「掘り下げが足りない」福田村事件 okakaさんの映画レビュー(感想・評価)
掘り下げが足りない
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史実を元に描いてるのに、リアリティーを全く感じさせない構成だった。
知りたかった部分である何故そうなってしまったのか(どういう心情で殺害が行われたのか)殺害した人にはスポットが少ししか当たらず、きっかけとなった最初の殺人がぽっと出の端役だったりで残念な作品。
堤岩里教会事件を取り扱うなら朝鮮動乱についても触れて欲しかった。
結果には必ず原因がある。流言の流布の恐ろしさを描いてるのは分かるが、何故そうなるのかまで描かないと人間の本質とは言えないのではないか。
色々と公平ではなく、切り取った描き方をしている印象。
何分100年前に起こった事件なので詳細は分からない部分が多い。それだけに期待していたのだが、キャラクターの動機の部分に粗が目立っていた。
そこまで大正時代の一般人は頭が悪かったのだろうか?
現代人の自分から見たら映画「福田村事件」の加害者達はサイコパス以外の何者でもない。
映画を見ていた人たちがもしあの場にいたとしたら、ほぼ全員が行商団を庇うだろう。
「『集団』、そして『不安と恐怖』。この2つが揃ったときに、人は変わってしまう」と監督は言っているが、あの村の状況からは不安と恐怖は読み取れない。セリフだけで具体性が無い。この監督の言葉は映画の補足にしかなっていない。
「あの場にいたら自分もそうなっていたかもしれない。でも殺してはダメだ」という気持ちにさせてくれないと、少なくとも現代性とは言えない。
不幸な出来事に対する傍観者にしかなれない。
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