「常識の向こう側」福田村事件 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
常識の向こう側
美醜善悪清濁。
世間の認識の反対側に、
常にカメラを置く森監督。
『A』と続編では教団側、
『FAKE』では本人。
本当に濁なのか、
世間がいうように悪なのか、
観客のみなさん、どうですか。
と。
本作は、
善悪清濁を並べて、
整理しないでそのままを観せる。
ラブシークエンスも、
整理しない、
醤油工場での経験に基づくセリフや、
通訳をした経験のセリフ、
のような、
活きたセリフのシークエンスを基準にプロットの整理もしない、
どこかに書いてあった事件をそのままセリフにしても活きないがそのまま。
ハンセン病患者が住処を追われるのは、
『砂の器』でもあった。
そんな清濁善悪美醜全部乗せ、
さあ、直列繋ぎで召し上がれと。
国籍による、
仕事や住処による、
病気などによる、
この直列繋ぎを、
五部作くらいの、
ドラマのような、
映画のような、
作品にすれば、
最近でいうと『三体』や『ダーウィン事変』のような、
エンターテインメントの
ちょっとしたパラダイムチェンジの、
可能性も孕んでいる。
もちろん、
パラダイムチェンジといっても、
古今東西の作り手にとっては、
普遍的な内容だが、
観客にとって、
繰り返し起きている現実に、
見ないふり、
知らないふり、
では済まなくなってきてるのでは?
という危機感が迫ってきているのかもしれない。
『i 新聞記者』の評はyoutube にアップしています。
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