真っ当なメッセージ
戦争中の不穏な空気感や、村社会の閉塞感などが淡々と丁寧に描かれ、事件が起こる流れが分かりやすくなっていたと思います。
人種差別だけでなく様々な差別意識についても触れられ、差別感情を煽る新聞等の存在も考えさせられます。
村の男女関係の描写は予想外に生々しく描かれて、抑圧された女性の立場も意識させられ、これはこれで印象的でした。
男女関係は複雑な心情を描いているように感じたためか、軍人や村長など他の人物描写はちょっと単純にも感じました。
とは言え、当時は実際にこういった雰囲気だったのかもしれませんし、これで人物たちのスタンスや事件への流れが分かりやすくなっており、差別意識の愚かさや集団心理の恐ろしさなども強くはっきりと伝わるようになっていたと思います。
行商の沼田のセリフも、至極真っ当な意見で大いに共感できます。
事件が起こったのは当時はそういう時代だったからとも言い切れず、やはり現代の日本においても重ねられる部分があり、改めてどこへ向かうのか考えるべき、という強いメッセージが伝わる作品でした。
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