「弱さと愚かさを持つ人なら胸をえぐられる映画」福田村事件 しんさんさんの映画レビュー(感想・評価)
弱さと愚かさを持つ人なら胸をえぐられる映画
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凄い映画でした。
今年のマイベストワン。クライマックスでは身体が震えるほど泣いた。
関東大震災に乗じた日本人による朝鮮人の大量虐殺。しかも発端は内務省が流した誤報、つまりデマ。市井の人が朝鮮人を殺さないと自分たちが危険だと狂乱状態になり、朝鮮人とみるや竹槍や銃で次々に殺戮。しかも、日本人や中国人なども誤って殺されている。自衛意識もあったとは思うが、根本は差別意識。
しかも福田村事件は、香川県からきた薬の行商団が朝鮮人と勘違いされ、子どもや妊婦も含む10名が殺された無惨な事件。
自分たちが下に見ている人間は酷い目に遭わせてもやむなしみたいな、歪んだ選民思想は、現代も感じることがある。
本作が描き出す人間の弱さと愚かさは胸をえぐります。
あらすじの核は上述の行商団虐殺ですが、誤報を訂正しない地元新聞社と若い記者の対立や、共産主義の日本人の役者が斬首された話(これは史実)なども織り込まれ、当時の社会に巣喰う病巣を何層にも描いています。
作品は重苦しいだけではなく、エンタメ要素もバランスよく配合されているので、140分集中して見ることが出来ました。
もしお近くで上映中ならば、ぜひ劇場でご覧ください。
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